JINSEI STORIES
滞仏日記「オランピア劇場ライブ第二段YouTube、故郷がアップされました!」 Posted on 2023/07/17 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、オランピア劇場ライブの第二段YouTubeが公開されたのである。「故郷」という曲なのだ。
この曲は大震災直後に日本のことを想いながら作った曲である。これの最初のYouTube動画はしかもモンサンミッシェルでたった一人で撮影をしたものであった。
渡仏して20年近くが経つのだけれど、一万キロも離れたフランスで、しかも今はその田舎のノルマンディで、(モンサンミッシェルもノルマンディである)こうやって生きていると、日本から届くニュースに、泣いたり笑ったり黙って昔を思い出したりしている。
故郷を想うと様々な気持ちが揺れ動き涙が出ることがある。
まずは、聞いてもらいたい。
5月29日、オランピア劇場で演奏した「故郷」は素晴らしい出来栄えであった。
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あんなに5月29日のライブに向けて、練習を積んで来たし、ポスター貼りなどを頑張って来たのだけれど、終わってしまうと、当然だが、すべては過去になる。
でも、こうやって動画が出来、あの日を思い出すことも出来るから不思議だ。
大舞台だったし、失敗は許されなかったので、あの時、ぼくはステージに押し出されて立ったはいいが、最後の曲が終わるまで、記憶がほとんど飛んでしまっていた。
あまりに大変過ぎて、全部覚えてないのだ。
でも、積み上げてきた練習の成果というか、身体は覚えていたのだった。
今、こうやって、あの日の映像をみていると、ちゃんと歌っている自分がいて、不思議でならない。もうこの時のぼくは歌うのが精いっぱいだった。
焼き付けたこと、覚えていることを身体が勝手に表現していたけれど、あとは真っ白だった・・・。
それがこの「故郷」にはよく出ている。力が抜けて、思い切り歌っているのだから。
一生の宝物になった。
めるしー。
そして、熱血でこれからも行くよ。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
過去を振り返るのはあまり好きじゃないのです。だから、ぼくは卒業アルバムとか一切持ってないんです。過去の写真アルバムもありません。でも、この動画はそんな「過去を振り向かない」自分にとって、唯一輝かしい過去の記念になりました。
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