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日本とこんなに違う、酸っぱい好きなフランス人 Posted on 2023/12/10 ルイヤール 聖子 ライター パリ
ソースたっぷりのメイン料理、毎食登場するバゲットと、実際のフランス料理は渡仏前のイメージと、ほぼ同じでした。
しかしフランス人が大の「酸っぱい好き」とは、こちらに来てから知ることになります。
レモネードに始まり、お惣菜もドレッシングも、フルーツタルトも。それぞれの酸味は、日本の味よりもだいぶパンチが効いています。
たとえば今がシーズンの生牡蠣にも、フランスの人々は赤ワインビネガーやレモン果汁を加えたりします。
※魚屋さんでよく置かれているニシンのマリネと、タコのマリネ。
マルシェの魚屋さんや、お総菜屋さんで売られているマリネもそうです。
しかし酸味にもいろいろあって、中には驚くほど酸っぱい味付けのものがあります。
フランスでよく食べるアーティチョークのマリネなどは酸味が特に効いていて、口元がキュッとすぼまるほどでした。
※奥がアーティチョークのマリネ。
こうした酸っぱいお料理は主に、前菜で用意されます。
ここで気づいたのは、「どっしりしたメイン料理と酸っぱい前菜のバランスが良い」ということです。
身体が自然と欲するのか、渡仏してからは自分も料理に酸味を加えることが多くなりました。
※ハーブ入りの白ワインビネガーと、フランボワーズ風味の赤ワインビネガー。
ということで、フランスのお酢のバリエーションには本当に驚かされます。
赤ワインビネガー、白ワインビネガーはもちろんのこと、フランボワーズのお酢やシードルのお酢、クルミを漬け込んだお酢も存在しています。
またフランスの家庭では、こうしたお酢を数種類ストックしているのがスタンダードだったりします。
お酢の用途は前菜だけでなく、ドレッシングやメイン料理のソースなど、広範囲に(しかも多めに)使われています。
※可愛らしいデザインのシードル酢(リンゴ酢)。
もう一つ、小さく驚いたものがあります。
フランスの「レモン果汁」です。
日本の卓上レモン果汁は小さめサイズだったと記憶していますが、こちらのレモン果汁はどどんと700mlサイズです。
レモネードやドレッシングに使うこのレモン果汁、フランスでは700mlでも、結構早いペースでなくなります。
※フランスのレモン果汁。
このように、「酢っぱい味」に慣れ親しんでいるフランス人。
義理家族が日本に来たときに、ポン酢や酢飯、レモンサワーがお気に入りだったことにも頷けます。(それでも梅干しの酸っぱさには驚いたようです)
さらにフランスでは、掃除にもお酢を使います。
フランスの水は硬水なので、放っておくと石灰性の水垢があちこちに付着してしまいます。
そこで登場するのがお酢!
このお酢を薄めて撒くと、酸っぱい匂いとともに、水垢がすっきりと綺麗になります。
掃除に使うお酢は料理用ではありませんが(専用の酢が売られています)、キッチン周りにも洗濯機にも、お風呂場の掃除にも大活躍してくれます。
こうしてお酢は、フランスの衣食住を影ながら支えています。
デパートの広大なお酢売り場を見ていると、いろいろなレシピをイメージして楽しくなったりもします。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
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猫と香りとアルザスの白ワインが好き。