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パリ最新情報「エッフェル塔にも落雷が。フランスで年々増える激しい夏の嵐」 Posted on 2023/06/21 Design Stories  

6月の二週目から、フランスでは急な嵐が各地で発生している。
5月半ばから6月頭にかけては晴天が続き、パリでは一滴も雨が降らなかった。
しかしこの10日間では台風並みの暴風雨が2度も発生し、各所で大きな被害が出ているということだ。

6月18日(日)の夕方にも大きな嵐があった。
雷鳴と共に激しい雨が降り、仏気象庁はフランス44県に警報を発令するに至った。
中部地方では道路が冠水したり、屋根が吹き飛ばされたり、倒木のため運行が停止になった国鉄(SNCF)路線もある。
なおパリでは同日、エッフェル塔に2度の落雷が発生し、頂上部では瞬間最大風速123km/hを記録した。



パリ最新情報「エッフェル塔にも落雷が。フランスで年々増える激しい夏の嵐」

エッフェル塔には避雷針が設置されている。
これは設計者のギュスターヴ・エッフェル氏が建設当時から計画していたもので、合計では頂上に4本あるという。
過去には平均で年に5回ほどの落雷だったが、近年ではその回数も増えているということだ。

330メートルの高さを誇るエッフェル塔は、雷に打たれる確率が他の建物よりもはるかに高い。
しかし雷が避雷針を外して落ちた場合でも、エッフェル塔の格子構造が防護の役割を果たし、雷のエネルギーを建物の外側だけを通して素早く地上へ流すことができるのだという。
幸い一般の人はこの外部梁にアクセスできないため、エッフェル塔への訪問者に危険が及ぶことはない。
とはいえ一日に2度の落雷が発生したというのはフランスでも大きなニュースになった。
建物や人に被害はなかったが、画像的には大きなインパクトを残した。

パリ最新情報「エッフェル塔にも落雷が。フランスで年々増える激しい夏の嵐」

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このように、フランス夏の熱波は突発的な暴風雨まで生み出している。
夕立は昔からあったものの、近年ではその強度と頻度が増し、南国のスコールに似た降り方をするのが特徴だ。

バカンスの行き先にもちょっとした変化が起きている。
フランスでは、昨年夏の猛暑が記憶にまだ新しい。調査によるとフランス人の半数以上(56%)が「暑さのために夏季休暇の習慣を変えたい」と考えており、現在では北フランス方面への予約率が昨年に比べ、25%もアップしているそうだ。※Ifop調べ、6月初旬

今年の行先で人気なのは、ノルマンディーの北部地方である。次いでパ・ド・カレーの海沿いも人気があり、穏やかな気候と低価格な滞在費・食費、そして人々の温かいもてなしが魅力なのだという。
国内組には南仏も依然として人気だが、熱波のおかげで北フランスでは「避暑地」としての需要が急速に高まっている。



パリ最新情報「エッフェル塔にも落雷が。フランスで年々増える激しい夏の嵐」

夏の嵐はフランスのどこにでも起こり得るが、気温の高さは人々のバカンス意識を変化させたようだ。
続くインフレの影響で、滞在先も友人宅や家族・親戚宅にお邪魔するなど予算を厳しく管理する傾向が見られる。
なお最近のパリも天候が変わりやすいので、旅行の計画がある方は仏天気予報(Météo France)のアプリなどをチェックするのがお勧めです。(内)

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