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パリ最新情報「藤に彩られた5月のフランス、心温まる種のお裾分けも。」 Posted on 2023/05/09 Design Stories
フランスでは今、藤の花が美しく開花中だ。
春の半ばに咲く藤は、フランス全国いたる所で見られる。
日本のような藤棚はないのだが、代わって見られるのはフランスの住宅街、外壁や柵に絡まる藤の姿。
19世紀から続く家並みとも相性が良く、落ち着いた色合いに淡紫色が美しく映えている。
ただ、もともと藤はフランスには存在しなかった。
原産地が日本、韓国、中国といった東アジアであったため、仏植物学者によって1800年代に持ち込まれたのだという。
そのためか、日本の見事な藤棚の光景はフランスの時事ニュースでも取り上げられることがあるほどだ。
こうして住宅街に咲くことの多い藤なので、パリ中心部では数が限られている。
ではどこで見られるのかと言うと、やはり郊外や地方にある“家の軒先”だ。
例えばパリのベッドタウン、La Garenne-Colombes(ラ・ガレンヌ=コロンブ)では、およそ数百メートルに一つといった割合で見事な藤を見ることができる。
「藤の街」と言っても差支えのないラ・ガレンヌ=コロンブ。
フランス特有の石壁にも藤色がよく似合う。
傍を歩けば麝香にも似た甘い香りが漂い、青空と淡紫色の癒しカラーが気持ちを膨らませてくれる。
こちらでは毎年多くの人が藤を楽しんでいるということだが、今年は住民による「種のお裾分け」も見られた。
藤の種はフランスでも市販されている。
しかし郊外・地方ではお裾分けが一般的だということから、これほど多くの藤が住宅街に咲く理由が分かった気がした。
なお頂いた種はすでに発芽し、可愛らしい芽が空に向かってすくすくと伸びている。
※こうして見られるフランスの“藤のリレー”。中には花穂の長いもの、真っ白な品種もあった。
一般的に藤の花言葉は「歓迎」「優しさ」となる。
ところがフランスには色によってさらに深い意味があるということだ。詳細は以下。
白:癒し、純潔。
濃い紫:隠れた美しさ、知性と献身。
ピンク:プラトニックな愛、発展するロマンス。
青:インスピレーション、野心。
※現在は藤と一緒にライラックも開花中。
5月に見頃となる藤は、フランスでも皆から愛されている。
そして5月後半〜6月にかけてはいよいよ薔薇の出番となる。
彼女たちは今、藤のバトンを待つように蕾を大きく膨らませている。(る)