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パリ最新情報「印象派の殿堂、オルセー美術館。マネ・ドガ名画の対比、開催中!」 Posted on 2023/07/04 Design Stories  

 
今年で開館37年を迎えるオルセー美術館。
傑作揃いの常設展、切れのある企画展はもちろんのこと、パリの廃駅に印象派の名画が展示されるという趣が、オルセー美術館にまたとない魅力を与えている。
 

パリ最新情報「印象派の殿堂、オルセー美術館。マネ・ドガ名画の対比、開催中!」



 
パリは19世紀後半に「印象派の都」となった。
オルセー美術館には当時の名画が並んでいる訳だが、現在は印象派に密接に関わった二人の画家、マネとドガの特別展が開催されている。

今年3月28日から7月23日まで開催される「マネ/ドガ展」は、同じ時代に生きた二人の友情やライバル関係を浮き彫りにする、「鏡」のような展示が話題だ。
同展では、印象派誕生前の作品からスタートし、裕福な家に生まれたマネとドガの出自や交流、時に対立関係にも言及しながら、両画家の名作の数々を紹介していく。
 

パリ最新情報「印象派の殿堂、オルセー美術館。マネ・ドガ名画の対比、開催中!」

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マネの作品は、はっきりした輪郭や色彩、独特な構図が特徴的である。
しかしドガはパステル調の色彩に繊細なタッチが光る一方で、一瞬の表情に鋭い印象を残す。
二人に共通するテーマとしては、競馬場やパリの娼婦、バーの酔客など、当時は美術的にタブーとされたものが多かった。
 

パリ最新情報「印象派の殿堂、オルセー美術館。マネ・ドガ名画の対比、開催中!」

※マネの人物画『Portrait de Zacharie Astruc』

パリ最新情報「印象派の殿堂、オルセー美術館。マネ・ドガ名画の対比、開催中!」

※ドガの人物画『Femme Accoudée près d’un Vase de Fleurs』



 
印象派の先駆者になったマネ。
彼はその絵と題材の選択で、当時の芸術界においてスキャンダルを巻き起こした。
2歳年下のドガもまた、テーマや画風が多彩で豊かな画家だった。
 

パリ最新情報「印象派の殿堂、オルセー美術館。マネ・ドガ名画の対比、開催中!」

※当時スキャンダルになったマネの『オランピア』も展示されている。

 
生粋のパリジャンで、似た階級出身のマネとドガは友人関係にあったという。
しかしドガの描いた『マネとマネ夫人像』において、夫人の顔の描き方が気に食わないと、マネは顔のあたりから右側を切り取ってしまう。
この一件で二人は仲たがいするのだが、その後はきちんと仲直り。ドガ自身はマネの死後もずっとマネを描き続けた。
喧嘩するほど仲が良い、とあるが、今回の平行展示は二人の見た風景、そしてドガがマネをいかに慕っていたかということが分かる内容だった。
なおオルセー美術館では同じく友人関係にあったモネとルノワール、ゴッホとゴーギャンの作品もそれぞれ近くに展示されており、大変に趣深い。
 

パリ最新情報「印象派の殿堂、オルセー美術館。マネ・ドガ名画の対比、開催中!」

※ドガの描いたパリのカフェ風景。やはり表情に独特な印象が残る。



 
そんなオルセー美術館には、毎年300万人近くが訪れる。
開館40年の節目を迎えるにあたり、2025年〜27年にかけては大規模な改修工事も予定されている。
工事の一環としては、列を減らすためにエントランスの拡張が予定されているほか、新出入り口が建設されるということだ。
また、企画展専用のスペースも300m²近く拡張される。ただ工事期間中は閉館することなく、通常通りの展示が行われるという。
 

パリ最新情報「印象派の殿堂、オルセー美術館。マネ・ドガ名画の対比、開催中!」

※大時計も健在。

 
名作あふれる常設展もさることながら、オルセー美術館ではこうした企画展が面白い。
なお今年秋には、ゴッホが亡くなる前の二か月間に焦点を当てたという貴重な企画展が用意されている。(せ)
 

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