JINSEI STORIES
滞仏日記「フランスのカフェ飯が最高。父ちゃんが大好きなパリのカフェ飯をご紹介!」 Posted on 2023/03/29 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、カフェ飯というのは、実にシンプルな料理なのである。
星付きレストランのような手の込んだ芸術的な料理ではないし、ビストロで出されるような伝統的でちょっと高級な重ための料理とも異なる。
もちろん、伝統的ではあるのだけれど、手軽なもので、家庭的で、でも、家で作るのはちょっとめんどうくさいからカフェで食べるか、みたいなシンプルな料理ばかり・・・。
前回の「カフェ飯教室」で作ったクロックムッシュとかはその代表選手だが、それこそ、カフェによっていろいろとバリエーションも豊富で、店によって、作り方も、味も、おもむきまでも様々なのが、特徴といえる。
クロックムッシュだったら、あの店が美味しいよね~。
ハンバーガーならあそこ、オニオングラタンスープならば、あっちの店がいい、という具合に、その店のスペシャリテがいろいろとあるのだ。
ちなみに、ぼくが通っているカフェだと、・・・ポールの店ならば「ブランケット・ド・ボー(仔牛のクリームシチュー)、ケビンの店ならば「ブフ・ブルギニヨン」、ジャン・フランソワのカフェだと「ブロシェット・ド・アニョー(子羊の串焼き)」を必ず注文する。そのカフェの代表選手を見つけるのもまた楽しい・・・。
で、必ず、置いてあるのが、チーズバーガー、クロックムッシュ、シーザーサラダ、ラムステーキ、タルタル・ド・ブッフ、ウフマヨ、サーモン・グリル、などなど。
※ チーズバーガー
※ 子羊のカレー
※ チキンロティ、モリーユソースがけ
※ フィッシュアンドチップス
ここ最近のトレンドとしては、健康志向が強く出た料理がどこでも人気を獲得している。
ハワイのポケボール系が今、フランスのマダムたちを中心に大人気で、白ご飯ではなく、キノアとかランティーユとか穀物系がよく使われていて、ランチタイムの女性たちの人気を博している。必ず入っているのがサーモンのお刺身だ。これがね、美味しいのである。
たまに、マグロのタタキを出す店もあって、これも人気、日本風だけれど、アレンジされている。ただ、TATAKIはすでに仏語となっている。
あと、三番手くらいに付けているのが南米のセビーチェ(白身魚のマリネ?)かなぁ。レモンたっぷりの刺身風マリネ、大人気だ。
男性たちには、肉食の料理がやはり人気で、生肉のタルタルはカフェの定番である。フランス版のユッケだと思ってもらっていいが、ピクルスとか玉ねぎとかケッパーとかが上手に加えられていて、酸味があって、美味しい。
ステーキは王道で、その店の人気度はステーキで決まると言っても過言ではない。
でも、赤肉が主流なので、生で食べる人が圧倒的に多い。
日本のようなサシの入った肉はほとんどない。最近、WAGYU(和牛)なるものが出回っているが、オーストラリア産やスペイン産の牛肉で、日本の神戸牛とは異なる。
サシが入っているのだけれど、日本の和牛とは残念なことにかなり、異なる。
それでも、和牛はブームでめっちゃ高い。(もちろん、本物の神戸牛を扱っている凄い店もあるが、値段??? 想像を絶します)
魚は、有名なのが、ヒラメのムニエルだけれど、これはもう、カフェ飯というよりも、ビストロ飯というべき王様の食べ物であろう。
値段も恐ろしく高い。バター感が半端ないので、父ちゃん的にはちょっときついが、フランス人は好きだよねー。父ちゃんはグリル焼きがある店ならば鯖(マックロウ)の塩焼きを頼む。こっそり、醤油を隠し持って・・・えへへ。
※ ビーガン・ボール
※ ステーキ
※ スズキのグリル
※ ガンバスのブロシェット
で、最後にデザートとなるが、その前に、チーズを挟む人も多い。
チーズの盛り合わせをとるか、デザートに行くか、分かれるところだけれど、フランス人は必ずデザートを注文する。
甘いもので締めくくるのがフランス人の人生の愉しみなのである。
まれに、ほんとうにまれに、デザートはいらない、という人がいるけれど、それは、珍しい。デザートをちょっと食べることが幸福のバロメーターなのである。
※ プロフィット・ロール
※ ババ・オ・ラム
※ いちごの砂糖がけ(カフェの定番)
ということで、今日は三四郎と近くのカフェに行く予定だけれど、カフェのいいところを最後にもう一つ付け加えておこう。たった、一人でも寂しくなく食事をすることが出来るのがフランスのカフェのいいところだ。
星付きレストランでぼっち飯というのはちょっとだけ気がひけるけれど、カフェだと一切、気にする必要はない。旅行者にも安心である。
この国は、カフェで一人で食べる人がたくさん存在する。
さて、父ちゃんは今夜、トマのカフェに行き、あれを食べることにしよう。
ふふふ、あれ、明日の日記に譲ります・・・。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、カフェ飯の素晴らしさを日本のご家庭でも、ということでスタートした「父ちゃんのカフェ飯教室」今回も、簡単なフルコースをご紹介したいと思います。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてください。
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