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滞仏日記「フランス人ママ友たちに明太子パスタの作り方を教えた父ちゃん」 Posted on 2023/01/22 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、週末の優雅なブランチという日記を書いたばかりなのに、大変、恐縮なのだが、ちょっとバタバタとしてしまい、その後、インスタントラーメンを作って食べた、ロンリー父ちゃん。
ちなみに、ブランチは昼よりも少し前の食事、だいたい11時前後に食べるものをブランチというが、夕食の時間まで胃袋がもってくれなくて、16時半くらいに食事をすることになってしまった。
やばい、23時半くらいにお腹が空きそうだぁ。
で、何を食べようかな、といろいろと考え、悩んだ挙句、「正麺」があったことを思い出し、これは一人飯に最適じゃー、ということで白菜と豚肉を炒め、半熟ゆで卵を作って載せて、いただきまーす。
ふー、美味しかった。

滞仏日記「フランス人ママ友たちに明太子パスタの作り方を教えた父ちゃん」



で、その完成写真をママ友たちのグループワッツアップにアップしてやったのだ。
子供たちがみんな大学に行き、ママ友仲間たちとも疎遠になっていた。
なんとなく、いつまでも揉めておってもしょうがないし(息子のことで喧嘩になったママ友が2人ばかしいる)、ともかく、コメントを添えずに送ったら、ほぼ、全員から(喧嘩していたママ友からも)、「美味しそ~」「なに、これ、ラーメン?」「どこで食べられるの?」「インスタント?」「作り方教えてよ」などなど、相変わらず、パリジェンヌたちの元気なコメントが寄せられたのであったぁ。
あはは、相変わらず、イメージとは異なる本物のパリジェンヌ・ママたちじゃ。
「これはね、日本のインスタント麺をアレンジして作ったんだよ」
「どうやって?」
「ひとなり、コツとかあるの?」
「IPPUDO(一風堂)みたいじゃない? 教えて、作り方!」
そこで、父ちゃんはまず、半熟卵の作り方を伝授、それから、上にトッピングする肉野菜の作り方なんかを簡単に説明したのであった。
今回は、白菜と豚の薄切り肉を塩胡椒で炒めて、ちょっとダシとか、牡蠣オイルとか、塩こぶなどで、和風の味付けをほどこした。美味しかったのだ。
世界共通ではあるが、食べることに、パリジェンヌは貪欲なのである。
いつも息子に教えているように、スーパーで買えるようなもので、簡単に作る和食レシピ大会とあいなった。
そこで、前に作った明太子パスタの写真をみんなに送ってやったのである。
「ぎゃああ、何よ、これ、どうやって作るの? 教えなさいよ、ひとなり」
という返事が戻って来た。あはは。

滞仏日記「フランス人ママ友たちに明太子パスタの作り方を教えた父ちゃん」



明太子パスタとは何か、をまずは説明しないとならなかった。
タラコスパゲッティの説明がそもそもめっちゃ難ちー。
日本には明太子というものがあることを教えてあげるところから始まった。
正直言って、彼女らに、このおいしさは想像できない。
あと、マルシェに行くと、タラの魚卵が手に入るので、以前はこれで使っていたのだけれど、これが思うように日本のタラコみたいにはなってくれない。けっこうペーストにするのが難しい卵巣状態なのである。
そこで、父ちゃんがパリのスーパーで買えるもので作ることが出来る明太子パスタの作り方を教えてやったのだ。
「TARAMAで作ったパスタなんだよ、これ、美味しいよ。日本ではかなりメジャーな食べ物なんだけど」
実は、日本人にはなじみのないタマラ・サラダ。
日本でイタリアレストランに行くと、タラモ・サラダというのが出てくるが、あれが近い。
あれはタラコとジャガイモなどで作ったディップだと思うのだけど、フランスのスーパーで売られているタラマは、タラモではない。マ、と、モ、の違いは大きい。
何で出来ているかというと、菜種油(54%)とタラ(魚卵。42%)の卵で作られたディップ(食パンがつなぎの役割で1%程度使われている)なのである。
ギリシャあたりから広まり、フランスではかなりメジャーなディップとして定着。
アペロの時などに、バゲットにつけて食べるのだけれど、めっちゃ美味しい~。ピンク色のどぎついものが主流だけれど、ボラとかコイなどの魚卵も出回っているので、要注意。タラだけ使用の純粋なものだと色はフムスと同じような黄土色系で売っている。
「一人分だと、タラマ大匙1~2、マヨネーズ小さじ1、生クリーム少々、和ダシ(めんつゆ)、醤油、オリーブオイル、レモン、マスタード、ごま油、などを適当にボウルにいれて混ぜ合わせ、そこに茹でた太目のパスタを投入してみて。出来れば、辛い唐辛子ペースト、アリッサでもいいかな。入れると、日本の明太子っぽくなる。和ダシ、めんつゆ、ごま油は必須かな。最後に海苔とか千切ってかけるんだけど、美味しいよ」
実は、ぼくは塩昆布と昆布茶を入れる。塩こぶは必需品である。

