初夏のマルシェでは、色とりどりの夏野菜が並ぶようになった。
トマト、パプリカ、アプリコット、メロンなど、今年春は天候にも恵まれたおかげで、旬の青果がとっても美味しそう。
もう一つ、夏野菜といえば「ズッキーニ」があるのだが、フランスでは花の部分をベニエ（Beignet、衣揚げ）として、アペリティフに登場することがある。
 

 
イタリア・南仏ニース地方における夏の定番、ズッキーニの花の天ぷら。
パリ周辺でもこの季節になるとマルシェに現れ、オレンジ色の綺麗な花は、野菜・フルーツの中でも特に目立って見える。
場所は限られてはいるものの、首都パリでは一部のレストラン、タパス・バーなどでズッキーニの花の天ぷらを味わうことができる。
 

 
癖のない味で、ふっくら・上品なズッキーニの花の天ぷらは日本人の口にもぴったり。
マヨネーズを添えるところもあるが、フランスでは多くの人がお塩と共にいただいているようだ。
もちろん、家庭でも作ることができる。
花の部分をよく洗い水気をきり、衣は小麦粉に冷たい炭酸水とお塩を少々。
花を1つずつ衣にくぐらせ、油の中で3分ほど揚げる。
※衣のレシピは家庭によって少し異なります。
 

 
そのままでも十分に美味しいのだが、花の中にモッツァレラチーズ・アンチョビを詰めたり、グリュイエールチーズ（とろけるチーズ）・ハムを詰めたりすることも。
アペリティフとして並んだ日には、美味しすぎて食べすぎて、お腹がメイン料理まで辿り着かないほどだ。
 

 
もう一つ、フランスの上品なベニエとして「アカシアの花の天ぷら」がある。
フランスにはアカシアの木がたくさんあって、ちょうど今の季節は白いお花をあちこちで咲かせる。
この花を房ごと天ぷらにし（レシピはズッキーニの花とほぼ同じ）、お砂糖や蜜をかけて“甘いおやつ”としていただく。
あるいは砂糖をかけず、きりっと辛口の白ワインと合わせてアペロのつまみに振舞うことがある。
 

※仏紙DIAVITAより

 
ズッキーニ本体も旬だが、花の天ぷらは今の時期だけの特別な料理。
見た目の華やかさも相まって、「今しか食べられない」という限定感に食欲がそそられるようだ。（チ）