JINSEI STORIES
滞仏日記「不意に仏人家族のお招きを受け、緊張した父ちゃんと犬見知りの三四郎」 Posted on 2023/05/02
まずは、このノルマンディの夕陽を皆さんに、どうぞ!
某月某日、昨夜のことであーる。
三四郎と散歩に出ようと階段を下りたら、玄関ドアの下に、何か郵便物が差し込まれていたのであった。むむむ。
なんだろうと、手に取ると、マダムとムッシュの署名つきのカードであった。
実は、前回のノルマンディ滞在期間、ぼくが大きな声で歌ったものだから、下のカイザーご夫妻の息子さんに叱られたことは日記で書いた通り・・・。
そこで、今回、その下の階のご夫妻にもコンサートが終わるまで歌の練習をしていることを伝え、ついでに、拙著「白仏」にサインをして、名刺がわりに渡すことに。
「辻さん、その本、すでに読んでいます。みんなで回し読みしたの。とっても好きな本でした。お時間があるなら、アペリティフでもしませんか?」
家族全員出てきて、笑顔を向けられたのであーる。6人家族であった。
なんでも、ぼくが引っ越して来た直後、「作家の日本人が来たみたいよ」と周辺で噂になったのだとか・・・。たぶん、情報元はカイザー髭様・・・。
好奇心旺盛なマダムが古本屋さんで買って読んでくださったのだとか・・・、
しかも、この村のご友人たちで回し読みをされたというではないか。ひゃあ。
「飲みましょう!」
ムッシュ(矍鑠紳士と密かに呼んでいる、かっこいいおじさま)がシャンパンのボトルを持ち上げておっしゃった。
「いや、ぼく、恥ずかしがり屋の日本人ですから。いきなりは無理、ごめんなさい」
マジ、禁酒期間である。しかも、コンサート前で、酔っぱらうのはやばい。なので、おとなしく引き下がった、非社交的父ちゃんでした。
そういう経緯があって、招待状がドアに挟み込まれていたのである。
このカードにはこう書かれてあった。
「さきほどは本を持ってきてくれてありがとうございます。そして、これは、正式な招待状です。5月1日、15時くらいに我が家にお茶を飲みにいらしてください。隣人より」
※ キレイな仏文字であーる。
おお、正式な招待かァ、これを断るのは野暮過ぎる。
ま、コーヒーならばいいだろう。
ということで、今日、15時に三四郎と矍鑠ご夫妻の家を改めて訪問したのだった。
なんでか、孤独が売りのくせに、だれとでもすぐ仲良くなってしまう、父ちゃんなのであった。(お前はほんとうに孤独なのか、と思われているに違いない・・・)
30代のお子さんが2人、そのフィアンセが1人、そして、おばあちゃんもいた。なんと、このおばあちゃんは有名な女優さんなのであった。ひゃああ~。
ぼくは彼らに囲まれ、緊張の中、コーヒーを頂くことになるなる、ひとなる。
本日フランスは「スズランの日」、大切な人にスズランを送る日だったので、花屋で鉢入りスズランを買ってギフトしたのだった。ついでに、父ちゃんのCD「ジャパニーズソウルマン」も渡したら、
「辻さん、もう、ジャパニーズソウルマンは愛聴していますよ、すでに!」
というではないか・・・。これは、本物だね・・・。心の中でガッツポーズの父ちゃんなのでした。あはは。
そのあとは、なんで、音楽や映画や小説などいろいろやるのか、オランピア劇場ライブを前に緊張していないのか、どこからインスピレーションを得ているのか、この村は好きか、なんでここにやってきたんだ、はるばる日本から、と全家族から質問攻めにあったのであーる。
拙いフランス語で答えないとならないのでかなり頭が痛くなったが、ま、在仏歴20年の父ちゃんだから、ふふふ、仏人アレルギーはない、だいじょーぶだァ・・・。
とにかく、ご主人は物静かな方だったが、奥さんは元気はつらつで、しかも、この地域では超人気者のおばあちゃんに至っては、圧倒的な存在感を放っておられ、というのは目の合わせ方が、女優過ぎるゥ。
ちらっと、ぼくを見て、クスっと微笑み、優雅に視線を逸らす。
うわああ、只者じゃない。(このおばあちゃん、何歳か知らないのだけれど、ネットフレックスなどにも出ている)、目が合うたびに、痺れまくった父ちゃんなのだった・・・。
で、さんちゃんは、と言うと、ここの家に、オープラー、というビーグルの雌犬がいた。
三四郎、ちょっとおにいちゃんになったからか、最近、人見知りならぬ、犬見知りが激しくなったのだけれど、ビーグルのオープラは気になるみたいで、おいかけまわしていた。
しかし、オープラはちょっとツンデレで、自分のベッドに入って、寝てしまったのだ。
三四郎もそこに飛び込みたいのだけど、犬見知りだから、出来ずに、ぼくの顔を見て、パパしゃん、どうしたらいいの、と困惑気味・・・。
こちらは仏語の質問攻めで、頭が痛く、三四郎にかまってあげられない。
結局、最後まで、オープラは三四郎に心を許さず、居場所がなくなった三四郎は床で寝てしまうことになったのである。
あはは。
それにしても、いい家族でよかった。
でも、インスタなどはチェックされているようだから、当たり障りのないように、記しておかなきゃ。笑。
正式ご招待の大役を無事につとめきった父ちゃん、仏語攻めにあい、疲れ果てて今、家に帰って来たところであーる。あはは・・・。
さ、歌の許可も得たし、下の階の人はいないし、よっしゃー、大声で歌うぞー!
※三四郎「ぼくも入りたい・・・」
※「パパしゃーん、入れてくれないわん」
そして、人生はつづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
なんとか、日仏友好親善に尽力した父ちゃんでありました。はい、オランピア月の5月、今月は人生の正念場です。皆さん、お力をお貸しくださいませ!!!! さあ、皆さん、ご一緒に、熱血~~~。
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