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退屈日記「ゼミ生からお手紙が届きました。熱血が届いたようで嬉しいです」 Posted on 2023/04/23 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、大学のゼミ生たちから「初授業」を受けた感想の手紙が届いた。
とっても新鮮な講義でした、という感想だった。学校では知識を教えられるが、辻ゼミでは参加して自分を出すことができる、というようなことがその長文レターに書かれてあった。
よかった、と思った。
ぼくが目指すゼミは、もちろん、クリエイティブライティングの授業ではあるけれど、この限られた時間の中で、ただ仕方なく単位をとるための授業にはならない、ってか、うちのゼミは最初から単位ない自由ゼミだしね、あはは。
でも、質問し、語り合い、発言をしてもらい、合評もある。
ここに参加した人は何かを持って帰ってもらい、人生を豊かにしてもらうところから文学と向き合ってもらいたい。
書くことが好きになり、書くことで自分を表現できる喜びを手に入れて貰いたい。
たった五人だから、膝を付け合わせて授業が出来る。すでに、全員の名前を覚えた。
仕方なくやる授業じゃなく、その授業が待ち遠しい、そこに毎回向かいたくなるような授業にしたいのである。
気が付いたら、メンタルも強くなり、持っていなかったものを心に持つことが出来るような時間・・・、ぼくは彼らの心を後押ししたい。
人生の背中を押してあげたい。
ぼくは教える立場というのではなく、プロの作家の経験はあるけれど、そこよりももっと大切なことが生きることにはあって、なので、脱線につぐ脱線の会話、例えばなんで人間は生きているのか、というような話なんかも交えながら、書くことの外堀を刺激し埋めながら、書くことが人生において意味があることを届けたい、と考えている。
ノートなんか、別に、とる必要がない授業なのだ。
大切なことは、衝撃となって、一生心に残るもの。

退屈日記「ゼミ生からお手紙が届きました。熱血が届いたようで嬉しいです」



実はあらゆる人に可能性というものがあるのだけれど、そこを開花させたい。
もっとも学生が多すぎて、一人一人面倒見ることが出来ないのが、今の教育現場だったりするから、5人の定員はちょうどいい。
それ以前に、教師や講師も悩んでいるから、知識しか与えられないのは当然なのだけど、美味しい料理を作ることが出来る人間は技術もさることながら、食生活全般や、どう生きたいのか、日々の自身の生活スタイルや、人生哲学、人間関係など周囲との関係をよく考えている人だったりする。
実は知識を超えた世界から刺激を受けた経済学や、政治学、文学というものが大事なのだ、と思うのである。
だから、次回の授業も課題の「不可解な自分」というテーマを掘り下げつつ、自分とは何かを学生と語り合い、そして、彼らが書いてきた小説をみんなで合評し、自分の中にあるものをどんどん語らせたいと思ってる。
第一回目は緊張した生徒たちが、一年が終わる頃には、話したくてしょうがない可能性の塊になっていることだろう、と想像している。
そうだ、ここは、可能性を無限に伸ばす場所にしたい。

退屈日記「ゼミ生からお手紙が届きました。熱血が届いたようで嬉しいです」



ぼくはいまだに、自分の可能性を伸ばすことしか考えていない。
地球カレッジも、いつか、ゼミみたいなものがあってもいいかもしれない。年を取ると、新しく始めようと思うことがどんどん減っていくものだから、厄介になる。
でも、何歳からでも、人生は学び直すことが出来るし、新しいことに挑戦できるのだ。
ただ、語るだけの「辻ゼミby地球カレッジ」もいいかもしれないですね。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
今日は日曜日なので、エリック・サティでも聞いて、絵でも描いて、のんびりと過ごすことにします。皆さんもよい日曜日をね。
さて、お知らせです。5月7日に、そんな辻ゼミのような小説教室を開催します。敷居のめっちゃ低い小説教室なのです。ご興味ある皆さん、下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてくださいね。ぼんやり聞くだけでいいかもしれません。

地球カレッジ

退屈日記「ゼミ生からお手紙が届きました。熱血が届いたようで嬉しいです」



5月29日、フランスは連休中ですけど、祭日の月曜日、オランピアのライブです。ぜひ、お時間のある皆さん、お越しください。
フランス国内、もしくは周辺国にお住まいの皆さん、ぜひ、遊びに来てください。日本からは遠いですから、来ていただきたいですが、時間がせまってきましたから、ご無理はさせられません・・・。無理のない範囲でお願いします。あ、席は絶対売り切れませんので、当日券山ほどあり、ご心配なく・・・。
席のご予約はオランピア劇場のサイトから、どうぞ。

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もしも、日本から行きたいけど、不安という皆さんには、JALパック・パリさんが協力いたしますので、こちらをクリックください。現在、日本から50名くらいの方が来るだろうという予測です。本当に、大変なところありがとう。必ず、いいステージにしますね。約束!!!

5月29日 辻仁成 パリ・オランピア劇場 ライブコンサ-ト!


ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。

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自分流×帝京大学