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パリ最新情報「本宅を貸すことに意欲的なパリジャンたち。民泊『Airbnb』での貸出がパリで急増中」 Posted on 2023/04/08 Design Stories
生活費の高騰が続く中、収入を増やすために民泊「Airbnb」を利用し、副収入を得るパリジャン・パリジェンヌが増えている。
Airbnb(エアビーアンドビー)とは個人宅を宿泊施設として提供するオンライン・プラットフォームで、「暮らすように泊まれること」が最大のメリットであると言える。
仏各紙によればこのシステムが今のパリで絶好調となっており、貸主の数は2021年と比較すると、60%も増加しているのだという。
また貸主たちの収入も短期間で約2倍に増えたことが分かっている。
とはいえ、これはパリに自宅を所有しているという人にのみ開かれた道である。
しかしパンデミックを皮切りにして、彼らの多くはパリの自宅を売却するか、別宅を地方に購入しパリの本宅を「仮住まい」としていた。
Airbnbの貸し出しシステムは後者、中でも60代の定年退職者と、中所得層のホストたちに特に需要があるのだという。
彼らが貸し出しに踏み切った理由としては、インフレによる生活費の高騰問題がやはり大きい。
つまり住宅ローンの返済や生活費の足しにと、Airbnbがサイドビジネスとして彼らに選ばれたのだ。
その多くは留守時にアパルトマンの部屋を丸ごと貸すというものだが、使っていなかった一室を貸し出す「ホームステイ型」を取るホストも、近年では増えているそうだ。
※2022年、パリでは20%近くが自宅の一室を利用したものだった。
※実際のAirbnb物件。こちらは貸切タイプ
意外なのだが、パリジャン・パリジェンヌは見知らぬ人に部屋を貸すことについて、ほとんど抵抗を感じていないらしい。
というのは、フランスには学校の休暇が年に5回もあるのと、社会人にも計5週間のバカンスが法律で定められているため。(60代の定年退職者ホストはそれだけに限らない)
彼らにとってはその間、使わない本宅を有料で貸し出す方が合理的で理にかなっているのだった。
つまり「合理性」がパリにおけるAirbnbを活性化させたのだ、とAirbnbのヨーロッパ担当ディレクター、エマニュエル・マリル氏は述べている。
また2022年にはAirbnbで得た臨時収入により、パリ在住のホストはインフレの影響を相殺することができたとまで報告されている。
さらにこの影響はパリだけでなく郊外都市、特にヴェルサイユ市に大きく広がっているという。
これはパリ市内のAirbnb宿泊料が高額であることも関係している。
首都近辺では今後、各ファッションイベントや今年秋に開催されるラグビーW杯、そして2024年のパリ五輪と、大型イベントが目白押しである。
そこで郊外に住むホストたちは、「パリまで電車で○○分」という特徴を掲げながら宿泊料を良心的に設定し、パリとの差別化を図っているということだ。
パリにはたくさんのホテルがあるが、デメリットの一つに「キッチンがないこと」が挙げられる。
そのため旅行中、重めのフランス料理で胃が疲れてしまった、ということもホテル暮らしでは起こり得る。
この度の報道によれば、パリのAirbnbの特徴としては、貸す方も借りる方も若者ではなく40代後半〜60代の層が一番多いということだった。(内)