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滞仏日記「ついに、フランスも2023年になった。光輝くエッフェル塔前でボナネ!」 Posted on 2023/01/01 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、2023年への期待が大きい。とにかく、今年は賑やかなのである。
今、フランスは感染がかなり落ち着いている状態(パリは数百人レベル)。
そのせいでか、例年に比べて市内が早い時間から盛り上がっている。
早い時間から爆竹や花火が打ち上げられ、そこかしこで煙があがった。とにかく、いちいち過激なのである。
息子からウイリアムと作った餃子の写真が送られてきた。とっても美味しそうだった。
「明日は何時頃、来る?」
返事なーし。あはは。

滞仏日記「ついに、フランスも2023年になった。光輝くエッフェル塔前でボナネ!」



滞仏日記「ついに、フランスも2023年になった。光輝くエッフェル塔前でボナネ!」

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ぼくは十斗が包んだ餃子の写真をユセフに見せた。
「君の子、お父さん似なんだね、この若さで料理できるだなんて」
「ユセフ、子供ってね、なんだかんだ言っても、親を見て育つ」
ユセフの子供たちがサーモンのパイ包みに飛びついている。
ぼくは笑顔になった。そりゃあ、そうだ。うちの子もこれが大好物だったんだもの。子供には愛されるサーモンのパイ包みなのだ。そこは心得ている。
「十斗が作った餃子の写真、自慢していいかい?」
「もちろんだよ。18歳の男の子たちがこれを作ってるって、すごいよ」
「餃子の作り方は教えちゃいないんだよ。でも、料理とは何かを、息子は見てきたからね」
ユセフの上の子が、おじさん、めっちゃ美味いよ、と言った。そりゃあ、そうだろ、と思った。みんな、大好きなサーモンのパイ包みだもの。
「すごいね、こんなすごいの作って、うちは嫁がずっと料理担当だった」
「奥さんがどんなに大変だったか、俺にはわかる。子育てって、どんな仕事にも負けないくらい大変なんだよ。奥さんのこと、大事にしなきゃね」

滞仏日記「ついに、フランスも2023年になった。光輝くエッフェル塔前でボナネ!」



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エッフェル塔でカウントダウンがあるらしい。
NHKの「パリごはん」用撮影をしておきましょう、とスタッフさんから連絡があったので、地元の仲間たちにサーモンのパイ包みを届けた後、三四郎とエッフェル塔の真下を目指したのだった。
ところが、すごい人で、駅周辺がもう、歩けない、動かない。
こちらは犬連れなので、なおのこと前に進まないのである。
仕方なく、三四郎を抱えた父ちゃん・・・。
3年前のロックダウン時のガラガラ感が懐かしくなるくらいの人だかりであった。
スタッフさんに「前に進めないから、中間地点の広場まで下がって貰えるか。少し外れた場所だと撮影が出来ると思うよ」と連絡を入れた。
数万人のエッフェル塔初詣状態、この中で落ち合えるのだろうか・・・。

滞仏日記「ついに、フランスも2023年になった。光輝くエッフェル塔前でボナネ!」

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なんとか、みんなと合流をした。エッフェル塔を真正面にした広い道が大勢の人でずらりと大行列になっている。
そこだとちょっと撮影出来ないので、横にずれて、場所を確保した。けっこう、エッフェル塔が遠いけど、ま、しょうがないね。
警察の騎馬隊が巡邏していて、三四郎が、ビビって震えだした。
30秒くらいからカウントダウンが始まった。その声の輪が大きくなった。エッフェル塔前の公園(シャンド・マルス)を包む大声援、すごい。
「10,9,8,7,・・・・」
「ボナネー(おめでとう!!!)」
あちこちで花火があがった。歓声が響き渡った。周囲の人々が抱き合ったり、踊ったり、持ってきたシャンパンをがぶ飲みしたり!!! 
やっぱり、シャンパンなのであーる。
「Bonne année !」
十斗から、SMSに新年を祝うメッセージが送られてきた。
ついに、フランスでも、2023年がスタートした。この日記を書いている真夜中までパリは大盛り上がりなのであった。朝まで、かな。
さて、どんな一年になるのか、愉しみである。

滞仏日記「ついに、フランスも2023年になった。光輝くエッフェル塔前でボナネ!」



今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、無事に、フランスも日本から送れること8時間、やっとおいつき、2023年を迎えることが出来ました。皆さん、今年もよろしくお願いいたします。
「ボナネー!!!!!」

さて、次の地球カレッジは、1月29日、日曜日になりました。参加を希望される皆さん、以下をご参照ください。
「エッセイの書き方教室、第1回」
今回の地球カレッジ「文章教室」は、どうやってエッセイを構想し、実際に書き、また、推敲をしていくのか、についての講座となります。課題応募されたエッセイの中から選ばれた数本のエッセイを、辻仁成が細かく指導、推敲、研磨していきます。
「エッセイ依頼内容」
今年最初の課題は、また一から、食にまつわるエッセイとなります。
「お子さんやパートナー、家族、同居人に日々作る、作ってもらっている、頂いている、ごはん。外食も含め」について、その人生の深部、喜怒哀楽を書いてください。題して、「日々のごはん」です。字数は1000字前後、1500字以内、とします。締め切りは1月22日とさせていただきます。
詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックくださいませ。

父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、新年に訊くと盛り上がるんです。そして、家族に囲まれ幸せなあなたにも、独りぼっちのあなたにも、赤い首輪のさんちゃんにも、響くはずです。ジャパニーズソウルマン、お聞きくださいませ。


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それから、2023年5月29日にパリのミュージックホール、オランピア劇場で単独ライブやります。
パリ・オランピア劇場公演のチケット発売中でーす。
直接チケットを劇場で予約する場合はこちらから。

https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/

フランス以外からお越しの、ちょっとチケットとるのが不安な皆さんは、ぜひ、ジャルパック・サイトをご利用ください。こちらです、

https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/

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