PANORAMA STORIES
日本とこんなに違う、片付けがゆっくりなフランスの年始 Posted on 2024/01/20 ルイヤール 聖子 ライター パリ
フランス、およびヨーロッパの各地で見る、12月25日以降の光景。
年が明けてもなおキラキラと光るイルミネーションやクリスマスツリーに、渡仏当初は随分と違和感を覚えたものでした。
日本では25日を過ぎたらスパっとお正月仕様に切り替わりますが、フランスではそんな光景をまったく見ていません。
クリスマスの飾り付けは1月になってもそのまま、ゆるりゆるりと続いていくのです。
これは宗教的なものが関係しているといいます。
というのも、クリスマスのお祝いは1月6日の公現祭まで続く、という習わしがあるためです。
一般的にはこの日までツリーが飾られることになっているので、施設や公共の場では6日を過ぎてからようやく片付けが始まります。
街角でもみの木の回収ポイントが設置されるのもこの頃からです。
家庭から回収されたもみの木はほとんどがリサイクルされ、公園の緑化などに活用されます。
※1月31日まで続くもみの木の回収。日付は自治体によって異なります。
ですが家庭によっては、6日を過ぎてもまだ飾っているところがあります。
ちなみに私の隣人は今も(1月19日現在)玄関先にクリスマスリースを飾っています。
おそらくツリーは片付けていると思うのですが、ちょっとした飾りは今もこうして街のあちこちで見かけます。
みなさん6日のルールを厳守するということはなく、片付けるタイミングは個人や家庭によってまちまちだという印象を持ちました。
そんな中で現れるのが、フランス名物「ガレット・デ・ロワ」です。
ガレット・デ・ロワとは1月6日の公現祭に食べるサクサクのアーモンドパイです。
パイの中に隠されたフェーヴが当たれば、その人は一年を幸せに過ごすことができるとも言われています。
フランス人なら誰もが知っているこの習慣、実は6日を過ぎた今も元気に開催中です。
私はイベントが終わった後もずっと売られているガレット・デ・ロワを見て、「長いなあ」と正直に思ってしまいました。
※1月中旬、パティスリーに置かれたガレット・デ・ロワ。奥のテラス席にはクリスマスリース風のデコレーションが見えます。
ガレット・デ・ロワをずっと販売する理由も、パティスリーによってまちまちです。
「31日まで置く」と定めているところもあれば、「お客さんが買いに来なくなるまで」とゆるめの設定を出しているところも。
買いに行く人もそれが当たり前のようで、「店に置かれなくなるまで買う」といった意見がありました。
このように、フランスの年末年始のイベントが終わるスピードはとてもゆっくりです。
クリスマス、お正月飾り、そして雛人形も期日中にきっちりと片付ける習慣が身についている自分は当初、フランスのゆっくりな年末年始にかなりそわそわとしてしまいました。
縁起が良い・悪いといった意識も特になく(人によってはあります)、みなさんマイペースで本当にゆっくりと片付けています。
理由もフランスらしく、余韻を楽しみたい、無理しない、せっかく一年に一回だから、ガレット・デ・ロワは長く食べていたい、などが多いです。
これらにもだいぶ慣れてはきましたが、日本人として一番慣れないのは「年末の大掃除がフランスにないこと」でしょうか。
今年の汚れは今年のうちに、の概念がフランスにはないのです。
こちらの大掃除のタイミングは年末というより季節の変わり目です。
中には季節関係なく自分のタイミングでという人もいます。
そもそもお正月の盛大さが日本ほどではないので、年末の習わしも少ないのだと思います。
このように、フランスに来てからはお正月よりクリスマスのボリュームの方が大きい、と改めて感じています。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
▷記事一覧2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。