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パリ最新情報「パリのティーサロンで光る、日本の南部鉄器。」 Posted on 2023/04/21 Design Stories
カフェの数ほどではないが、パリには素敵なティーサロン(Salon de thé=サロン・ド・テ)がいくつか存在している。
テラス席で賑わうカフェとは違い、屋内のシートでゆっくりと、スイーツを楽しみながらお茶をする…というのがパリのティーサロンの特徴だ。
そんな場所に今、日本の南部鉄器が現れ、目の肥えたパリジャンたちの興味を誘っているという。
※パリ・クスミティーのブティックにて
南部鉄器と言えば、約400年の歴史を持つ岩手県・盛岡市の伝統工芸である。
前時代を振り返る映画やドラマでは見かけることもあるが、日常的に使用しているという家庭は少なくなってしまった。
ところが、日本伝統の南部鉄器(特に急須)が今のフランスで脚光を浴びており、「洗練されたエレガントなデザイン」としてその知名度を上げているというのだ。
「この美しくスタイリッシュな日本のティーポットは、お茶を長時間温かいままに保つことができます。世界に運ばれるようになったのはほんの数年前のことですが、上手に使用すればMORIOKAの人々がそうしたように、風味の増した美味しいお茶を味わえるでしょう」
としたのはフランスの茶器店、「Théière France」(オンラインブティック)。
他にも「ティーポット、日本」で検索すれば、フランスのインターネットにはたくさんの南部鉄器が現れるといった状態だ。
パリでは美術館のお土産コーナーにも南部鉄器が置かれていた。※写真はパリ16区のギメ東洋美術館にて。
ちなみに、南部鉄器の一番有名な模様である「アラレ模様」はフランスでも一般的となっているのだが、彩りは赤や深緑、ブルーなどカラフルなものが人気なのだそうだ。
ただフランスで浸透しているのは急須タイプで、直接火にかけられる鉄瓶タイプは少ない。
パリを代表するティーサロンと言えば、日本でもファンを多く持つ「マリアージュ・フレール」だろう。
マレ地区にある本店では南部鉄器の品揃えが特に豊富で、フランスらしいオリジナルのデザインも見られた。
持つとずっしり重く、保温性に優れ一生モノとしても使用できる南部鉄器。
寒い地方に暮らす人々を何百年も温めてきたこのアイテムが、海を渡り現在のフランスで火が付こうとしている。
今のところフランス人全員が知っているという訳ではないが、緑茶や抹茶が大人気のフランスにおいては、「実用性のあるリュクスなティーポット」として家庭で使用する人も増えてきた。(せ)