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パリ最新情報「フランスにおける感染症「三大流行」の状況、政府が発表した内容まとめ」 Posted on 2022/12/11 Design Stories
12月8日(金)17時、フランソワ・ブラウン仏保健大臣は、クリスマス休暇を前にコロナ第9波、インフルエンザ、気管支炎の「三大流行」に関する記者会見を行った。
まず大臣は、この10日間で新規感染者数が着実に上昇していることを指摘、12月6日(火)には105,516人が陽性となったことを報告した。
またフランス国内におけるオミクロン株の変異型BQ1.1(通称ケルベロス)の感染状況にも触れ、「完全な脅威とはならないが、最も脆弱な人々にとってリスクが無い訳ではない」ため、今後数週間は入院者数が増え続けると警告。
現在1,000人以上が集中治療を受けていることを改めて強調した。(仏衛生局の最新の発表によると、現在フランスにおけるBQ1.1の感染率は全体の58%となっている)
なお入院患者数については、例え第9波が爆発的感染状況とならなくても、今年夏の水準を上回る可能性があるという。
インフルエンザに関しては、前週比で救急外来と入院者数が2倍に増えたと大臣は述べている。
そのため「これは大きな風邪ではない」「毎年死者を出す」と強めに言葉を発し、フランス人のインフルエンザ予防接種率が「前年よりも低い」ことを大きく指摘した。
なおフランス国内におけるインフルエンザの状況は、9つの地域で「蔓延(épidémique)」状態にあると先日発表されたばかりだ。
気管支炎の流行も過去に例を見ないほどの広がりを見せている。
ただ現在では地域によって非常にばらつきがあるといい、ピークを過ぎたところもあれば、「流行前段階」にある地域もある。
しかしながら大臣は「フランスの小児科病棟はほぼ満杯である」と述べ、 乳幼児を守るための行動、特にクリスマス休暇に向けてのマスク着用・手洗い・換気など基本的な予防対策を強く呼びかけた。
これら3つの流行について状況を説明した後、フランソワ・ブラウン保健大臣は「フランス人は前年に比べて感染症対策ができていない」こと、そして「10月に入ってから280万人しかコロナワクチンを接種していない」ことを指摘。
そしてこれは、これまでのワクチンキャンペーンと比較しても、また欧州の近隣諸国と比較してもはるかに少ない数字だという。
この会見によりフランスは現在、コロナ第9波、気管支炎、インフルエンザが同時に流行する「トリプル・エピデミック」という前例のない事態に陥っていることが改めて浮き彫りになった。
通常、政府関係者が公式な会見を行う時は何かしらの「重大発表」があるとフランス国民は自覚している。
そのためメディアの多くも「マスク着用義務が復活するか?」と前々から取り上げていたのだが、着用義務については言及されず、今回は「フランス人の責任能力に委ねる」という結果になった。
ただフランソワ・ブラウン保健大臣は、「道を渡る時に左右を確認するように、公共交通機関内でのマスク着用を当たり前のように行ってほしい」と強く訴え、特に電車・バス乗車時はマスク着用を徹底するよう、画面越しに釘を刺された形となった。(大)