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パリ最新情報「フランス人が一番好きな料理『ラクレット』。12月13日は世界ラクレット・デー!」 Posted on 2022/12/14 Design Stories
「フランス人が一番好きな料理とは?」
毎年行われるこの調査が、今年も18歳から74歳のフランス人を対象に実施された。
これはフランスのテレビ番組TF1が主催した調査で、地域で偏りが出ないよう、フランス全土が対象になる。
では、1位に輝いた料理とは何か?
それはやはり、冬の定番メニューである「ラクレット」であった。
やはりというのは、フランス家庭には「一家に一台」として必ずラクレット・メーカーが存在すること、そして実際にラクレット大好き!と話すフランス人が非常に多いことによる。
※2位…グリルチキン&フライドポテト、3位…ピザ、4位…クスクス、5位…ブフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮)、6位…ブランケット・ド・ヴォー(仔牛のクリーム煮)、7位…キッシュ・ロレーヌ、8位…パエリア、9位…シュークルート、10位…カスレ
実はこのラクレット、12月13日が「世界ラクレット・デー」となっている。
世界といっても、フランスと近隣諸国にしかまだ広まっていないのだが、“チーズ好きのための一大イベント”としてフランスでは2018年から始まった。
ラクレットチーズの試食会が各所で行われたり、レストランやバーで特別にラクレットのメニューが用意されたりと、寒い季節にぴったりのイベントでもある。
ラクレットの起源は古く、もともとはスイスで始まった。それがフランスのサヴォワ地方に広まると、ゆっくりと他の地域にも浸透していく。
材料はとてもシンプルで、茹でジャガイモ、シャルキュトリー(ハムやサラミ)、ラクレットチーズのみ。
ジャガイモは皮付きでも剥いたものでもどちらでも良いが、基本的にシャルキュトリーは調理しなくて良いものを選ぶ。
古くは大きな楕円形のチーズを半分に切って、それを暖炉で溶かして具材にかけていた。
そうした光景は今でもクリスマスマーケットなどで見られるのだが、これを家庭で実践するのはとても大変。
ということで、現在ではラクレット・メーカーで各自がチーズを溶かして、「自由に何杯でも」というスタイルが取られている。
とはいえ、ラクレットはカロリーも脂肪分も高い。栄養の偏りも心配だ。
そのためフランス家庭では、ブロッコリーや人参などの野菜を加えたり、サイドメニューとしてロメインレタスのサラダを並べるところが多い。
また最近では塩分の多い生ハムをターキーハムに置き換えたり、ジャガイモをゆで卵に置き換えたりする健康志向のパリジェンヌもいる。
カロリーに目をつぶれば、ラクレットチーズは癖のある香りの割に、繊細な味がするというのが特徴だ。
チーズといえば赤ワイン、と思ってしまうのだが、そうした特徴もあってか「ラクレットには白ワインがよく合う」とのこと。
またサヴォワ地方のあるフランス東部は、上質な白ワインの産地としても有名である。
地元の料理とワインは合う、というマリアージュの原理からしても理想の組み合わせだ。
そうはいっても、ラクレットに厳格なルールが存在するわけではない。
基本的にラクレットはみんなでワイワイ、美味しく楽しく温かくというのが目的なので、家庭や個人によってはそれぞれのやり方を「ラクレット」とするところもある。
ジャガイモ、シャルキュトリー、ラクレットチーズの3つが基本とされてはいるが、その人の好みで野菜を加えても、チキンに置き換えても、赤ワインやロゼワインに合わせてもOK。
「Comme vous voulez!(ご自由に!)」と、フランス人がよく口にする言葉がラクレットの前ではよく飛び交う。
このように応用範囲が広い、というのも、幅広い年代からラクレットが愛される理由なのかもしれない。(オ)