JINSEI STORIES
滞仏日記「過保護なうちの犬に餌を作ったり、愛をください、と歌ったりの孤独な父ちゃん」 Posted on 2023/07/06 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、さんちゃんが可愛くて仕方がないのである。
この子はとってもいい子だと思う。
犬なんだけど、人間みたいに見える気がする。
まさしく、さんちゃん病であーる。
で、今日は朝から、鳥のささみ肉と白菜を炊いて、今月分の三四郎のご飯、30食を拵えたのであったぁ~。☜ やりすぎ?
だって、ドッグフードだけだと可哀想だし、でも、人間の食べるものを与えるといけないって先生に言われているから、いろいろと犬の栄養学を勉強して、たどり着いたのが、鶏ささみと白菜の煮込みなのである。
(キャベツよりも犬には白菜がいいらしい。詳しくは知らない、うちの犬係のセギュールさんが言った)
これをね、鍋で煮込んで、塩胡椒、味付けはもちろん、無し。
でも、煮込むことで鶏肉のうまみ、白菜のうまみが滲み出るから、さんちゃん、大好物なのであーる。
あはは。
鍋で煮込んで、粗熱をとったら、カップケーキ型に入れて、冷凍し、固まったら、取り出して、ジップロックに詰め込んでいくのであーる。
これを、夜のご飯の時に、解凍し、ドッグフードの上に載せてあげる。
カツ丼のような、親子丼のような見た目になるのだけれど、食いつきがぜんぜん違うし、愛情を注ぐことがぜったい伝わっているし、親としても超嬉しいし、息子を育ててきた歴史を思いだすことも出来てじわっと幸せになるし、ある意味の寂しさも紛れるし、父ちゃん、幸せなのだ。
あはは。
ちょっと辻さん、過保護過ぎませんか、と言われることもあるが、愛情って、ここまでとか、足りない、やり過ぎ、とか、関係ないから。
好きならば、好きなだけ、好きでいてあげたいよね。
それは人間だって、同じだい。
ほんとうは、人間に、そういう愛情をむけたいのだけど、ご存じのようにぼくにはそういう人が今のところいないので、(募集中!)、その上、息子が自立しちゃったし、寂しくはないけれど、その分、生産されていく、誰かを愛してあげたい、という気持ち? 好きでいいいよね、って言えるものを三四郎にあげられるのは、滲む幸せなのだ。
ぼく、尽くすのが好きだから、うざいって思われるのかもしれないなぁ。さんちゃん、父ちゃんはうざいですかぁ?
あはは。
ぼくはね、日本でライブが出来るのを今、めっちゃ愉しみにしているのであーる。
愛情を向けられるもの、いいえ、愛を向けられる人がそこに、客席に座っているからであーる。皆さん、ありがとう。
こんな父ちゃんでも、ずっと応援してくれる人がいてね、バカにされても、いつもいるんですよ、応援者の皆さんに、愛を分けたい。
わかります?
みんなにも、さんちゃんのドッグフード食べさせたいんだよ。☜ はぁ?
鳥のささみと白菜の煮込みがけのドッグフードだなんて、絶対、うますぎるでしょ?
それに負けない最高の音楽を今回の日本では届けるつもり。
バラード、セレナーデが中心だけれど、じわじわっと心に響くライブになるんだよ。
歌の辻を全面に出す、ライブになるんだ。
シングルファザーになった時、愛を向けられる場所が狭まって、歩いていく人々の後ろ姿を見て、ぼくは路上で歌っていた。
セーヌのほとりとかで・・・
オランピア劇場で歌っている時、なぜか、あの日の光景が頭を過ったんだ。
美しい切ないセーヌの川面だった。
今回のライブはそんな父ちゃんが皆さんに届けるセレナーデになるんだ。
息子が巣立って、ちょっと寂しいのかもしれないけれど、ライブに集まってくれる人の前にギター担いで立って、元気に、歌うよ。
「愛をください~」
静かな熱血でいくのだ。
※ これが父ちゃん作の「愛のかたまり」です。これをレンジで解凍するのだけど、解凍するのにコツがあります。均一に熱をいれて、食べやすい温度にするのがね~、愛。
人生はつづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
7月8日が日本公演、名古屋、東京、京都のチケット一般発売開始日なのだけれど、本当に残ってないようなので、今日は、中原さんとそのことで朝から、応援頂いているのに、皆さんに申し訳ない、というやりとりをしたのでした。
福岡は22日に一般発売ですが、追加公演なので、そこはもう少し、席があるようです。
今回はバラードをじっくり歌う、かなり至近距離でのライブを目指すので、派手なロック演奏はあまりなく、でも、逆にずしんと心に響くものになると確信中・・・。
あ、ロンドンから、チケットが出来てきましたが、日本のシステムが違って、QRコード・チケットになんですね、へー、びっくり、飛行機のチケットみたいなもので、機械に翳して入場するのだという、さすが、ロンドン。(発売日がいつになるのか、もう少しお待ちください)
そうそう、今日、オランピア劇場ライブ後、久しぶりに、あのベルトランとも会いました。
「ロンドンでやるだなんて、知らなかった。ぼくともまた仕事してよ、もう一度、パリでもやりましょうよ」
と言われ、来年の秋に提案された劇場のひとつが、トリアノンという老舗の超うっとりする素敵な劇場で、そこで出来るといいね~、と言って別れたのでした。
日本公演は、日本の仲間たちとバラード中心、英国の公演はオランピア劇場とほぼ同じメンバーでホットなワールドミュージックになるでしょう。どちらもいいですよね。いつか、日仏混合バンドで大きなライブもやりたいね。
さて、7月16日の地球カレッジは、エッセイのお勉強会になります。いろんな顔を持つ父ちゃん講師が文章教室を開催いたしますので、音楽も好きだけれど、文学も好きな皆さん、覗きに来てね、詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリック!!! めるしー。