JINSEI STORIES

パリ日記「ライティングマシーンな父ちゃん。今日はエッセイ7本。小説など」 Posted on 2023/03/11 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、なぜか毎月10日前後に連載の締め切りとか著者校正が集中するので、昨日、今日は作家の仕事が大忙しであった。
ゲラ組みされた原稿に校正(文字や体裁の誤りをチェック)や校閲(だいたい中身について調べるチェック)の赤字(実際は鉛筆文字が多い)が入ったものを著者であるぼくが今日、チェックした。
三田文学で連載中の小説「動かぬ時の扉」の著者校正もやった。
著者校正はエッセイでもやるが、小説の方が細かい作業が多いかもしれない。
原稿を編集者に送ると、印刷所に回すまでに必ず著者校正しないとならない。すっ飛ばす出版社も最近ある。これは、珍しい。
原稿は書けばいいというものではない。新人の頃はゲラが真っ赤になって戻ってきていたが、今はあまりたくさんの赤が入ることはない。

パリ日記「ライティングマシーンな父ちゃん。今日はエッセイ7本。小説など」

パリ日記「ライティングマシーンな父ちゃん。今日はエッセイ7本。小説など」



エッセイは「連載もの」、「飛び込み依頼もの」、「広告依頼」などに分かれる。
今日は飛び込みが1本、dancyuが巻頭とweb版の2本、ESSE新連載二回目1本、日記2本、広告系が1本あった。
エッセイやコラムはだいたい午前中にやっつける。(昔の担当編集者に、それがいいよ、と教えられた)、午後は昼食後、だいたい長編小説を書いていることが多い。(日記も一本は夜帯に書く。日記だからね)
今だと「動かぬ時の扉」なのだけど、エッセイはあっという間に書くことが出来るが、小説は10行進んで5行削るみたいな感じなので遅々として進まない。
今回も、締め切りを一週間ほどずれ込んだ。
本当は書き下ろしを手掛けたいのだけれど、オランピアのライブが終わるまではちょっと難しいかもしれない。

パリ日記「ライティングマシーンな父ちゃん。今日はエッセイ7本。小説など」



19日に「文章教室」をやるので、詳しい書き方などはそっちに譲るが、30年以上この生活を続けているので、書くことのコツは掴んでいる。
これを書くぞ、と決めたら、あっという間だ。
現在、抱えるエッセイの中でもっとも神経を使っているのが、dancyuの巻頭エッセイかもしれない。
巻頭なので、下手なことは書けない。
編集長からのお返事が一番緊張する。
普通は担当編集者がつくのだけど、dancyuだけは編集長が直接担当をしているのでなおさら緊張~。
巻頭だから、ぼくがダメなエッセイを書くと、雑誌の顔を潰すことになりかねない。
何を書いてもいいのだけど、巻頭にふさわしいエッセイを毎回心掛けている。
今日は、目玉焼きに命をかける、というお話を書いた。笑。すでに、潰しているかぁ?
目玉焼きと侮ることなかれ、最高の目玉焼きを作り上げるまでの熱意と熱血を行間に注ぎ込んでの1800字。力技なのであった。
編集長から「素晴らしい」とお褒めの言葉を頂いた。お世辞かもしれない。
自分も一応編集長ではあるが、やはりものかき、褒められるのは嬉しい。
逆にESSEは短いエッセイ(600字)だったので、季節の食材について200字ほど増やしてほしい、という加筆の依頼が再度あった。現在、対応中、あはは。

パリ日記「ライティングマシーンな父ちゃん。今日はエッセイ7本。小説など」



エッセイの場合、読者をかなり意識して書かないとならない。
広告の場合は、広告主を意識しないとならない。
現在、通販の連載(ショップチャンネル)なども抱えているのだけれど、商品を売るような露骨な広告文は引き受けない。
自然に購買力を刺激するような高度なエッセイが多い。あはは。
あと、実は、新聞の広告などは何度か手掛けている。
あからさまな広告はよくないですよ、と依頼人を説得し、商品に寄り添うように、そうとう神経をつかい、苦心して書いている。
逆に、そういう距離感のあるものの方が、クライアントさんには喜んで頂ける。
そこは新聞の広告なので、腕が試されるというものだ。
エッセイの場合は、このように読者や依頼人の期待にこたえつつ、腕で勝負をする。
小説の場合は、自分の作品なので、自己評価していくものだから、だんだん、これが、筆が遅くなる。
若さがなくなったので、その分、筆の敷居も高くなり、3歩進んで2歩下がる毎日だ。
この辺は、バランスである。
小説ばかりだとノイローゼになる。エッセイが精神安定剤になっている。
ふー。
作家生活33年超・・・。
そんな父ちゃんの文章教室が19日にある。書き手を目指す人は覗いてみてほしい。
目指さなくても覗いてみてほしい。なるほど、と思って貰えると思う。
詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックくださいませ。

地球カレッジ

パリ日記「ライティングマシーンな父ちゃん。今日はエッセイ7本。小説など」



今日も読んでくれてありがとうございます。
33年も作家やっています。歌手は38年もやっているのです。ひゃああ、化け物みたいになってきました。どうしましょう・・・。おばけの父ちゃん。
つづく。

そういえば、オランピア劇場ライブの翌日、日本からお越しの皆さん、JALパックさんがパリの(父ちゃん推薦の)レストランでランチ会を開催します。父ちゃんも、ライブの翌日ですがちらっと顔を出しますので、パリ旅行を計画されてる皆さん、チェックしてみてください。

エディットピアフも立った。ビートルズも立った。ローリングストーンズも、マドンナも、スティングも立った。オランピア劇場でのライブが近づいてきました。
フランス国内、もしくは周辺国、あるいは世界各地にお住まいの皆さん、ぜひ、遊びに来てください。旅慣れていない皆さんには、JALパック・パリさんが協力いたしますので、こちらをクリックください。

https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/
ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。

https://linkco.re/2beHy0ru

パリ日記「ライティングマシーンな父ちゃん。今日はエッセイ7本。小説など」

自分流×帝京大学