JINSEI STORIES

退屈日記「寂しくなんかない! 手抜きでも美味しい、ゴルゴンゾーラチーズのタリアテッレ」 Posted on 2023/12/14 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、今日は手抜きで行こうと、朝、決めた父ちゃんなのであった。
で、冷蔵庫を覗くと、スーパーで買ったゴルゴンゾーラのチーズと、同じスーパーで買った生のタリアテッレ麺があったので、これだ、と閃いた。天才は朝、閃く。
近所にイタリア惣菜屋があって、そこは犬も入ることが出来るので、散歩の帰りに、立ち寄り、ミラネーゼ(仔牛のカツレツ)を一つだけ購入し(笑)、ミスタービーンのような足取りで、戻って、さっそく、料理開始!
適当な量のゴルゴンゾーラチーズをフライパンに置いて、白ワインを適量ぶっかけ、n生クリームを少し足して、弱火から中火でゆっくりと溶かしていくのである。
食べたい量の麺をわしづかみして、沸騰したお湯に放りこみ、4分と書いてあれば、2分半くらいでとりだし、ゴルゴンゾーラソースに入れて、和えるだけ。

退屈日記「寂しくなんかない! 手抜きでも美味しい、ゴルゴンゾーラチーズのタリアテッレ」

退屈日記「寂しくなんかない! 手抜きでも美味しい、ゴルゴンゾーラチーズのタリアテッレ」

退屈日記「寂しくなんかない! 手抜きでも美味しい、ゴルゴンゾーラチーズのタリアテッレ」



できれば、パルメジャーノの粉チーズも加えて、塩コショウで味を調えたら、お皿に盛り、オーブンで温めておいたミラネーゼを載せて完成。
ここに、黒胡椒をたっぷりかけたら、なんとなく、ご馳走に見えないだろうか?
手抜きとはいえ、美味しくないと、嫌な父ちゃんなので、そこは上手に日々をごまかしていくのである。
あるもので、日々をしのいでいく。
子供もいなくなり、誰かのために作るというよりも、毎日を充実させるためにこそ、料理をやる、のがいいのである。
美味しそうに出来たら、テーブルに置いて、必ず、写真にとり、SNSとかで発信をする、そういうおやじですが、何か・・・。
だって、SNSで投稿すると、「ムッシュ、美味しそう」とか、やさしいエコーズが戻って来るのだから、寂しさも半減する、というもの。
なんなら、食べる前に投稿し、皆さんの反応を見ながら、にやにやして食べると寂しくならないし、毎日が豊かになるのだった。
前は、そういう感じで、料理をしていたことを思い出した父ちゃん。
今は、デザインストーリーズがあるので、こうやって、レシピというか簡単な作り方まで添えて、投稿をするようになった。
やっぱり、どこか寂しい人間なのであろうの~。でも、きっとみんな一緒だと思う。
本当に幸せな人なんて、ごく一握りだと思っておくのがいい。
一人で生まれて一人で死んでいく人間なのだ。これは当たり前だから、せめて、同時代に生きている者同士で、美味しいもの自慢しあいたいじゃないか。
ぼくはしたい。
で、最近は息子から毎日、食べた写真が届く。つまり、彼も寂しいのである。
なので、父ちゃんもゴルゴンゾーラチーズのタリアテッレの写真を送ってやったりする。すると息子から、海老のクリームパスタの写真が届いた。あはは。
こういう親子ですが、何か?
みんな、どこかで「ぼっち」なのだ。恥ずかしがる必要はないし、堂々と、ぼっちを楽しもうではないか。
ということで、頂きマンモス。
あはは。

退屈日記「寂しくなんかない! 手抜きでも美味しい、ゴルゴンゾーラチーズのタリアテッレ」

※ どうです? うまそうでしょ? えへへ。

退屈日記「寂しくなんかない! 手抜きでも美味しい、ゴルゴンゾーラチーズのタリアテッレ」

※、そしてこらちが、息子君から届いた、海老のパス!!!!!!!あいつもしっかりと生きているのだ。父ちゃんもがんばるぞーーーー。

退屈日記「寂しくなんかない! 手抜きでも美味しい、ゴルゴンゾーラチーズのタリアテッレ」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ぜひ、ゴルゴンゾーラチーズのタリアテッレを作ってみてくださいね。アオカビのチーズならば、スーパーで売ってるもので十分ですし、生麺である必要は一切ないので、乾麺でお願いします。追いパルメジャーノはおすすめです。完成したら、黒粒胡椒はマストですが、オリーブオイルを追いかけするとさらに美味い!美味しいランチを乗り越えると、美味しいディナーも頑張りたくなるのが人情というものですよね~。
今日もがんばって生きていきましょう!!! えいえいおー。

退屈日記「寂しくなんかない! 手抜きでも美味しい、ゴルゴンゾーラチーズのタリアテッレ」