JINSEI STORIES
滞日日記「一応、母さんのためにオランピアライブのチケットを買った父ちゃん」 Posted on 2022/11/23 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、サムライブルー(日本)がドイツに勝って、なんだか、周辺がざわざわとしているけど、これはマジ凄いことだ。すげ~。
実はフランス人の予言者が少し前に、今年優勝するのは「日本」と予言していたのだ。
教えてくれたのは、ニコラ君であった。
その時は、もちろん、半信半疑であった。でも、優勝候補のドイツに勝ったのだから、もしかして、その予言者・・・。
と思っても、不思議ではない。
さて、個人的なことで言えば、日本時間の20時にオランピア劇場のチケットが発売された。
一応、来られないのはわかっているのだけど、母さんと恒ちゃんの席を確保しとかなきゃ、と思った父ちゃんなのだった。
20時になると、カウントダウンしていたページに購入のためのマークが出た。
すると、書生さんの長谷っちから、ラインメッセージが飛び込んできたのだ。
「先生、出てます~。出た出た出たぁ~」
ラインのメッセージでこんだけうるさい人は滅多にいない。何が出た?
「だから、オランピアのトップページが先生なんです」
「カウントダウンのページでしょ?」
「ち、違います。そこじゃなくて、URLをクリックしてみてください」
落ち着けよ、まったく、そんなんじゃ作家にはなれないよ、とか思いながら、父ちゃん、もう一度、オランピア劇場のサイトを覗いてみたら、
「うわあ、ほんとや、出た。出た~」
となった。
サイトの一番上、デザインストーリーズだとトップの新着記事が回転するカルーセルのところに、月が出た出た、父ちゃんが出た、なのだった。
思わず、長谷っちにライン電話をしてしまった、父ちゃん。
「出たね~、おどろいたわ」
「出ました、先生」
あはは。
※ 皆さんがスクショしてくださったので、父ちゃんもスクショして待機画面にしたのだぁ。
「長谷っち、実は、頼みがあるんだ」
「はい。なんでございましょう」
「あの、母さんと恒ちゃんの分のチケットを二枚、買いたいんだよ」
「関係者席じゃだめなんですか?」
「関係者席って、特にないんだってば。楽屋に入れる人数に限りがあるから、もしものために2枚頼む。あとで金返すから」
「えええ? ぼくが出すんすか? あ、わかりました。やってみます」
ということで、長谷川さんに頼んで、母さんのチケットをゲットしようとした父ちゃんであった。
しばらくすると、再び電話がかかってきたのだった。
「どの席にしますか? 矢印が思うように動かなかったので、今、やっとアクセスできました」
「どの席があるの?」
「いろいろとありますけど」
「あのね、目が合わない席」
「えええ。そんな難しい注文すか。わかりました。やってみます」
ということでとりあえず、ぼくが意識しないと見えないような場所、こっそりとした席を二席ゲットした父ちゃんなのだった。
「電子チケットもありますけど、劇場で紙のチケットを貰えるみたいで、ただ、ちょっと3€くらいかかりますけど、記念に、そっちにしますか? ぼくがついでの時に引き換えに行ってきます」
「いいね、そうしてもらってもいいですか?」
「先生、もちろんです」
ということでどうなるかわからない、87歳の母さんなのだけど、突然、不死鳥のように蘇る可能性もあるし、来られなくても、それはそれで記念になるから・・・。
と、そこに、パリの一本線野郎のやなさん(ジャパンストーリーズの構築担当)から驚くべき画像が届いたのであった。
「ええええ、やなさん!!!!」
あ、その前に、皆さんにお伝えしないとならないことがあった。
このオランピア劇場ライブを記念し制作に入っていたニューアルバムが、12月10日、全世界配信がほぼほぼ決まったのであーる。よっしゃ。
その配信をするのにジャケットが必要だということがわかり、あはは、やなさんに依頼をしていたのだ。
「辻さん、どんなイメージなんですか?」
「ああ、ええと、日本のブランドっぽい感じ。あの、今回、TSUJIだからさ、MUJIに似てない? 響きが、エコーズでしょ?」
「・・・」
「いや、だから、MUJIとTSUJIってなんか似てるし。カタカナとかフランス人好きだから、タイトルはカタカナで、TSUJIのところをMUJIみたいにしてよ」
やなさんを困らせた父ちゃんであった。
ということで、出来上がってきたアルバムジャケットがこちら。
そして、ついでに、パリジェンヌにこれを着てもらい、オランピアに来て貰いたい、というのでやなさんが勝手にデザインをしたのが、こちらのTシャツなのであった。どうじゃああああ。
※ やなさん、やばいよー。ほしい。
フルアルバムとしては前作「コトノハナ」から10年目のニューアルバムになる。63歳の熱血父ちゃんのアルバムは「ジャパニーズソウルマン」と題名が決定したのであーる。
ソウルミュージックのソウルじゃなく、韓国の首都でもなく、魂のソウルなのだ。
ソウルマンTSUJIである。しかも、ジャパニーズがつく。日本の熱血男、というイメージなのであった。あはは。よかでしょ?
このアルバムでフランスの音楽ファンをノックダウンさせてやるぞ、という父ちゃんの意気込み。
ぼくの素性も年齢も知らず、ジャケット買いした仏人は、人気のMUJI効果もあって、若い日本のロッカーと勘違いし、音楽はめっちゃ弾けているので、「かっこいいねー」と盛り上がった勢いで、「あ、オランピアでライブやるじゃん。こりゃあ行かなきゃ」とチケットをポチポチっとさせる作戦なのだった。いひひ。
どうです? ナイス作戦でしょう? 冴えてる?
で、騙されたフランス人が大挙オランピアにやって来て、父ちゃんは63歳にして、フランスでロックスターの地位を獲得するという運命なのであーる。あはは。
フランス人、MUJIで馴染んでいるから、TSUJIも素直に受け入れられるんじぇねーか、という寸法。なので、HITONARIは削除したのさ、ベイビー。
※ 知り合いがゲットしたというチケット、日本でゲットするとこういうチケットがおくられてくるようです。たぶん、電子チケットですかね・・・。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」は12月10日発売を目指して、現在、配信会社が調整中っす。その頃には仏人マダムをのけぞらせるセクシーダイナマイトな父ちゃんのプロモも出来上がって来る予定で、すべてが、うまくいっています。で、世界中の配信プラットホームで訊けますし、購入サイトのお試し聞きでも1分ちょっと聞くことが無料ですので、どんどん、自由に楽しんでください。買いたい人は買えば、ありがとうございます、です。広告が入りませんから、携帯にしのばせ、父ちゃんを独り占めしてください。あはは。頑張るぞ、と気合いを入れている、60代ですが、なにか・・・。