JINSEI STORIES
滞仏日記「愛犬と父ちゃんによるサンシー隊はついにブルターニュに到着!」 Posted on 2023/03/23 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、ドーヴィルを昼過ぎに出発したサンシー隊は、ゆっくりと北北西に進路をとっていた。
何も食べずに出発したので、途中でめっちゃお腹がすいた父ちゃん。
フランスの高速の休憩所(サービスエリア)はけっこう充実しているのだが、ここは、シェル石油が経営するレストランが併設されていたので、ガソリンをいれるついでに、そこでハンバーガーを食べることになったぁ!
これが、揚げ玉ねぎ(フライドオニオン)がドカっと中に入っていて、ジューシーでアメリカンなうまさであった。
西フランスの名もなきサービスエリアで大満足の父ちゃん&さんちゃんである。
欧州では、ぜひ、レンタカーを借りて、旅することをおすすめしたい。
もちろん、ちょっと運転ルールが違うので最初は戸惑いがあるかもしれない。
しかし、すぐになれるので大丈夫。
フランスは円形交差点(ロンポワン)が多いので、そこがちょっと厄介ではある。
一番厄介なのは、パリの場合、右から来る車が優先されるということであろう。
円形交差点も外から入って来る車が優先されるので、凱旋門の円形交差点とかでは、外から中へと向かうぼくは(全員)ためらわずに突っ込んでいく。
左側の車が停止しないとならないのだ。
ところが、パリ以外の円形交差点は左側(先に回っている人)が優先なのである。
なので、外から入ろうとする車は、おっと、突っ込んじゃいけないのだ。
なんでパリとパリ以外が違うのか、実に意味不明な交通ルールではあるが、そこはフランス、慣れるしかない。
もう、この段階で、無理、と思われたあなた、正しい。こういう不条理な問題で悩むくらいならば電車にしましょう。
ぼくも慣れるまでに20年もの歳月がかかったのですから・・・。あはは。
しかし、圧倒的に車旅はダイナミックで面白いのだ。
めんどうくさいけれど、郷に入っては郷に従え、ということでよく相手を見ていると、だんだん、わかってくるもの。
ベルギーに入ると、ベルギーのルールがあるし、スペイン、イタリア、どこもお国柄が出て面白い。車の旅だからこそ、経験出来ることがある。
ぼくは小型のドイツ車にのっていたのだけど、(素晴らしい車だった)、でも、もっと遠くに旅したくて、四輪駆動のハイブリッド英国車にのり替えた。
フランス国内は130キロ制限だけど、ドイツのアウトバーンなどは無制限に出せる場所があるので、安定している車が凄く運転しやすいのである。
窓が広くて、見晴らしがいい、と長時間運転も苦痛ではなくなる。
こういう長距離の旅のために考えられた車で旅をするのは、本当に楽しい。
ハンドルもある程度重たい方がいいし、重量があると高速で走りが安定する。
ぼくは犬連れなので、おしっこ&うんち休憩をいれないとならず、これまた充実したフランスのサービスエリアにはずいぶんと助けられた。
サービスエリアで今日は1時間半くらい休憩をとったが、飽きなかった
コーヒーを飲んで、レストランで食事をして、昼寝もとって、裏の森を三四郎と走り回って・・・
ということで、だらだら旅をしていたら、ブルターニュ入りは夕刻を過ぎていた。
ブルターニュに住んでいる人のことをブルトンという。
ぼくが暮らすノルマンディとはちょっと雰囲気が違っている。
ブルトンはケルト系なのである。
目が真っ青ブルーな人が多いし、英語が堪能な人も多い。
あと、この地方独特の言語があり、おじいさんやお婆さんたちの中にはブルトン語をいまだにしゃべっている方々もいる。
昔は海賊もいたので、勇ましい人たちの末裔ということになる。
なので、建物とか城壁とかもちょっと雰囲気が異なる。
ノルマンディはノルマン人の文化圏だから、家もノルマン様式の可愛らしい家が多いのだが、ブルターニュに入った途端、ごつごつした岩の塀とかが出現する。家もちょっと重厚な石造りなのである。
そういうごつごつした海沿いの道を走って、ぼくと三四郎は予約していたホテルにたどり着いた。おお、目の前が海じゃあああああああ。
ちょっと疲れたので、今日は、海辺を歩いて、その辺でちょっとつまんで寝て、明日から行動的に動き回る予定である。
今日は、たぶん、さんちゃんとブルターニュ名物、蕎麦粉のクレープでも食べに行こうかな・・・。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
そして、今日は父ちゃんの新刊、「自分流」の発売日となります。これまで人知れず、連載をしてきた「自分流塾」をテーマごとに読みやすくまとめた一冊。頭にくる世の中ですが、そういう面倒くさい世界の中で、自分らしさを100%発揮するための必勝の礫になりますよ。ぜひ、手に取ってみてくださいね。光文社刊です。イラストは有馬嘉男さんの奥様にお願いいたしました。あはは。
そして、今日の朝の10時、再放送があります。
■「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022春」
【BSP】3月23日(木)前10:00~10:59
はい、ここまでいいですよね。
それから、父ちゃん、4月16日に、またしてもカフェ飯教室を開催いたします。ご興味ある皆さん、どうぞ。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてください。