JINSEI STORIES
退屈日記「800平米のスタジオ、美味しい食事付き。ひゃあ、これは凄い!」 Posted on 2023/05/23 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、フランスのプロの方々が使うスタジオは、シェフが料理をしてくれるのであーる。驚いた!
今日から、29日のライブまでのあいだ、ぼくらは看板も出してない、知り合いにしか貸さない、というプロ専用スタジオで、練習を開始したのだ、けれど、いやぁ、とにかく、美味しかった。
え?
練習そっちのけになるくらい、ピエロさんが作る料理が美味しいのである。
スタジオも広くて(全体で800平米もある)、リハーサル・スタジオの横に、大きなリビングルームもあって、コーヒーマシーンとか、冷蔵庫とか、卓球台とか、寛げる雰囲気たっぷり。
で、休憩していると、ピエロさんが控えめにやってきて、
「ごはん、そろそろ食べるかい?」
と聞いてきた。
一生懸命、歌ったので、腹ペコであった。
みんなが階段を上りだした。
練習スタジオは地階。一階はレコーディングスタジオなのだ。
そして、二階に、キッチンと食堂があった。
「ア、 ターブル!(席について~)」
と号令がかかり、みんな幼稚園児のように着席。
すでに、レンズ豆とジャガイモとニンジンの煮込み、野菜のサラダ、それにモルトソーセージがどーん、と置かれてあった。
デザートはリンゴのコンポートだった。
スタジオ借りて、ご飯が食べられるって、天国!?
「うまい!」
みんな、おかわりをしていた。
※ 黒いのがレンズ豆、身体にいいのだ。野菜サラダも美味しかった。モルトソーセージ、ちょっと薫な旨さだった。
※ ミュージシャンを愛するピエロさん。
※ 右がエンジニアのモディさん。
「宣伝しないんですってね」
「ああ、なんかね、好きな人にだけ、使ってもらいたいから、口コミだけなんだ」
ぼくらはパーカッショニストのジョルジュの紹介だったので、使うことが出来た。
値段を聞いてびっくり。
パリ市内の狭いスタジオ(17平米くらい)と値段がかわらないのに、こんなご馳走がついているし、なにせ、800平米を独り占めできる。
信じられない…。この物価高のご時世に・・・。
「音楽が好きでやってる」
「ピエロさん、料理も上手だけど、シェフの経験あるんですか?」
ちょっとぼくには仏語が難しくて、よくわからなかった。でも、あるのかもしれない。
「チーズとワインもあるけど、飲む?」
ぼくは、慌てて首を左右にふった。メンバーも、さすがに、練習中は呑まなかった。
よかった、真面目な連中で・・・。あはは。
「辻さん、明日はチキンにするけれど、いいかい?」
「ぼく、チキン大好きです!!!」
ということでいい練習になりました。
で、練習が終わったら、ジョルジュが、「全員集合」と言って、円陣を組まされたの。昔、エコーズも似たことやっていたので、懐かしかった。国が違っても、やることは一緒なんだね。
「いいかい、これが大事だから、結束して、最高のライブにしよう。ぼくらが力を合わせれば、最高の音楽が生まれる!熱血~」
ええええ、熱血という仏語じゃないけれど、ぼくには、そう聞こえたのだった。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ライブまで一週間ですね、一週間切ったかな。コンディションは最高にいい感じ。風邪も大丈夫そうです。今は人生の目標に向かって、着実に進んでいます。心配ごとは無限にありますが、もう、心配しても、オランピアは必ず成功させるしかありません。自信あり。
さて、オランピアライブのあと、6月18日に、パリ、サンジェルマン・デ・プレ界隈を散策するオンラインツアーをやります。ご興味ある皆さん、下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてください。