JINSEI STORIES
滞日日記「父ちゃんは猛暑の中、駐車場で練習をしているのだ。暑いね!」 Posted on 2023/07/28 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、東京に入ってから、父ちゃんは毎日、宿の近くの駐車場を借りて、一人でがんがん歌の練習をしているのだ。
しかし、暑い。
これは、実に、暑いのであーる。
倒れちゃいけないので、ドリンクを飲みながら歌っている。
これをバンドのリハーサルが始まる8月15日まで毎日、続けることになる。
なかなか、凄い光景なのだ。
38度くらいの炎天下、63歳のおやじが、ギター抱えて汗だくになっている。
初日はあまりに暑くて、倒れそうになった。
Tシャツはサッカーの試合直後くらいのびしょびしょである。
もちろん、観客はいないが、工事業者の人が次々やってきて、父ちゃんの前に小型トラックとかがずらり並んで、なぜか、皆さん、すぐに現場に行かないで、ドアを半分くらい開けて、聞いているわけでもないのだろうが、目を逸らしながら、じっとしている。
昨日は、3台、計六人の聴衆がいた。
聴衆・・・。
拍手はないが、その中で、全力で熱唱している父ちゃんなのだった。
なかなか面白い絵であった。
それで、今日は、暑さを凌ぐためと工事業者の人が絶対に来ない時間帯を狙って、朝の7時から練習をスタートすることにしたのだ。
朝4時に起きて、身体を起こすためにマットで運動を一時間半やった。あはは。
朝だと、まだ、そこまで暑くはないし、身体も元気である。
確かに日本は凄く暑いが、しかし、この湿度が有難い。喉にはいいのだ。
毎晩、パリでは、加湿器三台回して、湿度90%で寝ていたので、東京はすでにパリの二倍くらいの湿度があるから、寝苦しい夜ではあるが、加湿器は2台に減らしても、大丈夫。もっと、湿度くれ、もっと湿度くれ、と思うボーカリストな父ちゃんであった。へんたいさん。
ということで、今日は、絶好調なリハーサルが出来たので、建物の管理をやっている方に、携帯で写真を撮影してもらった。
この椅子は、行きつけのバーからお借りしている。
この椅子をツアーでも使わせてもらうことにした。あまりに座り心地がいいからである。
今回のアコースティック・セレナーデは、珍しく座ってギターを弾いたり、歌ったりしたいなぁ、と思っているのである。
ちょうどいい高さだった。
椅子の上に麦わら帽子を置いてみたら、絵になった。
おお、今回のイメージはこれだ、と燃え上がった父ちゃんなのでした。
ということで、これからマッサージに行って、その後、茄子の味噌炒めを作って食べて、午後からは新宿で超大事な打ち合わせがふたつあって、夜、また駐車場に戻って小一時間、歌の練習をやる予定なのである。
スタジオに行けばいいじゃないかって?
いや、駐車場で汗を流したい。冷房の空気は喉にほんとうによくないのである。
この東京の暑さが好きだ。へんたいさんだ。
えへへ。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ということでマッサージに行ってきますね。身体づくり、しっかりやっておきます。熱中症には十分気を付けているのでご安心ください。
さて、お知らせです。
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