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動物欧州横断日記「シチリア発祥のお菓子、カンノーロで、別れを告げる」 Posted on 2023/07/03 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、パリに帰る飛行機がゲットできた。
一機に対し、6匹以上の犬が乗ることが出来ないので、ガラガラでもチケットがとれないこともある。
でも、なんとか、いい席をとることが出来た。
で、帰る前に、食べておきたいものがあった。
シチリア生まれのお菓子、カンノーロであーる。
このお菓子を全世界的にさせたのは、映画「ゴッドファザー」である。
コルレオーネ一族というニューヨークの怖いマフィアが、裏切り者を殺す命令をピーター・クレメンザに出した。
殺しに行こうとすると、妻に呼び止められ「カンノーロ」を買って来てね、と言われる。河原で裏切り者をバーンと射殺したクレメンザが仲間に告げるのだ。
「銃は置いていくんだ。しかし、カンノーロは持ってきてくれ」
この場面がウケて、アメリカにいるイタリア移民を中心に、カンノーロが爆発的に流行ることになった。
なんと、続編でも、カンノーロは登場している。
そんな、歴史があったんか、そのカンノーロ、の写真をご覧いただきたい。
見たことあるでしょ???

動物欧州横断日記「シチリア発祥のお菓子、カンノーロで、別れを告げる」

※ こちらはレストランで最後にデザートとして、出された、ちょっと高級なカンノーロ。

動物欧州横断日記「シチリア発祥のお菓子、カンノーロで、別れを告げる」

※ 朝ごはんとして、イタリア人は食べたりもする。



中に、リコッタチーズが入っているのだけれど、小麦粉生地を薄く延ばして金属製の円筒で揚げ焼きしてつくった皮の中に、リコッタチーズ、バニラ、チョコ、ピスタチオなどを混ぜて作ったクリームを注入し、がぶりつく、マフィアちっくなお菓子である。☜表現が稚拙で、ごめんなさい。言い訳しません。
実にイタリア人、いや、シチリア人っぽいお菓子ではあるけれど、先にも述べた通り、シチリアはイタリアだけれど、北アフリカ、チュニジアに近く、アラブ圏の影響を受けている。
似たような形状のお菓子をアラブ圏で見たことがあるので、そういう影響で生まれたお菓子じゃないか、と父ちゃんは想像するのであーる。
でも、アラブ圏のものよりも、かなりクリーミーなのは、イタリアちっくだ。濃厚なエスプレッソコーヒーとの相性抜群であーる。
「銃は置いてってくれ!」

動物欧州横断日記「シチリア発祥のお菓子、カンノーロで、別れを告げる」

※ パン屋とかに、こんな風にカンノーロの皮だけ売っている。確かに、金属の円筒で揚げ焼き、家ではできんな。そこで、自分流のクリームをここに注入するのであろう。ううう、文化が、ここにも、文化があったぁ。

動物欧州横断日記「シチリア発祥のお菓子、カンノーロで、別れを告げる」

※ 同じ店に並ぶ、なんだこれ、的なイタリアの菓子パン!

動物欧州横断日記「シチリア発祥のお菓子、カンノーロで、別れを告げる」

※ シチリアのカンノーロ屋さん。



シチリアに行ったら、ぜひ、がぶりついてもらいたい、ま、ケーキという高級感はないが、イタリアを感じることのできる美味しさであーる。
イスキア島在住の八重樫シェフのレシピを待ちたい。
あはは。
さんちゃんは、相変わらず、猫が怖くて、
「パパしゃん、早く、パリに帰ろうよ」
と言い続けている。
はいはい、帰りますよー。

人生はつづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
パリ事務所の岡っち(長谷っちのあとがまさん)が「先生、仕事がいっぱいたまっています。早く帰って、どんどんこなしてもらわないと、困ります」と催促をされてしまったのだった。でも、なかなか几帳面で岡っちさん、ありがとう。戻ります。事務所スタッフにはピスタチオのお菓子を買いました。みんなで食べてもらいます。☜恩を売る。
さて、お知らせです。7月13日まで、父ちゃん監督作の「中洲のこども」が中洲大洋映画劇場で上映されておりますよー、福岡の皆さん、応援ください。
それから、ええと、来月、8月24日から9月3日まで、日本ツアーをやります。今までで一番凄い父ちゃんのライブパフォーマンスをお楽しみください。
で、お勉強会ですが、7月16日に、エッセイの書き方などを学ぶ、父ちゃん講師によるオンライン授業があります。エッセイ、書いてみたい、と思う皆さん、ぜひ、御参加ください。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックしてくださいねー。ぐらっちぇ。

地球カレッジ

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