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ドイツは小学4年生で将来が決まる?進学問題、ところ変われば。 Posted on 2023/07/29 マイヤー 智栄 会社員 ドイツ・マインツ
いよいよ息子の通う小学校でも夏休みが始まりました。3年生が終わり、夏休み後には4年生に。ドイツの小学校は4年制なので、小学校生活も残すところあと1年。そして最近、息子のクラスの父兄の間での話題といえば『次の学校はどこにするか』ということばかりです。
ドイツで学生生活を送ったことのない私にとって、ドイツの学校制度は?だらけ。特に、小学校の次にどの学校に進むかで、大学に進学できるかできないかがほぼ決まる、と知った時はかなりの衝撃でした。
小学校の次の選択肢としては以下の3つがあります。
ギムナジウム Gymnasium
レアルシューレ Realschule
ハウプトシューレ Hauptschule(現在多くの州で廃止となっています)
このうちアビトゥアAbiturと呼ばれる大学進学のための資格試験が受けられるのはギムナジウム卒業者のみ。他は職業教育が主な目的の学校で、卒業してもAbiturの受験資格はありません。
5年生、6年生はオリエンテーションの学年とも言われ、ギムナジウムに行けても成績が悪い生徒は追い出され、ギムナジウム以外の学校ですごく成績の良い生徒はギムナジウムに転校できることもあるのだとか。ただし、ものすごく狭い門らしいですが。
ギムナジウムへ進めるかは、入学試験があるわけではなく、小学校の担任の先生の推薦と3−4年生での成績で決まります。(ちなみにドイツでは学校で成績表をもらうのは3年生からで、1年生、2年生の間は「成績表」というものはありません。)地域間、学校間によってもギムナジウムへの進学率は異なりますが、息子が通う学校では、担任の先生によると、毎年約80%の生徒がギムナジウムに進学するとのことでした。
小学校4年生終了時点で大学進学が決まる、というのはかなり酷だと思いますし、その後の人生での格差を生みやすいシステムなような気がします。
息子の学校の宿題やテストを見ていると、家で親が確認しないと、宿題をきちんと終わらせてテストの対策をする、というのはかなり難しいのでは、というのが実感です。3年生にもなると、私では教えられないような内容もかなり出てきて、我が家では現地校に関してはドイツ人の夫の担当です。
外国人が増えているドイツでは、親がドイツ語を話せない、という家庭も少なくありません。そういう家庭ではテスト前に親が一緒に練習することもできませんし、宿題を確認することもできません。また、たとえ親がドイツ人であっても、子供にかける時間がない、といった家庭の子供はやはり学校では不利でしょう。
来年1月には次の学校の出願が始まります。私が住むマインツ市にはいくつかのギムナジウムがあり、どこに出願するか悩ましいところです。夏休み明けには各学校で説明会が開催されるようなので、実際行ってみて雰囲気を確認して。。となるのでしょうか。
夏休みは始まったばかりですが、その後のことを考えると既に私の頭の中は爆発寸前。とはいっても、実際通うのは息子なので、本人が行きたい!と思える学校を見つけてそこに進めればいいな、と願うばかりです。(マ)
Posted by マイヤー 智栄
マイヤー 智栄
▷記事一覧東京都出身。2010年よりドイツ、マインツ在住。
ドイツ人の夫と息子、2匹の猫との5人暮らし。