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パリ最新情報「フランス、コロナ第9波到来。トリプル・エピデミックが年末年始に打撃か」 Posted on 2022/12/01 Design Stories  

 
コロナ第8波が収束したのもつかの間、フランスでは第9波が11月末より始まった。
仏衛生局の発表によれば、11月29日(火)の新規陽性者数は91,814人となり、発症率は前週比で46%も増加。
また新規入院患者数は前週に比べて10%以上、重症患者数は22%の増加を見せており、エリザベット・ボルヌ仏首相も29日の国会にて「コロナの流行が再来した」と述べている。
 



 
フランスでは現在のところ、南部での発症率が高い。
特にスペイン国境に近いオート・ピレネー県では人口10万人あたり605人以上と、国内で最も高い発症率となっている。
しかしながらフランスでは検査件数の減少、11月中旬のラボ(PCR検査などができる検査機関)の一斉ストライキ、そして国民の祝日が続いたため、疫学者らが諸々の発症率の増加に気づくまでに数日かかってしまった。
 

パリ最新情報「フランス、コロナ第9波到来。トリプル・エピデミックが年末年始に打撃か」

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第9波が到来した主な理由については、まず第一に急激な気温の低下(パリでは最高気温が10度を下回る)により換気の回数が減ったこと、万聖節の学校バカンスからの戻り、そして人々の免疫力低下によるものだと疫学者らは述べている。

昨年の同時期に比べれば発症数は少ないというが、フランスがいま危惧するのは、気管支炎、季節性インフルエンザと重なった年末のトリプル・エピデミックである。
フランスの小児科医療機関は10月初旬から、過去10年間で最悪と言われる気管支炎の流行と闘っている。
11月の第1週にはフランス首都圏で2歳以下の子どもたち約6,900人が気管支炎で救急外来を受診しており、小児疾患としては過去に例を見ない記録的な数字となってしまった。
そのためすでに気管支炎および季節性インフルエンザの流行に全力を尽くしている病院にとって、コロナ第9波の広がりは大きな打撃となる可能性が非常に高い。
 



 
またBA.5の変異型である「BQ.1.1(通称ケルベロス)」も懸念材料の一つとなっている。
2022年8月頃から出現しはじめたこの亜種はフランス国内で増え続けており、11月24日の時点で全体の39%を占めていると仏衛生局は報告した。
なお2023年初頭には、この数値は80%以上に上昇する見込みとなっている。

マスクをする人が増えてきたとはいえ、コロナへの慣れ、ワクチン疲れといった傾向はやはり否めない。
こうした意識低下に対し、エリザベット・ボルヌ仏首相は29日、「私たちの義務は依然として脆弱な人々および医療機関を守ることである」とし、「命を救う小さな行動として適宜マスクを着用すること」を国民に向かって強く呼びかけた。(大)
 

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