滞仏日記「フランス人ママ友たちに明太子パスタの作り方を教えた父ちゃん」



しかし、さすがに仏人には無理な材料なので、めんつゆ、で和テイストを出してもらう。ま、なければ、醤油でもいいけど、今時のフランス人には受ける。日本食ブームなので、ダシとか、めんつゆ、とか持っている人も多い。
「で、このタラマなんだけど、モノプリで売っている高級タラマにしてね。というのはタラ卵が40%以上入ってないと、この味が出ないので要注意ね。必ず、40%以上のタラ卵入りのタラマを使うこと。いいかい?」
「へーやってみるわね」
「美味しそう」
「どんな味?」
「日本人って、変なこと考えるよね」
「でも、食べたい」
「うるさいよ、作って食べてから日本批判しなさい」と怒った父ちゃんであった。えへへ。
ということで、再び、ママ友グループが再結集をしたのである。めでたいのかいな。
今度は、カップ麺で作る焼きそばとか、韓国の辛ラーメンで作るクリームパスタとか、教えてあげようかな。あはは。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、きっと、2,3日後に、彼女らの傑作「たらこスパゲッティ」の写真が届くはずなので、届いたら、掲載しましょうかね。お楽しみに!
さて、29日の日曜日に父ちゃんのオンライン・熱血文章教室を開催いたします。締め切ったエッセイを今、読み込んでいますが、かなりいいですよ。その中から、3作品くらいをピックアップし、そこを入り口に、じっくりと文章の書き方を勉強していきましょうね。気まぐれ文章教室ですから、脱線もありつつ、楽しく文章を学んでいくような講座になれば、辻父ちゃん講師も本望です。
ご参加を希望される皆さん、こちらをクリックください。

地球カレッジ

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5月29日のオランピア劇場での父ちゃんの単独ライブ、これはね、たぶん、もう生涯で一度しかできないライブだと思います。間違いなく、ぼくの歴史の中で、最高の瞬間になるはずだから、見に来てほしいです。DeepForestのゲスト出演も決まったことだし!!!!!
JALパック・パリが企画したライブ翌日のランチ会が「完売」したことを受け、参加できなかった人のために、当日、追加でランチ会がもう一回行われることになりました。まだ、先のことですが、パリ旅行を計画されている皆さん、ご参考ください。詳しくはこちらの、URLをクリックしてみてください。

5月30日 辻仁成 オランピア公演記念 『感謝!Merci!』 トーク&ランチ会 《追加設定》



そして、NHKの「パリごはん」来月、新作(秋冬編)が登場をします。
2023/2/17(金)後10:00~10:59【BSプレミアム・4K同時】です。ついにちくわず男の義和Dが編集に入った模様です。4か月半に及ぶ、父ちゃんのアフター子育ての記録です。引っ越しあり、三四郎との旅もあり、てんこもりですぞ。
「辻仁成のパリごはん 2022年秋冬」(59分)
そして、再放送もあります。
2023/2/21(火)後5:00~5:59【BS4K】※再放送
2023/2/21(火)後11:00~11:59【BSプレミアム】※再放送



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