某月某日、さんちゃんはノルマンディでジュリアの一家と休暇を過ごし、今はパリに戻り、毎日、預けられているわんこたちと森を走りまわっているらしい。
森は、パリ郊外に広がるヴァンセーヌの森なんだけれど、パリとは思えない広大で野性的な場所で、犬たちの楽園なのだ。
大型犬が自由に走り回っているので、ちょっと怖いのだけれど、よく飼育されているから、大丈夫、笑。
で、ジュリアたちのグループは何人かのドッグトレーナーがパリの各地から集まり、預かっている犬たちを集めて、一緒にトレーニングをやるから、壮観。
ま、森を走る、わけだね。
「ムッシュ、日本はどうですか？」
「暑いよ。ジュリア、そっちは？」
「肌寒いですよ。秋って感じです」
地球は広いのである。世界が灼熱化している一方で、パリは涼しいらしい、羨ましい。
「三四郎は元気？」
「ええ、もう、よく寝て、よく食べて、よく遊んでいます。でも、森から戻って来ると、お昼寝は必須ですね。みんな、午後は夢の中へ」
「あはは」

※ この寝顔が、たまらない～、癒される。

「一度、日本に行ってみたい」
「夏はびっくりするくらいに暑いよ」
「でも、わたし、日本の漫画で育ったから、憧れてるの」
「なるほど」
「日本の若い子たち、みんなルフィみたいなんでしょ？」
「え、まぁ、そうだね」
「ハラジュクとかシブヤとか、きっと凄いですよね」
「凄いよ、言葉で説明できない」
「タケシタドオリって、知ってます？」
ジュリアの家はパリの北の郊外で、ちょっとガラの悪い地域で、警察がしょっちゅう不良たちと揉めている地区で、パリを壊しにくるカッサー（破壊する若者）たちの巣窟のような場所で、とにかく、そういう場所で犬たちと暮らしている女の子なのである。
彼氏はいるけれど、その子も犬好きで、生活の中にたくさんの犬たちがいて、ジャージのズボンは犬の毛で真っ白という女の子なのだ。
18歳とか19歳だと思うけれど、しっかりしていて、犬で十分生計をたてられるのだ。一泊、4，5千円もするので、いつも数匹は預かっているから、実はお金持ちかも。
信頼できるから、ぼくみたいな人は彼女に預けるわけで、ちょっと危険な地区なんだけど、ジュリアの家だけ瀟洒なマンションという感じなのであーる。
でも、犬愛が半端なく、それが仕事なんだから、彼女は幸せだね。
そこに集まっている若者たちもみんな不良には走らず、犬に走って、だから優しい。

「ムッシュ、もしタケシタドオリに行くことがあったら、写真、撮っておくってください」
「え？　竹下通りかぁ、なかなか別世界だけれど、よし、わかった。写真、撮っておくるね」
で、約束だから、夜、タクシー飛ばして行ってきたのだ、父ちゃん、30年ぶりくらいの、竹下通りであった、・・・。ふふふ。
運転手さんに、5分で戻りますから、と言い残し、あの短い通りを全力疾走の父ちゃんであったぁ。
それをジュリアに送ったら、
「わおーーーー」
と返事が戻って来た。
喜んでもらえた。
まさか、こんなところで竹下通りと接点が出来るとはね・・・。
ECHOESはデビュー前、原宿とか渋谷とか竹下通りで遊んでいたのであーる。懐かしかった。あんまり変わってなかった三十数年前と・・・。
あはは。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
さて、お知らせです。
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伊勢丹アートギャラリーでの初個展は来年、2月末です。てんこ盛りですねー。熱血。
適度のアルコールが健康にはいいって、主治医が言ってたもん。

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