JINSEI STORIES

滞仏日記「急な仕事が入り、パリに向かった父ちゃん。しかし、パリで大事件が!」 Posted on 2023/02/21 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、パリで急な仕事が入り、出張、となった。笑。(今、フランスはスキー休み真っ最中で田舎はとくにごった返している。父ちゃんが暮らす田舎の近くに避暑地があり、そこにパリジャンがこの時期、押し寄せてくる。逆を言えば、パリが静かになる時期)
新しい車は快調だ。
広さは前の小型車と大差ないけれど、車高があるので見晴らしがいい。ストレスがなくなり、田舎までがぐんと近くなった。
しかも、ハイブリッドなので、車が電気かガソリンかを勝手に選んでくれる。
携帯につながっているので、自分の音楽をかけると、速度メーターの横に、父ちゃんの顔が出てくる。すげー。曲名とかも出てるじゃん。

滞仏日記「急な仕事が入り、パリに向かった父ちゃん。しかし、パリで大事件が!」



昨夜、ドアが開いていますよーと、ハリー(新しい車につけた名前)から連絡があった。携帯のアプリにメッセージが届くのであーる。
おっと、閉め忘れていた、と思って、携帯で操作をしたら、ハリーから「閉めました。ご安心ください」と連絡があった。すげー。
その同じ頃、五郎からも「助けてください。動けません」と連絡があったので、携帯で確認をしたらトイレのドアに挟まり動けなくなっていた。(五郎とは、全自動掃除ロボット)
いやはや、凄い時代になったものであーる。

滞仏日記「急な仕事が入り、パリに向かった父ちゃん。しかし、パリで大事件が!」



オランピア劇場まで、コロナも気管支炎もインフルエンザもぜったいに罹ってはならない。大勢で会う時は、なので、マスクをしている父ちゃん・・・。
ちなみに、コロナが去ったと同時にマスクを付けている人がいなくなったパリ。
だいたい、マスクをしている人は、感染している人なので、そういう目で見られる。
事務所の近くのパン屋にお昼のサンドイッチを買うために立ち寄ったら、そこのマダムがぼくを見たとたん、首に巻いていたマフラーを自分の鼻にひっかけて、マスクみたいにした。
目が合ったら、申し訳なさそうに微笑まれた。
いまだに、マフラーでウイルスを塞げると思っているところが面白い。
ミーティングの前に、三四郎を散歩に連れていったら、ウエスティのリリーとそのお母さんに会った。
「なんか、プルーストが人を噛んだようで」
「ええ? ほんとうですか?」
「それも3人も噛んだのよ。大事件で、警察が行方を追っているの」
「警察? 3人も? あの子、めっちゃおとなしいじゃないですか?」
プルーストはフレンチブルなんだけど、ちょっと身体が大きい。
なので、気の弱い三四郎はちょっとビビっている。
この辺の犬たちはみんな優しい子たちだったから、衝撃であった。
「その前の週に、エッフェル塔の近くで、警官がラブラドールに噛まれて重症をおっているのよ。今、警察がぴりぴりしているわ」
「やれやれ。怖いですね。プルーストはどうなるのだろう?」
プルーストのお父さんとは、何度か話したことがあるけれど、冗談好きなリタイア組のおじさまであった。
「プルースト、どうなっちゃうんでしょう?」
「さあ、でも、パリ市内各所で、今まで、大丈夫だったのにリードを外している人がみんな罰金とられている事態なのよ、あなたも気を付けてね」
「罰金、いくらんですか?」
「185ユーロ(26000円)よ」
「ええええ!!!」
パリでは、リードが外されている犬がけっこう多いのだけど、これは暗黙の了解みたいなところがあり、昔からのパリの風習として取り締まれたりはしなかった。
しかし、厳密には、リードを付けないとならないようで、特に警官が重症になってから、パリの取り締まりが急に厳しくなったのだとか・・・。
公園でも、駅前の大通りでも、犬たちがみんなリードで繋がれていた。
ご安心頂きたい。三四郎は基本、リードをしているので、警官に注意されることはない。

滞仏日記「急な仕事が入り、パリに向かった父ちゃん。しかし、パリで大事件が!」



午後、フライヤーを置いてくださるという日本人美容師の方から連絡があったので、200枚を15区にある美容院、Cissor O’solaさんまで、お届けした父ちゃんであった。
オーナーさん、フライヤー気に入ってくださり、ポスターを3店舗のドアに貼ってくださることに、・・・。おおお、すげーと感動をした父ちゃんであった。(ポスター、もうすぐ印刷されます!)
やっぱり、自ら動かないと扉は開かないのであーる。
2000席をこの速度で埋めていくのはなかなかハードルが高いけれど、でも、熱血で行くぞ、とO’solaの皆さんに笑顔で送り出されながら、決意した父ちゃんなのであった。
さて、会議へと向かいます。
熱血~。

滞仏日記「急な仕事が入り、パリに向かった父ちゃん。しかし、パリで大事件が!」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
プルーストの運命やいかに、ですけど、殺処分とか、あるのでしょうか? 事務所のスタッフさんが日本で昔、シェパードを飼っていたそうで、その子が、人を噛んで、殺処分されたのだとか・・・。その話を聞いて、驚きました。三四郎が殺処分されたら、と考え、リードを外すのが怖くなった父ちゃんであります。

地球カレッジ

滞仏日記「急な仕事が入り、パリに向かった父ちゃん。しかし、パリで大事件が!」



春にパリ旅行とか計画している方がいらっしゃいますか?
とってもいい季節ですよ。ついでに、父ちゃんのオランピア劇場ライブは5月最終週ですからね、暖かいし、心地よいし・・・。
いかがでしょうか? 笑。

チケットとるのが不安な皆さんは、ぜひ、ジャルパック・サイトをご利用ください。JALパックさんが誠心誠意優しくアシスタントしてくださいます。こちらです、

https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/
ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。

https://linkco.re/2beHy0ru

滞仏日記「急な仕事が入り、パリに向かった父ちゃん。しかし、パリで大事件が!」

自分流×帝京大学