JINSEI STORIES
パリ日記「しばらくさんちゃんとのお別れ。パパしゃんは回復を目指します」 Posted on 2023/03/14 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、一日中、代り映えしない天井を眺めている。
ま、ちょっと休めということなんだろうな、と思っている。
三四郎は落ち着くまで長谷っちと犬係のマント・ふみこさんが交代で面倒をみてくださることになった。
というのも、散歩に連れていってあげることが出来ないからだ。
一日に、だいたい3,4回、散歩をしなければならない。
朝の散歩はとっても大切で、一時間ほどに及ぶ。
午後の散歩は15分、夜の散歩は15分くらいであろうか。
それが今は動けないので三四郎を散歩に連れ出すことができない。
マントさんは三四郎を散歩に連れていけるということで喜んでおられた。
前回、長く預けた後の三四郎ロスが半端なかったようで、今回もどちらかというと長谷っちよりもマントさんの家に三四郎はお邪魔することが多くなりそうだ。
それが何日くらいになるのか、ぼくにもわからない。3,4日になるのか、一週間程度になるのか・・・。
立ち上がってキッチンやトイレに行くだけでも今は一苦労なのである。
それに加え、体力が落ちたからか、ちょっと風邪気味なのだ。
こうなるともう何もする気にはなれない。やれやれ。
マントさんからお弁当の差し入れがあった。
「辻さん、夜中とか朝とか、小腹がすいたときに食べてください」
おお、これはありがたい。
確かに、食べるものに苦労している。
左手が使えないと料理はちょっと難しい。できなくはないけれど、フライパンを持ち上げながら回し焼きとかできない。フライ返しも出来ない。笑。
卵焼きはかなりの難易度である。
包丁が使えない。使えるけれどやはり包丁って左手の役割が相当大きいのである。
右手だけではぶつ切りしかできない。千切りとかみじん切りとかは不可能なのである。
こうなると、食事への熱というものも下がってしまう。
昨日の昼は明太子スパゲッティを作った。
これだと右手だけで作ることが可能なのである。
明太子の皮を剝くのだけがちょっと難儀したが、なんとか綺麗に剥がすことが出来た。
ボウルにバター、明太子、マヨネーズ、オリーブオイル、太白ごま油、塩昆布、紫蘇、パセリ、などを入れて、茹で上がった麺を入れて混ぜれば完成なのだ。
トングがあれば、盛り付けも難しくはない。
茹でてあえるだけの料理であればできることが分かった。
しかし、これがびっくりするくらいに美味しかったのである。
ともかく、こうやってごまかしごまかし足と手の回復を待っている次第なのだ。
それにしても、頭を打たないで本当によかった。
いつも思うのだけど、紙一重のところで守られているんだなぁ、と都合のいいように解釈をしている父ちゃんなのであった。
今は、ともかく、休みなさい、ということなのである。
文章教室の課題、一応、全部読んだので、今、どういう流れで授業をやろうか、考えているところ。これがちょうどいい気晴らしになっているのであーる。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
不自由な生活の中にも、よく見まわしていると、なるほどそうだったんだね、という気づきがありますね。左手が使えない中で、左手の重要性が分かりました。
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