PANORAMA STORIES
日本とこんなに違う、フレンチマダムの初夏の香り Posted on 2024/04/21 ルイヤール 聖子 ライター パリ
4月も半ばを過ぎましたが、パリでは肌寒い日が続いています。
日本との気温差はちょうど10度くらいでしょうか、朝晩には厚手のコートがまだ必要で、本格的な春はもう少し先かな? と思っています。
とはいえパリのデパートやブティックは今、春物一色です。
洋服も化粧品も香水も、すでに「バカンス向け」のアイテムがあちこちに置かれていて、通りすがりに立ち止まる人も多くなりました。
ただ例年とちょっと違うのは、“香り”のアイテムが若干変化していることです。
特に夏向けのフレグランスはここに来て様子が変わっていて、数年前には見かけなかったものが登場するようになりました。
フランス人は一般的に、香水をよくつけます。
「出かける前のエチケットだから・・・」と、オンでもオフでもバシャバシャとつけているイメージです。
しかし、全員がそうではない模様。
「キャラじゃない」と香水をつけない人はやはりいますし、一方で「毎日欠かせない」という人もいて、いろいろです。
ただ日本と違うのは、つける理由が自分軸であること。出かける前のエチケットといっても、印象を良くするためにではなく、自分の気分を上げるためだったり、自信を持つためにだったりします。
一方で気温の高くなる初夏には、フランスのマダムたちも香りの衣替えをします。
香りの種類はオードパルファムからオードトワレに。また、オードトワレの代わりにボディミストをまとう人もいます。
※小さめ、ロールオンタイプの「パルファム・ドゥ・ポー」
さて、数年前と変わってきたな、と思ったのが、最近のパリで増えている「パルファム・ドゥ・ポー」です。
これは2022年あたりから特に増えてきました。
「パルファム・ドゥ・ポー(parfums de peau)」とは「肌の香り(スキンパフューム)」のことで、人肌の自然な香りにできるだけ近づけるようにデザインされたフレグランスです。
それも従来のスプレータイプではなく、肌に直接「塗る」タイプのロールオン。
香り立ちもソフトで、アルコールフリーであることが特徴です。中にはオイルタイプもありました。
パルファム・ドゥ・ポーの人気は、パンデミック後、人との距離が開いてしまったあの時期から徐々に高まっているそうです。
香りは人肌モチーフに甘さをプラスした、ムスク、バニラ、アイリス(ニオイアヤメ)など。
甘いといってもライトに香るため、暑い夏でもつけやすいのだそうです。
※ボディ&ヘアミストも夏に増える。ミストでも甘い香りが多いフランス。
こうした甘めグルマンの香りが人気なのは、フランスの一つの特徴だと感じています。
フランスの人は、甘いデザートの香り(グルマン系)が大好きです。
これは乾燥した気候だからこそと言えますが、シャンプーにしても香水にしても、ソープ自体の香りは少ないといった印象を受けました。
それから夜のディナーには夏であっても、必ず香水をつけて向かいます(昼と夜では香りをチェンジ)。
こちらでは香水を身につけて来店することに寛容で、香水店のスタッフさんからも「ディナーの時におすすめ」などと言われます。
※今流行りのロールオンフレグランスに「カフェ・クロワッサンの香り」があることにも驚きました。コーヒーとバターの香り。
※はちみつの香りのヘアパフューム。
フランスの夏は、湿気は少ないですが日差しが強いです。
近年では最高気温が40℃前後にもなるため、フレグランスの在り方も変わってきたのでしょう。
ただ湿気のあるなしは、先述したように香りの好みを大きく左右するのだと思います。
ということで最近のパリでは、香りの好みはスイートなまま・よりライトに香るスキンフレグランスにスポットライトが当たっているようです。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
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猫と香りとアルザスの白ワインが好き。