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パリ最新情報「フランス、みんなの結婚10周年。いろいろな家族の形が増える」 Posted on 2023/02/05 Design Stories  

 
2023年、フランスは「すべての人のための結婚に関する法律」の施行10周年を迎える。
これは同性間の結婚が法的に認められたもので、フランスでは2013年5月に初めて施行されていた。
※フランスは同性婚を合法化した世界で14番目の国であった。

以来、パリ市は2,365組の同性カップルの結婚を祝い、この10年間で最も多くの同性夫婦が誕生したフランスの都市となった。
正確には5月17日(水)に10周年を迎えるのだが、パリ市役所はこの日、LGBTQI +コミュニティに敬意を払うイベントをいくつか用意していると、1月末に公式ホームページで発表したばかりだ。
 

パリ最新情報「フランス、みんなの結婚10周年。いろいろな家族の形が増える」



 
まず5月17日に向けて、パリでは520m²のレセプションセンターがマレ地区にオープンする。
この場所は主に難民、移民、若者など、フランス国内外から避難してきたLGBTQI +の人々を支援するセンターであるという。
今後は芸術交流ができるほか、討論会やフランス語の無料クラスなどが設けられる予定だ。

またパリ市はマレ地区の地主たちと協力し、LGBTQI +難民のためのシェアアパートを2021年に誕生させていた。
現在では48人がここで暮らしているというが、パリ市はあと3年のうちに合計で100人の受け入れを目指したいと述べている。
なおパリ9区では同年、LGBTQI +シニアのためのシェアアパートも完成している。

5月17日の当日には、パリ市主催で「10周年記念祝賀会」「パリ2023・特別賞授賞式」などが企画されており、フランス国内で活躍したLGBTQI +活動家たちが出席する予定となっている。
 

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フランスでは2022年、601組の同性カップルが誕生した。
同性婚は10年間で80%増加したというが、その認知度は向上し続けており、人々の受け入れ態勢も整ってきたという印象だ。

そんなフランスの次なるステップは、「代理母出産=GPA」だと言えるかもしれない。
現行では、代理母出産はフランスで禁止されている。
しかしIfop(フランス国立経済研究所)は2022年6月、実に興味深い調査結果をメディア向けに報告している。
Ifopの調査によれば、フランス人女性の4割近くが「他家の子供を妊娠する用意がある」と回答したということだ。(しかし条件付き。)
これについては、以下で詳しく説明したい。
 



パリ最新情報「フランス、みんなの結婚10周年。いろいろな家族の形が増える」

 
まず、調査対象となったフランス人女性は「世界で行われている、代理母ビジネスに賛成するものではない」と前置きしている。
しかし「子どもを産めない家族や、親しい友人の子どもを身ごもることに同意する」と答えた女性は、全体の35%にも達したという。
兄弟姉妹や親しい友人にLGBTQI +がいる場合はなおさらで、そのうちの2人に1人以上が同性カップルへの代理母出産に賛成している。
これもGPA賛成派が増えつつあるという、“フランスの今”を表した数字だと言えるだろう。

もちろん倫理的な問題、そして反対派の根強い意見もある。
2013年の同性婚合法化の直前には、この法案がカトリックの国フランスを二分する事態にもなっていた。
しかしあれから10年経った今、同性婚はこうして広く受け入れられるようになったし、当時に起こった反対デモも覚えている人などほとんどいない。

代理母出産を条件付きで認めている国には、オランダ、ベルギー、カナダ、ハンガリー、フィンランドなどがある。
フランスが後に続くかどうかはまだ分からないが、少なくとも現在のフランスでは、家族はこうでなければならない、という「べき論」がなくなりつつある。(大)
 

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