JINSEI STORIES

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」 Posted on 2023/08/26 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、映画「中洲のこども」の舞台挨拶ということで、中洲の歴史ある映画館「中洲大洋映画劇場」に行ってきた。
ニューシネマパラダイスではないが、歴史ある映画を昭和の初期から広めてきた名門映画館なのである。
裏口から入り、応接間に通されたが、なんと、壁には昭和20年代から続く映画館の歴史絵巻が飾られておったのであーる。
おおお、凄い。チャップリンまで!!!
昨日は、ロッカーの父ちゃんだったが、今日は映画監督の父ちゃんなのであーる。
劇場の方々に、「辻監督」と言われ、なんか場違いな感じに照れまくった。
「先生」と言われたり、「監督」と言われたり、「きゃあ、じんせー」と呼ばれたり、えへへ、忙しい。
あはは。
しかし、今日は監督なのであった。
毎日新聞やNHKなどの取材を受けた後、登壇となった。
301席、主催者発表によると「完売」ということで、めでたい。
最近、ぼくは映画というのはこうやって、その土地の方々に愛されるものを作ることが大事だな、と思うようになってきた。
大監督にはなれない、父ちゃんにしかできない、地元密着型の映画を作り続けたい。
全国展開の大作を作るわけでもないし、ネットフリックス世界配信の映画を作るわけでもない。
父ちゃんの映画は地元に愛される小さな映画を目指している。
だからこそ、福岡だけで、というか、中洲だけで、ロングランが続いているのであろう。
まずは、それでいいのだ。
舞台挨拶が終わると、恒ちゃん号で、空港を目指した。

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」

※ 映画「中洲のこども」は8月31日までロードショー!!!

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」



ライブの翌日、舞台挨拶をやり、くたくたになりながら、飛行機に飛び乗ったのだが、ここで、思わぬ、大感動に遭遇をした父ちゃん・・・。
ふと、窓の外を見ると、小雨ぱらつく空の下、整備作業員や空港職員の方たちが、一列に並んで、飛行機の離陸まで手を振ってお見送りしているではないか。
それもだ、やらされて手を振っているのではなく、みんな、楽しそうにふっていた。
ぼくは、もの凄く、感動した。☜単純な男です。
数日前の日記で、「日本には日本人という凄い資源があるから、まだぜんぜん大丈夫だ」というような日記を書いたが、まさに、その典型的な光景であった。
こんなことをやる整備士や地上乗務員は、世界広しといえども、日本にしかありえない。
父ちゃん、実は、涙をこらえた。
やっぱ、こういうところが日本なんだよ、いいんだよ、ここが、と思わず、唸った。

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」

※ ありがとう!!! 手を振っていたよ、父ちゃんも!!!

もちろん、会社の方針ではあるのだろうが、自分たちの仕事をちゃんと全うしようとする姿勢が、大きくふる手の指先に、感じられたのだ。感じられました。
しかも、彼らは二回もポジションを変えた。
最初は、お客さんが乗り込んだ直後に手を降り出した。
それから飛行機は、一度下がって、態勢を整え、前進することになるのだけれど、それにあわせて、スタッフさんらも、一緒に移動し、もう一度、手を振ったのであーる。
右端の男性が、音頭をとっていたように、見えた。
その間、30分近く、彼らはぼくらを見送ってくれたのだ・・・。
フランスや、英国や、アメリカや、イタリアや、ブラジルなんかで、こういうことがあるだろうか?
海外を移動することの多い父ちゃんは、トランクを放り投げる地上係員の姿は目撃したことがあるけれど、一列に並んで、手を振られた経験はない。
とある国では、飛行機から出てきたトランクを、マジで、地面に叩きつけていた。
なんのストレス、と思った。
だって、乗客が窓から見ているの、わかるだろうに・・・。
(貴重品はトランクに入れないようになった)
少し前までは、フランスの空港は、お金を盗む係員がいっぱいいたのだ。テレビがそれを隠し撮りしてから、減った。
でも、日本ならば安心なのである。
日本に到着し、手荷物受取場へ行くと、地上係員さんが、トランクが傷つかないように、ベルトコンベアの上のトランクを丁寧に動かし、大事に扱っている。
悪いが、そんな国は日本だけである。
ぼくが言いたいのは、日本人こそ、日本の資源なのだ、ということである。
そんな、いいなりの日本人は人間らしくない、と批判する人がいるかもしれないが、トランクを床にたたきつける国民性でなくて、いいんじゃないの、と思いません?
涙が出たのは、そこに「日本」がちゃんと見えたからである。(これは政治的発言ではないので、誤解しないでくださいね。政治はまた別です)

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」

滞日日記「福岡空港でまたまた日本の素晴らしさに涙した、父ちゃんなのであった」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、父ちゃん、福岡ライブ、からの、親孝行、からの、映画舞台挨拶をやって、今日、再び、東京に戻ってきました。毎日、日本に感動をしております。
「おにいちゃん、ありがとうね」
母さんがホテルを出る時に、そう言いました。よかったよかった・・・。
さて、今後の父ちゃんスケジュールです。

8月29日、名古屋ダイヤモンドホールでのライブ、
8月30日、東京EXシアターでのライブ、
9月3日、京都劇場でライブ
9月1日、辻村(tsujiville)開村
9月16日、NHKBS、新作「パリごはんSP」その一週間前から連日過去作一挙再放送。
2024年2月末、伊勢丹アートギャラリーにて絵画初個展「les invisible」開催。

●「ボンジュール!辻仁成の春のパリごはん」
【BSP】9月11日(月)午前6:15~7:14
※初回放送 2021年6月18日

●「ボンジュール!辻仁成の秋のパリごはん」
【BSP】9月12日(火)午前6:15~7:14
※初回放送 2021年10月30日

●「ボンジュール!辻仁成の冬のパリごはん」
【BSP】9月13日(水)午前6:15~7:14
※初回放送 2022年2月23日

●「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022春」
【BSP】9月14日(木)午前6:15~7:14
※初回放送 2022年6月17日

●「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022夏」
【BSP】9月15日(金)午前6:15~7:14
※初回放送 2022年9月23日

●「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022秋冬」
【BSP】9月16日(土)午後1:00~1:59
※初回放送 2023年2月17日

●「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2023春」
【BSP/BS4K】 「パリごはん2023SP」(9/16土曜20:00~21:29)
今回が、初回放送になる、新作です!!!!!



自分流×帝京大学