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パリ最新情報「パリ首都圏、2023年の人材大募集。今求められている職業とは?」 Posted on 2023/02/10 Design Stories
2024年のオリンピック開催まで2年半を切ったパリ。
街では緑化が進んでおり、ノートルダム寺院、マドレーヌ寺院といった歴史的建造物の修復作業も急ピッチで行われている。
スポーツの祭典が100年ぶりに開催されるとあって、今後パリでは約15万人の雇用が生まれるということだ。
昨年8月にはパリで問題となっている人材離れ、特に深刻な職業ベスト3をパリ最新情報にて述べさせていただいた。
しかし今日ご紹介するのはネガティブな事例ではなく、あくまでも前向きな2023年以降の雇用について。
観光業の復活に伴い、今どの職業が求められているのか、詳しく述べたい。
まずパリ首都圏では、15万人の雇用のうち、観光業で62,000人の人材を確保したいとしている。
特に勢いづいているのは、パリ郊外にあるアミューズメントパーク勢だ。
セーヌ・エ・マルヌ県にあるディズニーランド・パリはその最たる場所で、2023年だけで約8,200人の採用を計画している。
2022年3月、ディズニーランド・パリは創立30周年を迎えていた。
コロナ規制緩和後には観光客も戻り盛況だったことから、昨年に行われていた30周年記念式典を23年9月末まで延長するということだ。
そのためディズニーランド・パリは、主に店舗、ホテル、レストラン、警備部門などで未経験から経験者に至るまで、あらゆる人材を求めているとのこと。
また4月8日に北郊外・オワーズ地方でリニューアルオープンするパルク・アステリックス(テーマパーク)も、ディズニーランドと同様のポジションで約2000人の人材を募集しているという。
※ホテル、外食産業はパリ市内でも募集が多い。
一方パリ市内では、2021年末に発足したパリ市警(自治体警察)が、オリンピック・パラリンピックに向けての成長を図っている。
このパリ市警とは国家警察(国家公務員)とは異なっており、主に軽犯罪を取り締まる職務を担当する。
現在では550人強が所属しているというが、今年はさらに300〜400人を増員する予定である。
パリ市の緑化・美化に伴い、清掃作業員も急募となっている。
主には路上におけるゴミ収集員で、彼らはパリ市内にあるゴミ箱の入れ替え作業を担当する大切な職務を担当する。
なおこの分野は「足りていない」のではなく、パリの美化に伴って増員が図られたという結果になっている。
もう一つ採用ブームと言えるのが、シャルル・ド・ゴール空港およびオルリー空港の「空港保安要員(ASA)」だ。
これら二つの空港では今、非正規・正規合わせて1,800人の募集が行われている。
空港保安要員とは、空港警備員、パスポートコントロール職員、そして手荷物の中身をX線でチェックする検査員たちである。
フランスでは、X線の検査員になるためには4〜6カ月の研修期間が必要だという。
今年夏には出入国者数が跳ね上がることが予想されるため、現在では最も急募となっている職業の一つであるそうだ。
またパリ郊外の公共施設では2024年に向けて多くのプロジェクトが進行中であり、この分野(建築、IT開発など)でも人材が多数求められている。
パリの失業率は5.7%とフランスで最も低いのだが、これが若年層とシニア層では比率が少し高くなる。※フランス全体の平均は7.3%、2022年調べ
年金改革のストも2月7日で3回目を数え、フランスの人々は雇用問題に対して敏感になっているという印象だ。
こうしてデリケートな問題をさまざま抱えるパリだが、パリ副市長のアントワーヌ・ギユ氏は、「高齢化が進み退職者が増えることで、今後はさらに色々な分野で欠員が出る」と指摘している。(チ)