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ベレー帽の季節がやってきた! パリの素敵なベレー帽と、その被り方 Posted on 2023/10/22 NANA メイクアップアーティスト パリ

 
秋も深まり、パリでは頬にあたる風が一層冷たくなってきました。
とはいえ、手袋やマフラーの季節はもう少し先です。
しかし冷え込む朝晩には、“あたたかい帽子が欲しくなってきたな”としみじみ思うようになりました。

パリの街角でも帽子を被る人が少しずつ増えてきました。
キャップ、ハンチング、ニット帽、ベレー帽・・・と、秋冬が寒いせいもあって、帽子を愛用するパリジャン・パリジェンヌは本当に多く、ファッションの参考にもなっています。
(最近ではカジュアルながらも暖かい、ニット帽がパリジェンヌのトレンドになっているようです)
 



ベレー帽の季節がやってきた! パリの素敵なベレー帽と、その被り方

 
さて、その中でもベレー帽はフランス人のシンボル、などと言われています。
でもなぜベレー帽なのでしょう?
ベレー帽(の原型)の誕生には諸説ありますが、フランスではピレネー山脈のふもとであるベアルン地方で、雨よけ・寒さよけとして被られていたものが源流です。
ピレネー山脈、メリノ種の羊毛から作られたベレー帽は、この地方の羊飼いたちが愛用していました。

その後はフランス・スペイン国境のバスク地方でも広く使われるようになり、ヨーロッパ各地へと渡っていきます。
暖かいベレー帽は、のちの画家たちにも「アトリエの寒さをしのぐため」に愛用されました。
 

ベレー帽の季節がやってきた! パリの素敵なベレー帽と、その被り方



 
今のパリで見かけるのは、ベーシックな無地のベレー帽がほとんどです。
黒、ベージュ、グレーなどの落ち着いたカラーは、パリの街並みにもよく似合っています。
さてもう少し寒くなると本格的なアウターの出番となりますが、上手だなと毎回思うのは、マダムたちの「色選び」についてです。
 

ベレー帽の季節がやってきた! パリの素敵なベレー帽と、その被り方

 
モノトーンコーデが主流となるパリの冬、マダムたちの差し色テクニックにはハッとさせられます。
差し色として使われるのはインナー、マフラーやバッグ、手袋、そしてもちろん帽子も。
少しの色が加わるだけで、モノトーンコーデに躍動感が出るようです。

パリの冬は曇りか雨であることがほとんどで、風も強く、冷たいです。
そのため帽子が増える理由については、防寒のほかに「強い風が吹いても髪が乱れないから便利」という意見がありました。
 



ベレー帽の季節がやってきた! パリの素敵なベレー帽と、その被り方

※バスク・ベレーの専門店「LAULHÈRE(ロレール)」のベレー帽。昔、羊飼いたちは地域別で見分けがつくように、各村で異なるパッチ(紋章)をベレー帽に付けていました。これにインスパイアされたのが写真(右)のデザインです。

 
ベーシックなデザインもさることながら、たまに見かける素敵なデザイン。
ベレー帽はフランス人のシンボルだけに、ユニークなものがたくさんあります。
たとえば現在開催中のラグビー・ワールドカップでも、フレンチサポーターのための特別なベレー帽が発売されていました。
(カラーはブルーで無地、小さなフランスの国旗付き。ブルーは仏スポーツ界でユニフォームによく使用されています)
 



ベレー帽の季節がやってきた! パリの素敵なベレー帽と、その被り方

※もう一つのベレー帽ブランド「Le Béret Français(ル・ベレー・フランセ)」。頭頂部に赤いチョボ(短いひも状の飾り)が付いたシリーズが可愛いです。

 
ベレー帽は「ほとんどの頭の形に合う」と言われています。
被り方に正解はないようですが、パリジェンヌを見ていると、額を見せるように後ろ側に被るという方か、アシンメトリーな被り方が多いですね。
一方フランスのファッション誌では「自分に一番似合う被り方を。大きなイヤリングや派手なジュエリーは避けて、エフォートレスで」とありました。

このエフォートレス(頑張りすぎない、気楽に)とは、彼女たちの合言葉のように思います。
肩の力を抜いたスタイルは、ファッションやメイクだけでなく帽子にも表れているのですね。
 

自分流×帝京大学



Posted by NANA

パリ在住。世界の美容とコスメのトレンドを追いかける