PANORAMA STORIES

フランスとこんなに違う、愛すべき日本の日常 Posted on 2023/09/27 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
厳しい残暑が続く9月、私とフランス人の夫は、4年ぶりに日本へ帰国しました。
私以上に日本を恋しがっていた主人は、羽田空港の高機能トイレにもう感動。
「これが日本だ!嬉しい!」と声を弾ませながら、第二の故郷(本人談)に足を踏み入れました。

フランス生まれフランス育ちの主人にとっては、今回が6度目の日本です。
初めての訪日とも、日本在住者とも違う、いわゆる「リピーター」として訪れるフランス人の目には、日本の日常がどう映ったのでしょうか。
フランス人目線の意見がとても興味深かったので、ここでご紹介したいと思います。
 



フランスとこんなに違う、愛すべき日本の日常

 
「日本のおしぼり文化、大好き」
と、飲食店に入る度に、彼は語っていました。というのもフランスでは、出ても紙ナプキン、ウェットタイプが提供されるのはシーフードレストランのみ(それも小さいもの)、だからです。
また日本では、飲食店によっては夏はひんやり、冬は温かいおしぼりが出されるのも、感動するポイントだそうです。
小さなことかもしれないけれど、このような優しさがとても沁みるのだとか。

今回は9月の上旬でしたので、最高気温が30度を越える暑い日が続いていました。
そのためフランス人もエアコンの効いた飲食店に入って一息、おしぼりで顔を拭きたい衝動に駆られたそうです。
しかしそこは我慢我慢! ということで手を拭くだけでも、夏はかなりのリフレッシュになると言っていました。
 



フランスとこんなに違う、愛すべき日本の日常

 
「電車で眠るのがこんなに気持ち良いなんて!」
初めての訪日では電車で眠る日本人を、心配そうに見つめていた主人も、6回目では「時間を逆算して」自ら寝入るようになっていました。

普段暮らしているパリでは防犯上、電車内では眠ることができません。
これは他国でもそうだと思いますが、防犯面のほかに、大声で話す人がいる・楽器の演奏を始める人がいるなど、眠る雰囲気ではないためです。
しかし日本の電車内は、ふかふかの座席シートに素晴らしい静寂、ちょうど良い振動などすべてが揃っていて、安全に眠ることができる。
電車での15分の睡眠は、ちょっとした疲労回復にもなる、とのことでした。

そしてさらに素晴らしいのが新幹線です。
フランス人にとって新幹線はワクワクする乗り物。
座席シートはさらに快適になって、美味しい駅弁もあり、お腹いっぱいになったら目的地までゆっくりと眠ることができます。
駅弁文化のないフランスなので(あってもサンドイッチなど軽食)、飛行機のビジネスクラスのような新幹線は楽しくて仕方がないようです。
 



フランスとこんなに違う、愛すべき日本の日常

 
「日本人のコミュニケーションの取り方が好き」
日本語は初級の主人ですが、私や友人が話すのを見て、思ったことがあるそうです。
それは「日本人は相手の話を最後まで聞くね」ということでした。
初めは「?」と思いましたが、振り返ってみると、確かにフランス人は話を被せることが多い! 日常の会話でも、テレビの討論会でも、「我先に」と言わんばかりに喋りまくっています。
弁が立つ、と言えばそうなのですが、たとえば夫婦喧嘩の時などは、こちらが言い終わる前にギャアギャアとまくし立てられてしまいます。

この「話し方」にも文化の違いがよく出ていると思います。
そして主人曰く、日本人は「しっかりと相手の話を聞いてから答えていて、さらに相槌も豊富」とのことでした。
フランスでは言ったもの勝ち、みたいな雰囲気があるけれど、日本では相手の話の腰を折るのはあまり良くない。ということで日本に来ると、少し穏やかな気持ちになれるようです。
 



フランスとこんなに違う、愛すべき日本の日常

 
「完璧を追求する社会」
ゴミ一つ落ちていない街、利便性と快適さを兼ね備えた商業施設、驚異的なサービス精神など、日本では「他者に配慮した」環境が整っています。
フランス人としては、日本が完璧を追求するあまり、働く人々のストレスが溜まってしまわないかどうか心配にはなるけれど、それでも笑顔で対応してくれるのは尊敬に値する、とのことです。
そして初めは日本食や神社仏閣、漫画文化に憧れて日本に来たものの、今ではすっかり「日本人」自体のファンになったと言っていました。

そんなリピーター・フランス人が興味深いと感じる日本の日常を、次回は「食生活」に着目してお届けしたいと思います!
 

自分流×帝京大学



Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

▷記事一覧

2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。