JINSEI STORIES
退屈日記「今日は久々に母ちゃん力炸裂となった父ちゃんな土曜日」 Posted on 2023/09/30 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、昨夜の中秋の名月、凄かった。パリの名月はうっすら雲にかかって、そこがまたセクシーなお月様なのであった。
さて、今朝、犬友が集まる公園に行くと、ルルのお母さんとかいつもの顔ぶれで、賑わっていたのだった。
もちろん、中には、新しい人たちも含まれている。
三四郎のリードを外してあげると、仲間たちと走り回って楽しそう。
暫くすると、
「あなただめでしょ? 発情期の犬のリードを放すなんて」
と声がした。え?
振り返ると、ラブラドール、ラブちゃんの飼い主のおじさん(すっごく優しい)が、他の犬の飼い主たち(ほとんどが年配のマダム)に囲まれ、叱られていた。
発情期の犬を放してはいけない、というルールがあるようだった。
いつも優しいルルのお母さんが血相を変えて、抗議していたので、ラブちゃんのお父さん、しぶしぶ、ラブにリードをつけて、そこから退散してしまった。
もう、この公園に戻って来ることはないだろう。そこがフランス・・・。
いい人だったのに、そこまで責めないでもいいじゃん、と思う日本人。
しかし、フランスは容赦がない。
ぼくもいろいろなことで何度も叱られたことがある。
さよなら、ムッシュ。
「だからね、ルールは守らないと」
ぼくのそばにいた、ここでははじめて会うマダムが言った。
「たしかに」としか、答えられない。
その人の犬と三四郎は距離をとっている。
「うちの子は8か月、おたくのテッケル(ダックス)は?」
「2歳です」
「オス?」
「ええ」
「うちもオス。じゃあ、近づけない方がいいわね、喧嘩になるかもしれない」
「・・・」
「いい子なんだけどね、オスに敵対心丸出しなのよ」
「なるほど。じゃあ仕方ないですね」
「ええ、ま、まだ子供だから。じゃあね、マダム、よい一日を」
30分くらい横にいたのに、マダム、と言われた父ちゃん。
でも、最近は否定しなくなった。☜しないんかい!!!!
「良い一日を」
別に、言い訳をしても、セパグラーブ(問題ないわ)と言われるのが関の山。
ロン毛なんだから、ムッシュと言われたければ短髪にして、オールドスクールの格好をし、貫禄だすしかない。ぼくには、無理。だから、あはは。
事務所兼自宅に戻った。
今日は中島君(エリック)が来る日なので、早飯を作って食べた。
なんか、慌ただしくても丁寧な土曜日のお昼にしたかったので、佃煮入りのおにぎりを弁当箱につめた。
普段は食べないけれど、たまに食べたくなるソーセージもちょっとだけ。
加工肉、滅多に食べないが、たまに食べると美味しいね。ま、適度に、ファーストフードも摂取する父ちゃんなのだった。
「美味しい!!!」
食べ終わると、ピンポーン!
中島君が笑顔で、やって来た。
「ヘローサー、ミスター!!!」
この人はぼくを紳士扱いしてくれるのだ。ちゃんと、サー、をつけてくれるしね。
今日は支払いの日だから、ちょっとだけ(マジ、ちょっと)多めに、お礼しなきゃ。
いつもありがとう。中島君。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
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※ 人に何か言われても自分が清く楽しければいいのである。えへへ。