PANORAMA STORIES

マダム・アコのパリジェンヌ通信”パリジェンヌが愛する田舎の家” Posted on 2023/06/17 Ako アーティスト/フリージャーナリスト パリ

 
週日にしっかり働くパリジェンヌたちは、週末になるとスイッチを切るように休息ムードに入ります。
と、言うより、ワーキングウーマンのスイッチから、ウィークエンド・ノンビリエンジョイスイッチに切り替えると言ったほうが正しいかもしれません。
それはまるで別世界に飛び立つよう。
そして、本当に飛び立つ人が多いのです。
とは言ってもそれほど遠くなく。
田舎のお家=メゾン・ド・カンパーニュへ。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信”パリジェンヌが愛する田舎の家”



 
メゾン・ド・カンパーニュはパリから車や電車で1、2時間の地が多く、金曜日の夜に出発して日曜日の夕刻にパリに戻るのが主流。
2、3か月おきにあるバカンスを利用して、四季ごとにそこで1、2週間を過ごす人たちもいます。
しかしあくまで目的は「のんびりしに行く」ので、日常のひとつ。
旅行ではないので好奇心旺盛なパリジェンヌたちは時にもっと遠くへと旅の計画も立てます。
夏の長期休暇などはそんなわけで、半月くらい田舎の家、半月くらい遠くの知らない国へ。
従ってパリが空っぽになるというわけです。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信”パリジェンヌが愛する田舎の家”

マダム・アコのパリジェンヌ通信”パリジェンヌが愛する田舎の家”

地球カレッジ



 
コロナでのロックダウンを経験してからはお庭があることも貴重。
天気の良い日に庭にごろりとなって、静かに本を読んだり、 空を見たり、飛行機雲をたどったり、昼寝をしたり。
空気は甘く優しく、土の香りは心を癒します。
フランスでは「グラスマチネ」と言う言葉があります。
午前中一杯たっぷり眠る、ことを意味するのですが、お昼近くまで眠ったはずなのに、空気の良い田舎にいるといくらでも心地よく眠りに誘われことに驚きます。
ワイン付きのランチをとったら、またシエスタ。
しかしこれこそメゾン・ド・カンパーニュの存在理由。
来週へのエネルギーが再び湧いてくるのですから。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信”パリジェンヌが愛する田舎の家”



 
その所有は親や祖父母という人たちも多く、ファミリーの集いの場所となることもしばしば。
オープンなだけに友人もウェルカムで、小さなパーティになることも。
パーティと言っても途中で買ったパンとワイン(時にはシードルだったり)とチーズとトマトとラディッシュをテーブルに並べ、買い置きのパスタをゆで庭のバジリコを摘んでのせ、塩を振って一番搾りのオリーブオイルをたっぷりかけて出来上がり、の即席パーティだったりするのですが。
それでも一緒に美味しい空気をシェアしているというだけでなんだか幸せ。
ちなみに私の周りのパリジェンヌの多くが、最近、動物愛と動物保護のためお肉を食べなくなっていますが、永遠に育ちざかりの男子などが加わると、バーベーキューパーティに変わったりします。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信”パリジェンヌが愛する田舎の家”



 
パリジェンヌたちに人気の地のひとつは、ノルマンディー。
他の都市の人々は「なぜ雨や曇りの多いノルマンディーに?」と首をかしげますが、ここにはパリから一番近い海があるのです。
 少しばかり遠いし、真夏でなければ海で泳げるわけでもないのですが、新鮮な海の幸はあるし、広い浜をかけまわる愛犬も幸せそうだし、空はいつもより大きく果てなく。
日本のみなさんが休日に温泉に浸かりにいくように、 潮風に吹かれながら、水平線を見つめ、永遠に繰り返す波の音を耳に、パリジェンヌたちは、休日に砂浜を歩くのです。
 

マダム・アコのパリジェンヌ通信”パリジェンヌが愛する田舎の家”

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Posted by Ako

東京生まれ。1996年よりパリ在住。セツモードセミナー在学中にフリーライターとして活動を始める。パリ左岸に住みアートシーン、ライフスタイルなど、生のフランスを取材執筆。光のオブジェ作家、ダンスパフォーマーとしても日々活動。