JINSEI STORIES
滞日日記「オランピアへの道。オランピア劇場どうなってんの?とベルちゃんに訊いてみた」 Posted on 2022/11/18
某月某日、遅々として進まないパリの歴史的ミュージックホール、オランピア劇場での父ちゃんの単独コンサート企画、あれ、どうなっているのか、ベルトランことベルちゃんから一切連絡がないので、東京の片隅で悶々としていた父ちゃん・・・、意を決して、フランスは夜だけど、ベルトランに電話をしてみることにした・・・。
「もしもし、ベル?」
「おお、ツジー。東京?」
「イエース」
フランス人の若い奴は、かっこつけて、英語を使いたがるので、ぼくも「ウイー」じゃなくいつも「イエース」で決めている。だサッ。
「あのさ、もう、11月も末になろうかというのに、オランピア劇場、いったいどうなってんの? 無理そうなら無理って言ってもらわないと、俺、日記でずっと書いてきたから恥をかくんだけど。日本人は恥を嫌うんだよ、サムライジャパンだからね」
「あはは」
「あはは、じゃねーよ。ベル、どうなってるのか教えろよ」
「ツジー、実は大進展している」
「え? 大進展?」
「そうだ。大進展だけど、まだ言えない」
「おいおいおい」
ぼくは肩を竦めた。
※ こちらがベルトランこと、ベルちゃん。
「大進展って、どのくらいの大進展なのか、ちょっとだけ、話して貰えないか?」
「オランピアとの契約が結べそうなところまで、来てるってことだ」
「えええええええええ!」
驚いた父ちゃん。契約? いきなりそこなんか!はよ、言え!
「待て、でも、最終契約までいくつが難問もあって、予算とか、条件とか、これが厄介なんだ、だから、うるさいお前には言わないでおいた。ほら、ツジーはさ、すぐ有頂天になって、ダメになると、すぐ急降下するじゃん。フランス人は仕事は遅いけど、動く時は一気に動くんだ。今、その前まで来ている。俺は慎重に詰めていってる。とにかく、ツイッターにはまだ書くなよ」
「マジか。わかった。ツイッターとかインスタには絶対かかない。安心しろ」
じーん。父ちゃん、じーん、となった。
「でも、早合点するな、いろいろ、各方面、動いておく必要がある。契約の締結は今、電子契約で可能だから、あっという間に決定するかもしれないし、しないかもしれない」
「あの、しない可能性もあるの?」
「大人気の劇場だから世界中のアーティストがあらそっている。それに、大人の事情がいろいろとあるんだ。そこをクリアしないと最終的にはOKとはならない。世界共通だろ、そんなの」
「え? あの、じゃあ、俺がオランピアでライブやるの、オランピア側は、大丈夫って判断してくれているの?」
「だから契約交渉になってんじゃん。大進展だろ」
「たしかに、大進展だね。じゃあ、サインしちゃえよ」
「そこはこちらもプロモーター会社として、妥協できないところはしない」
「妥協しろ」
「お前、そんなんじゃフランスで生きていけないぞ。俺を信じろ。俺は確かに、のんびりと進むが、嘘はつかない。必ず、ステージの上にお前を連れていく。お前はライブのことだけ考えておけ。日本人が音楽の殿堂オランピアに立つ、最高のライブをやれるよう、やるのはお前だ、俺じゃない、心の準備をしておけ。あと、日本からもファンの人が来るなら、どうやって、安全に観に来て貰えるか、それは、君の方で考えないとならない。フランスのことは俺がやる」
おおおお、急にベルトランが勇ましく見えた。
「だから、吉報を待て」
そこで切れた。
なんだか、わからないけれど、大進展、しているということらしい。
口の中がまだ痛いけれど、父ちゃん、血が騒いだ。騒ぐと傷口が痛む・・・。えへへ。
よっしゃ、ここはひとつ、皆さん、一緒に叫びましょう。
「合言葉は、はい、熱血~~~」
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
びっくりな展開でしたが、なんにも連絡してこないこの男、不言実行タイプの珍しいフランス人なのですね。大きなことを言わないで着実に駒を進めていく、プロ中のプロなので、父ちゃん、安心して待っていたいと思います。契約が無事に結べたら、これは、とんでもないことが起きそう・・・。今から、そわそわ、わくわく、どきどき、止まりません。
さて、お知らせです。
まずは、明日、19日、日本テレビ「世界一受けたい授業」2時間 SPという番組で、父ちゃんの料理エッセイ集「父ちゃんの料理教室」が、再現フィルムとともに、ご紹介される、みたいです。
「林真理子先生が選んだ!今だからこそ読みたいエッセー(仮)」でちょこっと紹介されるそうなのですですです。真理子さん、ありがとう!!!
<放送日時> 11 月 19 日(土)19:00~20:54
となりますので、お時間ある皆さんは明日ですから、どうぞ。