某月某日、ということで、父ちゃんはいま、東京にいるのである。
空港を出ると、テレビ局の人がカメラを抱えていたので、わ、父ちゃん有名になったものだなァ、と思っていたら、ぼくの横を歩く外国人さんに、マイクを突き出し、
「すいません。ユーは何しに日本に来たの？」
と、取材がはじまったァ～。ほら、あの有名なテレビ番組の取材陣なのだ。
やらせじゃなく、本当に、インタビューをしていたので、思わず、足をとめて、しばらく眺めてしまった。マジで、いきなりインタビューをやってるんだね。
ぼくは、その番組を実際に観たことはないのだけれど、「ユーは何しに来た？」は有名なフレーズなので、その生々しい突撃現場に遭遇できて、思わず、にっこり。
地味なテレビ番組だけれど、人を攻撃するようなものじゃなく、視聴率もとり、長寿番組で、こういういい番組もあるのだよね、と思い出させてもらえて、昨今の、テレビ問題が多い中、ちょっとほっこりした父ちゃんなのであった。
ところで、ユーこそ、何しに日本に来たの？
え、ぼくですか、その、いろいろと・・・。
今回の来日は、非常に短いのだけれど、びっしり用事がつまっている。
今日は、まず、帝京大学の霞が関キャンパスに顔を出し、辻ゼミの生徒たちと初対面授業があったのである。
ゼミ生徒は総勢5人、大教室なのにたったの5人を前に父ちゃん先生は2時間、熱弁をふるったのであーる。
彼らとはＺＯＯＭで約一年間授業を続けてきたので、はじめて会ったのに、はじめて、という気がしなかった。
マスクをしている子が多かったけれど、ずっと彼らの創作物を読んできたこともあり、ひとりひとり、手に取るようにわかるのだ。うんうん、この子か～。
やっぱり対面授業はいいね。

実は帝京大学霞が関キャンパスの上の階に、なんと、父ちゃんが連載をやっている料理雑誌ダンチュー編集部があるのだった。
授業のあと、新しい編集長を植野元編集長が紹介してくれる、というので、編集部に、顔を出したのだった。新しい藤岡編集長はすらっとたたずむ美人女性編集長なのだった。
で、植野さんは定年を迎え、プレジデント社の役員になっていたのである。しかも、ダンチュー全体を見る統括部長のようなポストに着任していたし、発行人なのだった。
すごい。
プレジデント社で役員は社長さんを含め3人しかいない、そのうちの一人になった、という大出世。
ところが、である。
前に来たときは、一人だけ、パーテーションで区切られた独立した編集長の部屋を持っていたのに、出世したとたん、そこは打ち合わせ室になり、彼の机はふつうの編集部員の横の机に・・・、しかも広大なフロアの一番端っこなのであーる。

前は、足をのばして、葉巻をくわえていられるような広い空間だったが、出世したら机が小さくなって、荷物が入らない、とぼやきながら、パソコンで記事を書いていた。
もしかしたら、本人は出世と思っているのかもしれないが、一番端っこの席で、え、これって、窓際なのか、と心配になった父ちゃんだった。
それでも、植野さんはこの満面の笑顔なのである。弘法筆を選ばず、を実践する植野広生元ダンチュー編集長に、どこまでもついていこうと心の中でかたく誓った、父ちゃんなのであった。
ということで、その夜、ぼくは植野さんと彼の行きつけの店で夕食をたべ、彼の7年間の編集長時代の労をねぎらったのであった。
日本も寒かったが、マイナス10度のフランスに比べると、晴れていたし、春のはじまりを感じる暖かさであった。
ともかく、父ちゃんはいま、日本にいる。だから、ちょっとのあいだ、日本から発信させていたくのであります。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
数日の短い滞在だけれど、来月には個展も迫っているし、ギタージャンボリーもあるし、文庫も出るし、やはり遠隔ＺＯＯＭだけではどうにもならない用事がたくさんあるのです。今日から分刻みで、怒涛の来日スケジュールをこなさないとならない、父ちゃん先生、がんばっていきたいと思います。
さて、今年の父ちゃんのスケジュールのお知らせです。
●小説「十年後の恋」集英社文庫版が１月１９日全国発売。
●小説「東京デシベル」がイタリア、Rittoli社から刊行されました。
●２月２８日から、新宿伊勢丹のアートギャラリーで個展（詳しくまたご報告します）
●３月３日、両国国技館、ギタージャンボリー出演。（検索ください）
●３月６日、ツジビル・ライブ（SOLD OUT）
●４月１９日、ロンドン、ライブ。詳細はこちらから☟

https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator
●６月３０日、パリ・ライブ決定（詳細、待って）
●7月3日、リヨンでライブ！！！
以上です。