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パリ最新情報「フランスでレシートの発行が8月1日から廃止に。エコロジーの観点から」 Posted on 2023/08/03 Design Stories
フランスでは環境対策のため、小売店でのレシート発行が原則廃止となった。
2023年8月1日から全国で始まっている。
当初は1月に施行される予定だったが、この措置は2度延期された。
理由は小売業者に準備の時間を与えるため、そしてインフレ下における消費者の混乱を防ぐためである。
(仏内閣はここ数週間のインフレ率低下を示唆した。)
対象は購入時のレシートおよび、カード支払い時に別途発行される決済レシートである。
なお客がその場で発行を依頼した場合や、家電製品など保証の手続きにレシートが必要な商品は例外となる。
廃棄物対策法(2020年)に規定されているこの措置は、資源、特に森林を保護することを目的としている。
フランスでは毎年120億枚のレシートが印刷されており、使用される紙の重量は15万トンにも及んでいるという。
ところがそのほとんどは値段を確認したあとにすぐゴミ箱行きで、家計の計算に必要という家庭を除いては資源の無駄であるとの意見が強まっていた。
実際には、数か月前より多くの小売店で試験的に導入されていた。
スーパーマーケットでは支払い時に「レシート必要ですか?」と訊かれ、消費者側は要るか要らないかをその場で答える。
しかしここ数か月の動向を振り返ると、フランス人の多くが「必要ない」と答えていたのが印象的だった。
そのような経緯もあって、8月1日からの施行はスムーズに行われていると推察できる。
現在では大きな混乱もない。
事実、調査会社OpinionWayが今年3月に実施したアンケートでは、フランス人の73%がレシート印刷を廃止することに賛成だと答えているという。
スマホ決済も増えており、レシートはオンラインで保存、という人も少なくない。
ただレジ打ちミスで発生する価格間違いを指摘するにあたっては、その場でレシートが必要だと主張する人もいる。
ということで今まであったレシートの自動発行は終わりになったが、今後レシートを受け取るかどうかの選択は消費者に委ねられる。
こうしたレシートの廃止問題は、感熱紙がリサイクルできないことに起因している。
レシートのためだけに伐採される木の数の多さを考えると、やはり身近なところから削減を考えていきたい。
なおフランスではレシートのために年間約2500万本の木が伐採され、180億リットルの水が使われているということだ。(ち)