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パリ最新情報「フランスで徐々に始まる、オーバーツーリズム対策。生態系・住民の生活を守るため」 Posted on 2023/08/01 Design Stories  

 
パンデミックが落ち着いてから、フランスは観光大国の名を取り戻した。
今年1月〜4月にかけてはパリ首都圏だけでも、1150万人以上の観光客が訪れている。
この数字はコロナ前の2019年に近づいており、2022年に比べて27%も高いという。
 

パリ最新情報「フランスで徐々に始まる、オーバーツーリズム対策。生態系・住民の生活を守るため」



 
しかしフランスの一部では、オーバーツーリズムに向けての対策が取られるようになった。
首都パリではそのようなことはないが、対策が取られているのは地方の海岸部や山間部、国立公園などである。
1日の入場者数を制限することによって、自然生態系および歴史的建造物、住民の生活を守ろうとするのが目的だ。

たとえばブルターニュ地方にあるブレハ島では、今年から1日の訪問者数の上限を4700人と定めた。
正確には2023年7月14日から8月25日までの間、月、火、水、木、金曜日の午前8時30分から午後2時30分まで、日帰り観光客の入島を4700人までと制限する。

島の住民にとっては、この措置は非常に重要だったという。
というのは、増えてしまったゴミ問題、騒音問題、景観破壊に住民・自治体が対応できなくなっていたため。
またブレハ島の自治体は「観光客が大勢訪れると、島への満足度は急速に低下する」とも指摘し、今後は住民の生活を尊重しながら環境に配慮した方法で、観光体験の質を向上させたいと述べている。
 



 
一方、マルセイユのカランク国立公園では、昨年からスギトンの入り江への1日の訪問者を400人に制限する予約システムを導入している。
国立公園の理事会は、環境への影響は1シーズンだけでは判断しかねるという理由から、今後5年間にわたって入場制限を設けると発表した。
南仏にある島、ポルクロール島やコルシカ島の一部、ラヴェッツォ島への入場制限も同様に行われている。
いずれも既存の生態系を保護する目的があるという。

山も対象外ではない。近年では山間部での入場制限も目立っており、ヨーロッパ・アルプスの最高峰、モンブランでは1日の登山者数を214人までと定めた。
※214人は避難所にあるベッド数と同じ数。
こうした措置は、避難所がオープンしている期間(5月中旬から9月末まで)に実施され、特に事故や登山者が高所に残したゴミの量を減らすことを目的としている。
 



パリ最新情報「フランスで徐々に始まる、オーバーツーリズム対策。生態系・住民の生活を守るため」

 
なおノルマンディー地方にあるエトルタ島でも、住民らが観光客の入場制限を望んでいるそうだ。
現地住民で構成される「エトルタ友の会」は、1日あたりの観光客数を5,000人までとした上で、オンライン予約を導入するよう求めているという。

このようにフランスのオーバーツーリズム対策は、パンデミック以降徐々に増えつつある。
パリや他の都市部では設けられていないが、大自然のもとで暮らす地方の人々にとっては、その生活と自然環境を守ることが最優先となる。(オ)
 

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