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滞仏日記「ノルマンディの家の前まで行ったのだが、鍵を忘れてパリに引き返した」 Posted on 2023/10/03 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、今日は生涯でもっとも過酷な日となった。
2023年はマジで大変な日々だったので、ロンドンライブに向けて体調管理&精神統一のために、一週間程度、ノルマンディの自宅に戻ることになり、三四郎と愛車で向かった。
ポール卿の誕生日なので、彼に祝電メッセージを送ったり、ポール卿の肖像画制作の仕上げに没頭したり、パーカッションのジョルジュが会場変更を心配して、長文の日本語メッセージを送ってきてくれたのでそれに返事を書いたり、シマちゃんたちとギャラリーTで使う食器などについてZOOMで討論したり、他にも、いくつかの会議をこなして、さぁ、出発じゃあ~、と出足は好調だったが、ノルマンディの田舎道に降りた時に、
「えええ、まさか、ぎょええええええ、嘘でしょ!!!! 」
となった父ちゃん。
車を側道にとめて、鞄とかトランクとかポケットとか、あちこち、探し回ったのだけれど、やはり、家の鍵を忘れてしまったのであった。そんな~。

滞仏日記「ノルマンディの家の前まで行ったのだが、鍵を忘れてパリに引き返した」

滞仏日記「ノルマンディの家の前まで行ったのだが、鍵を忘れてパリに引き返した」

※ ハッピバースデイtoポール!!!!!!

滞仏日記「ノルマンディの家の前まで行ったのだが、鍵を忘れてパリに引き返した」

※ こちらはパーカッションのジョルジュから、朝、送られてきた、父ちゃんを励ますメッセージ。ケンブリッジが埋まらないので、会場が変更になることを知らされ、ぼくが落ち込んでいると思って、こういうメッセージ、送ってくれるって、・・・泣けるよね? 泣けた。翻訳機を駆使して、書いてくれたんだよね。なんか、ありがたいね。ライブ、絶対、今年一番のライブにするよ、誓うよ!



目と鼻の先に我が家があるというのに、ううう、ぼくをじっと見上げる三四郎・・・。す、すまない。
ってか、ここまで300キロも運転してきて、ここからまた300キロ運転して戻るのかいな、と思って、へたりこんだ父ちゃんであった。
誕生日を目前に、厄落とし、なの?
仕方ないので、三四郎をその辺で遊ばせ、ピッピ(おしっこ)とポッポ(うんち)をさせ、あまりに申し訳ないので、砂肝おやつを一つ与えて機嫌を取り、
「さんちゃん、ほんとうにごめん、海は無し。パリに帰ります」
となった、とほほ~な10月2日なのであった。
眠気を我慢してここまで運転したが、もう、ダメ。帰りはぼろぼろで、わかります? この気持ち。
頭は痛くなるし、身体はきついし、20キロごとに休憩所に立ち寄って、10分寝たりしながら、なんとか、なんとか、家に戻ると、もう、夕食の時間なのであった。ぎゃあ、
あはは。
でも、外食する気になれず、チキンカツを作って食べるという、このどこまでも、どこまでも、ひたむき愛情料理研究家なオヤジなのでありました~。

滞仏日記「ノルマンディの家の前まで行ったのだが、鍵を忘れてパリに引き返した」

滞仏日記「ノルマンディの家の前まで行ったのだが、鍵を忘れてパリに引き返した」

滞仏日記「ノルマンディの家の前まで行ったのだが、鍵を忘れてパリに引き返した」

※ このね、梅と紫蘇の酸味が最高なのであったぁ!!!



というのは、冷蔵庫に買ったはいいが、賞味期限切れ直後のチキンがあったので、疲れていたけれど、食品ロスだけは許せないし、もうひと踏ん張り・・・、日本で買った1人様用フライヤーを初おろし、した父ちゃんなのであった。
疲れているので、チキンの中に、チーズと梅と紫蘇をいれた。これが、美味しかった。
あはは。
44歳(嘘です。もう少し歳喰ってます)になる、二日前に、ぼくは無事に厄落としが出来たのだった。
帰り道、寝ているさんちゃんにぼくは語り続けた。
「あのね、大事故でもないし、命はあるわけだし、これはラッキーだったって、思うべきなんだよね。パリに帰ったら、きっと何か意味があったのだって、気が付くはずだし、これはもう、どっちにしてもしょうがないわけだから、ここを引きずって、腐って、事故起こして新聞に載って、晩節を汚すよりも、笑顔で、おとなしく家路につくべきなんだよ。わかるかい、さんちゃん。こんな素晴らしい気付きをありがとうって、神様に言わないといけないね。さんちゃんにもありがとう」
ということで、今日の日記がちょっと短いのは、ごめんあそばせ。
明日、起きたら、もうちょっと元気な日記にしたいと思う、年頃な父ちゃんなのでありました。
おそまつ。
でも、ポールは83歳を無事に迎えてくれたし、ジョルジュからはこんなに愛の深いメッセージが送られてきたことだし、けっして、最悪な日ではなかったのだった。
腐る前に、清くなる道を行け。

滞仏日記「ノルマンディの家の前まで行ったのだが、鍵を忘れてパリに引き返した」

※ あと二日で、44歳になる、父ちゃん。皆さん、ロンドンライブ、応援くださいね!!!!



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
10月3日、再び、ぼくはノルマンディを目指します。えへへ。とにかく、自分の家に戻りたい。そして、ノルマンディの海に沈む夕日を見つめたい父ちゃんなのでした。笑。4日の誕生日は、日本時間20時に、ラジオ・ツジビル、ノルマンディから生放送をおおくりしますね~。

素敵なお知らせがいくつかあります。
英国はロンドンの、コベントガーデンにある五つ星ホテル、ミドルエイトの地下、ジャズクラブ「QT」で、行われまする、父ちゃん最高ライブのチケット購入サイトはこちらのURLからお入りください。
☟☟☟
https://www.universe.com/events/tsuji-mon-23-october-2023-at-qt-covent-garden-630pm-tickets-WJ6ZH0

そして、日本から行くぞ、という皆さん、引き続き、JALパックロンドンの上口さんがお手伝いをさせていただきます。上口さん、ありがとう。こちらから、どうぞ!!!
https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/

毎週、ラジオ・ツジビル。ご視聴されたい皆さまは、オンライン村へ、どうぞ!!!

↓こちらURLになります
https://www.tsujiville.com

父ちゃんが朗読する自著、「ミラクル」
☟☟☟ 
https://www.audible.co.jp/pd/ミラクル-オーディオブック/B0CD34GYVG

そして、一時間に及ぶ、終活男の、貴重なライブ映像!!!!
こちらのURLをクリックしてね。
☟☟☟

https://youtu.be/YIi9N-6kt5g?si=l3SPg4Wt-jpOqToS

おっとー、「パリごはん」早速再放送が予定されております。
「ボンジュール!辻仁成のパリごはん2023SP」
【BSP】10月8日(日)前10:30~11:59
【BS4K】10月6日(金)後3:00~4:29

自分流×帝京大学