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日本とこんなに違う、フランスのキッチン事情 Posted on 2023/07/27 ルイヤール 聖子 ライター パリ
フランスのキッチンを使っていて、「これは日本と違う…」と思うことがままあります。
とは言っても、日本と同じように、さまざまな形が存在するフランスのキッチン。
I型、L型、アイランド型と、そのレイアウトはアパルトマンか一軒家か、単身世帯かファミリー世帯によってもだいぶ異なります。
※一軒家のキッチン。
何が違うと思ったのか。それはまず、流し台のシンクです。
一番は、海外でよく見かける「ダブルシンク」です。
ダブルシンクはフランスにもあって、その歴史は長いようです。
水が貴重だった昔は片方に水を溜め、そこでしっかりとすすいでいたとのこと。
しかし今では使い方に明確なルールはないようで、片方のシンクを調理用に、もう一方を皿洗い用にと使い分けたりしています。
※角ばったデザインが多いフランスのシンク。
※アパルトマンによってはまん丸タイプのシンクも。
ただフランスのシンクは、全体的に日本に比べて狭め、というイメージです。
これも家庭によるので一概には言えませんが、主な理由は食洗機が浸透しているからじゃないかな、と思います。
フランスの方は、皿洗いは基本がんばらない。
硬水なので手も荒れやすくなります。
ということでフランスでは、食洗機の普及率がかなり高いです。
料理を終えた後は、フライパンや繊細なワイングラスなど、食洗機にかけられないものをシンクで洗っている、というイメージでした。
もう一つ、「電子レンジ保守的問題」があります。
というのは、日本では電子レンジが大活躍していますが、フランスは逆のオーブン文化であるためです。
つまり電子レンジは温める専用で、調理には使わない。
調理をするのはもっぱらオーブンで、ということになります。
以前、ホームパーティーでポテトサラダを作ったことがありました。
その際、ジャガイモをラップにくるんで電子レンジで加熱したところ、フレンチマダムに怪訝な顔をされてしまいました。
「時間の節約と、なるべく洗い物を出さないため」と説明したところ、一同「・・・(へえ、という表情)」。
時短、というのはフランスの方には響かなかったようです。
私は分析しました。
平日はそんなに手の込んだ料理を作らない、一方で土日はゆったり時間が流れるので料理に時間をかけても大丈夫。
よってジャガイモやその他は基本的に茹でるので、電子レンジは本来の温め機能のみ。
ということで「電子レンジ活用術」というのは、フランスでは特にありませんでした。
※朝ごはんも、お弁当があったとしても、普段は超簡単に済ませます。
ガスコンロもフランスでは少なくなってきました。
ほとんどがIHのビルトイン型コンロです。
これには困ったことは特にありませんが、「海苔を炙りたい」「日本の魚焼きグリルが恋しい」と思うことはたまにあります。
コンロ下の魚焼きグリル機能は、フランスにはもちろんないのですが、これも外国人が日本に来て驚くことの一つなのではないでしょうか。
※料理好き、日本ファンの間では日本の包丁が素晴らしいと有名です。
キッチン周りの美的センスについては、さすがだなと思います。
たとえばゴミ箱が見えたら美しくないからと、キッチン扉の中に収納してしまったり。
扉の開閉によってパカッと開くゴミ箱は、お父さんたちの手作りであったりします。
フランス家庭料理が作られる裏側には、こうしたキッチン事情があります。
訪問した家庭でその暮らしぶりを見せてもらうと、フランスのリアルな文化にも触れられるようで、楽しいです。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
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猫と香りとアルザスの白ワインが好き。