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退屈日記「徒然なる今日の思い。戦争とライブとパリの暴動と」 Posted on 2023/07/01 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、6月28日の退屈日記の中で「ウクライナ侵攻が始まってから、戦術核の使用をプリゴジンは考えていた。ここで、重要になるのは、ポーランドだろうな、とぼくは想像している」と書いた。
プリゴジンがベラルーシに行き、小型戦術核を後ろ盾にキーウを目指す、ということを書いた中で、・・・。
今日のニュースで、「ポーランドが核配備をNATOに要請」というのがあった。
やはり、こうなるのだ。

その後、ベラルーシのルカシェンコ大統領は「配備された核をどう使うかは自分たちが考える」というような意見を言い出し、ロシアとの食い違い、というニュースも出た。
人を恐れて近づけないプーチン大統領はプリゴジンの反乱のあと、民衆の前に顔を出し、女子大生のおでこにキスをしたり、民衆に投げキッスをしたり、影武者だろうけれど、政権基盤の維持のために、とんでもないアピールをやりだした。
いったい、このテレビドラマばりの展開から、何を考えるべきか、ということだ。

核廃絶に向けた人類の協議など、もはや、どこへ行った、というくらい恐ろしい現実が付きつけられている。
ポーランドの人々はベラルーシの核配備とルカシェンコのいきなりの強き発言の裏にプリゴジンの存在があることを知り、明らかに戦々恐々としている。
民衆に投げキッスをするプーチンらしき人の行動といい、平和ボケをしている暇がないくらいウクライナ周辺が新たな局面に向かっているということである。
ウクライナは各地でロシア軍を圧倒しつつあるようだし・・・。
ポーランドがアメリカに対し、核兵器の配備を要請したことが、いったい、どこへ飛び火するとあなたは思うだろうか? それは、まず、韓国じゃないか、とぼくは思っている。
核廃絶からもっとも離れた場所に人類は立たされているのである。
欧州だけが不安定ではない。アジアも今、もっとも不安定な状態に移行しつつある。
ポーランドのモラビエツキ首相は侵攻後、ウクライナに真っ先に入ったトップの一人で、ポーランドこそ、ベラルーシやロシアを恐れている国はない。
今後、この要求は、バルト三国にも飛び火するだろう。
世界はすでに、新しい冷戦下(大三次世界大戦への途中)にある。
ベラルーシが次の戦場になる可能性もある。あるいは、小型限定核が最初に使用されるのはウクライナではなく、ベラルーシのどこかかもしれない。
このような時代に、平和をどうやって、維持していくのか、世界を見まわしたところ、どこにも希望が見えないのが、心配で仕方がないのだ。
力を弱めつつあるプーチン大統領が、下がれない場所まで追い詰められた時に、何をやるのか、それが今、もっとも警戒しないとならないことだ。
ウクライナ南部の原発や、ベラルーシや、ポーランドが、気がかりである。

退屈日記「徒然なる今日の思い。戦争とライブとパリの暴動と」



パリは警察官に至近距離で撃たれて死亡した17歳の少年の抗議デモが暴徒化し、今日はその少年の葬儀があるのだけれど、ぴりぴりとした土曜日が始まっている。
フランスの警察官が組織する労働組合は、「自分たちは、社会の害虫と戦争をしている」と発言した。
フランス政府はこの暴徒化した若者たちに戦車のような装甲車両を投入するらしい。
すでに数千台の車が破壊されたようだ。
ぼくの知り合いから毎日のように燃える家や電車や車の写真が送られてくる。
厳密にいえば、内戦のような状態がおきている。
今日の夜は、パリにいる人たちは家から出ない方がいい。
いったい、この世界はどこへ向かっているのか、ということだ。すべての海が閉ざされつつある・・・。

退屈日記「徒然なる今日の思い。戦争とライブとパリの暴動と」



ぼくは、こういう状況を受けて、パリに帰ることを早めることにした。
半月ほどのんびり休暇をとりたいと思っていたが、息子が心配なので、週明けなるべく早い時期に、パリに戻ろうとかしているが、飛行機次第であろうか。
バカンス時期に入り、飛行機の空席がない状態なのである。
それと、ライブが近づいている。一番早い、福岡国際会議場メインホールでのコンサート(8月24日)はもう来月に迫っている。
ぼんやりとできなくなってきた。
明日、福岡国際会議場メインホールの先行予約が締め切りになる。
一番大きな会場なので、東京や名古屋や京都で観ることが出来ない方々は九州で集結されたし、もちろん、ぼくもしばらくは福岡にいる予定なので、中洲あたりでばったり、会える可能性も・・・。いいね。
ともかく、ぼくはライブに全精力を傾けたい。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
さて、文章を書くのが大好きな皆さん、父ちゃんの文章教室があります。7月16日、エッセイ教室をやるんですよ。今回は、父ちゃんが普段どうやってエッセイを書いているのかを、具体的に、話そうと思っています。編集者さんから頂いた依頼をもとに、どういう風にエッセイを仕上げていくのか、書いていくのか、をご披露しながら、執筆のコツみたいなものを学ぶ90分になれば、と思っています。課題もあります。課題は、提出したい方だけでけっこうですので、ご参加ください。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックね。

そして、ライブのお知らせも!
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8/24(木)福岡国際会議場メインホール
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【オフィシャル最速先行】は、明日締め切りです。
6/22(木)18:00~7/02(日)23:59(抽選)チケットぴあ。
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