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マダム・アコのパリジェンヌ通信”バカンスが終わったパリジェンヌたち” Posted on 2023/08/31 Ako アーティスト/フリージャーナリスト パリ

マダム・アコのパリジェンヌ通信”バカンスが終わったパリジェンヌたち”

 
お祭りのような夏の終わりと、静かな秋の始まりが、混ざり合いながらゆったり交差して、心揺れる、パリジェンヌたちの今日この頃。
一ヶ月以上もの間フランスは、バカンスという名の、自然の中での大騒ぎと誰もが隠れ蓑に包まれる権利を得たような深い休息の中にいて、その余韻は、簡単には体からも心からも去っていきません。
太陽と潮風に十分愛されてきました、という証拠のような小麦色の肌。
旅先で出会った人、今まで見たこともなかった景色、高原や森や海の空気、その香り、広大な青い空、自然の中に沈む圧倒的な夕焼けが、焼けついたり、染みこんだ心。
たった数日前までそれらの中にいたのに、今や、グレーの建物が並ぶパリの街の中で、さて、新年度の用意をしなくてはなりません。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信”バカンスが終わったパリジェンヌたち”



マダム・アコのパリジェンヌ通信”バカンスが終わったパリジェンヌたち”

 
とはいえ、買い物などで町に出れば、一ヶ月以上あっていなかったご近所さんたちとすれ違って立ち話し、久しぶりのパリジェンヌアクセントを聞いて、やっぱり自分の人生はここにあり、と思ったりするのです。
もちろん「バカンスはどうだった?」「もう素晴らしかったー!」が初めの一言。まるで合言葉みたいです。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信”バカンスが終わったパリジェンヌたち”

マダム・アコのパリジェンヌ通信”バカンスが終わったパリジェンヌたち”



マダム・アコのパリジェンヌ通信”バカンスが終わったパリジェンヌたち”

 
パリジェンヌたちの肌よりも焼けやすく、一ヶ月前とは違う人種になったような濃いブロンズ色の私の肌(フランスでは小麦色ではなくブロンズ色と、焼けた肌を形容します)を見て「うわぁ、素晴らしいわ!」と、付け加えてくれる人々が多いのですが、太陽からのギフトのように海辺ではお気にりだった、キラキラして見えた健康的な我が肌の色も、「このままでは秋の服が全然似合わないわ」と少し心配になるのも毎秋のこと。
ホワイトニングなどという化粧品を、パリでは見たこともありませんし。
 



マダム・アコのパリジェンヌ通信”バカンスが終わったパリジェンヌたち”

 
バカンス中は、学校も、会社も、公立機関も、あらゆるものがストップ、お医者さんだってパン屋さんだって、劇場だってクローズしていましたが、活動再開。
とはいえ、のんびり始まり、こちらが急いでいても、彼らをせかすことはできまん。
せかしたって「バカンスでしたから」が、この時期の最強の言い訳。
そこに強気な「少し忍耐(=我慢して)待ってください」が加えられるくらい、バカンスは仕事人の味方です。
また子供の学校の説明会に来なかった親が、校長先生に嗜められて、「バカンスでしたから」と、堂々を抵抗していましたが、「仕事でしたから」は言い訳にならないフランス。
全くエピキュリアンな人々です。
 



 
一ヶ月くらい前から、日本にいる方々に「フランスのあのストや暴動はおさまっているみたいですね」と聞かれますが、彼らもバカンスなのですよ。
なので9月から…、再開しないことを願いますが、どうなることでしょう。
2020年の夏、コロナもバカンス前にほぼ終了とされ、みな夏を満喫したのですが、秋から再び始まったのでした。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信”バカンスが終わったパリジェンヌたち”

 
ともあれ、パリジェンヌたちには少々アンニュイなバカンス明けですが、それでも、人生は山あり谷ありというフィロゾフィーを彼女たちはちゃんと持っているので、ご心配なく。
たっぷり充電できたエネルギーで、仕事や学業に向かいます!
次のバカンスが始まる、10月まで…!
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信”バカンスが終わったパリジェンヌたち”

自分流×帝京大学



Posted by Ako

東京生まれ。1996年よりパリ在住。セツモードセミナー在学中にフリーライターとして活動を始める。パリ左岸に住みアートシーン、ライフスタイルなど、生のフランスを取材執筆。光のオブジェ作家、ダンスパフォーマーとしても日々活動。