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滞仏日記「カフェ飯教室のメニューがほぼ出揃う。腕が鳴る鳴る法隆寺の巻」 Posted on 2023/04/02 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、カフェ飯教室が迫って来た。
だいたい、メニューは決まってきたかなぁ。前菜、メイン、デザートというフルコースなのだけど、爽やかで気持ちのいい4月らしい布陣で、と思っている。
行きつけのカフェで、ぼくがよく頼むような料理が中心になるのは前回と一緒だけれど、今回はとくに季節感を出したものを作ってみたい。
「本日のおすすめ」というのがフランスのカフェにもあって、しょっちゅうカフェに行くぼくのような者に「日替わりメニュー」はありがたい。
やる気のあるカフェだと、定番メニューからちょっとはみ出し、季節感のあるものがだいたい並ぶのだ。そういうものを考えている。
春の季節感のある食材って、どんなものか、目で見て確認をしたくなり、西ノルマンディでは一番大きなドービルという町のマルシェまで偵察に行くことになった。
ついでに、隣接する画材屋さんで、油絵具とカンバスも買っておこう・・・。ふふふ。
季節感が出ているというならば、やはり、八百屋さんであろう。
行者ニンニクがずらっと並んでいた。
行者ニンニクって、どういうものか、ちょっとぴんと来ない方が多いと思う。
葱やニラの仲間なのだけど、ニンニクのような香りがある。(北海道とかで自生している)
醤油漬けにしたり、卵でとじてバターで炒めたり、衣をつけてサッと揚げたりすると、美味しいのだ。
日本では、滋養強壮の野菜、ということになっているのだけど、ノルマンディではうちの周辺の野原で自生しているので、わざわざマルシェで買わないでも、手に入る。
ただ、面倒くさい人のために、それをとって、売ってるのだ。
フランス人が日本人みたいに醤油漬けにしているとは思えないが、ぼくはオイル系パスタにしてよく食べる。香りがあって、めっちゃ、美味しいのである。
その上、滋養強壮効果があり、元気になる。
行者ニンニクが出始めると「春だな」と思う。

滞仏日記「カフェ飯教室のメニューがほぼ出揃う。腕が鳴る鳴る法隆寺の巻」

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滞仏日記「カフェ飯教室のメニューがほぼ出揃う。腕が鳴る鳴る法隆寺の巻」

滞仏日記「カフェ飯教室のメニューがほぼ出揃う。腕が鳴る鳴る法隆寺の巻」



ぼくは、魚屋で蛸を買った。蛸をカリっと炒める調理法を、スナッケ、という。これね、フラー・ド・セルをちょっとかけて食べると、もう、白ワインがすす~、ええええええ、あかんやん。禁酒、禁酒、きんしゅーーーーー中やんか。
それから八百屋でフヌイユを買った。
フヌイユのおしんこがこれまた美味しいのだ。
フヌイユは日本だと八百屋ではあまり売ってない。
デパートのハーブコーナーなどで見つけることが出来るが、フランス人の大好物だね。
あの個性の強いハーヴィーな香りと味がとっても美味しい。ぼくは決まって、おしんこ、にしている。千切りにして、ジップロックにいれて、2パーセントくらいの塩と塩昆布をいれて、もみもみして、翌日、が食べごろになる。
これがね、日本酒とめっちゃ相性ば、ば、ば、ばつぐーーーーいやいや、あかんあかんあかん!!!!
禁酒中なので、おしんこにはしないで、茹でてミキサーにかけて、ソースにでもしようかな。
魚料理との相性も抜群なので、ぜひ、試してもらいたい。

滞仏日記「カフェ飯教室のメニューがほぼ出揃う。腕が鳴る鳴る法隆寺の巻」

※ こちらが、行者ニンニク。

滞仏日記「カフェ飯教室のメニューがほぼ出揃う。腕が鳴る鳴る法隆寺の巻」

米印マルシェで買った食材で作ったマルシェサンド!!!

滞仏日記「カフェ飯教室のメニューがほぼ出揃う。腕が鳴る鳴る法隆寺の巻」



マルシェのいいところは、食材だけではなく、古本とか、絨毯とか、服とか、靴とか、帽子とか雑貨用品とか、家具とか、何でも買えるところかもしれない。
とくに、ここのマルシェは食材よりも家庭用品への比重が大きいのも特徴なのだ。
古本屋で油を売り、ハンチング屋で時間をつぶしたけれど、ぼくは特に買いたいものを見つけることが出来なかった。でも、気晴らしになった。
野菜とチーズと生ハムとパンを買って帰り、家でサンドイッチを作って食べることに。
カフェで食べてもよかったのだけれど、つい、ビールとか、注文しちゃうからね。
オランピアのライブ、最高にするぞ、と願掛けしているので、あかんねん。
あ、でも、ドービルには面白い和食食材を扱っているブティックがあるので、そこに立ち寄ることにした。
マルシェの一筋、裏側に、名前は知らないが、先日、ふらっと入ったら、柚子ポン酢が売っていたので、歓喜したのだ。
今日も、立ち寄ると、いろいろなものが売っていた。
寿司酢とか米酢にまじって、さくら酢というのもあった。なんだろう、知らない。
柚子胡椒もあれば、その隣には古醤油というものまであった。誰が買うの? なんのために??? ドービルは文化人が多いから、もしかしたら、日本通が通っているのかもしれないね。
生姜やみょうがに便利なおろし器というのまで売っていた。あはは。
日本がここまで進出している、すごいことである。さくら酢をひとつ試しに買ってみることにした。どうやって使うのかな・・・。日本人も知らないのに・・・。
ということで、今夜は和食にします。

滞仏日記「カフェ飯教室のメニューがほぼ出揃う。腕が鳴る鳴る法隆寺の巻」

※ 左端が、さくら酢?

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※ 左が、古醤油! 75ユーロって、10000円ごえ~。

滞仏日記「カフェ飯教室のメニューがほぼ出揃う。腕が鳴る鳴る法隆寺の巻」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
4月16日の「カフェ飯教室」、季節感たっぱりのフルコースになると思います。今日、ちょっと面白いヒントをマルシェで得ることが出来ました。お楽しみに。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてください。、
あと、本日、再放送が・・・。
「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022秋冬」
【BSP/BS4K】4月2日(日)後4:30~5:29
※初回放送 2023年2月17日
※BSP4K同時
(4Kは選抜高校野球決勝が順延した場合、この日に中継が入ってくる可能性があり
休止とさせていただく可能性があります。あらかじめご了承ください。)

地球カレッジ

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父ちゃんのオランピア劇場ライブ、いよいよ来月になりましたね・・・ひゃあああ。
エディットピアフも立った。ビートルズも立った。ローリングストーンズも、マドンナも、スティングも立った。オランピア劇場でのライブが近づいてきました。
席のご予約はオランピア劇場のサイトから、どうぞ。

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フランス国内、もしくは周辺国、あるいは世界各地にお住まいの皆さん、ぜひ、遊びに来てください。旅慣れていない皆さんには、JALパック・パリさんが協力いたしますので、こちらをクリックください。

5月29日 辻仁成 パリ・オランピア劇場 ライブコンサ-ト!


ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。

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自分流×帝京大学