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パリ最新情報「美味しい!だけではない、エッフェル塔の新レストラン。」 Posted on 2022/11/17 Design Stories  

 
この秋のパリは、深夜が以前に比べてずっと暗い。
エネルギー不足が懸念され、電気節約が叫ばれる今日、街の建築物への灯や街灯は光度が弱められたり、消されているからだ。
そして各家庭は節約のため電気を消して、早々にベッドの中に潜り込んでいるからだ…(?)。
同様に、パリのマダム、エッフェル塔も、この9月から23時45分には眠りにつくようになった。
飴色の柔らかな光をまとって、遠くパリ郊外まで美しく存在を示していたその姿は今、深夜には拝めない。
毎晩カウントダウンで、0時にキラキラと眩いばかりの電光を鉄の体から放って、夜遊びツーリストたちを喜ばせていたスターのような姿も今はない。
しかし誰も、以前より静かなミッドナイトを迎えることに文句を言わない。
現在の状況と未来のためにすべきことを、パリの人たちも世界の観光客も皆知っている。
 

パリ最新情報「美味しい!だけではない、エッフェル塔の新レストラン。」



 
その代わり、ではないが、エッフェル塔には新しい素敵なニュースもある。
塔の一階に新しいレストランが誕生したのだ。
実はすでに夏のバカンス前にオープンしたが、先日やっとそのお披露目会が開かれた。
その名もマダム・ブラスリー。
これからじわじわとパリの話題になっていきそうな素敵なレストランである。
 

パリ最新情報「美味しい!だけではない、エッフェル塔の新レストラン。」

地球カレッジ



 
シンプルで現代的なインテリアは、ニコラ・ドロンNikola Delonによるもの。
自然素材によるサスティナブルな内装で、それは料理とフィロゾフィーを共にしている。
料理は星付きシェフ、ティエリー・マルクスThierry Marx。
彼の料理、レストランのあり方、ひいては仕事の全てには、いつも“美味しい”に終わらない哲学やメッセージがあり、フレンチシェフの中でも特別な存在感のある彼だが、 マダム・ブラスリーでも同様、人間、環境、自然をリスペクトした料理を作る。
例えばその食材の70パーセントがパリから200キロ以内で作られた旬のもの。
堅苦しくではなく心に残る温かなひと時を提供したいと、メニューは伝統的なフレンチをベースに、フランスのシックなブラスリー(食堂)をイメージしている。
エッフェル塔がパリの象徴であるように、そこに存在するこのマダム・ブラスリーもまた、パリのレストランの象徴になりそうだ。
 

パリ最新情報「美味しい!だけではない、エッフェル塔の新レストラン。」



 
57メートル上空から眺めるパリの景色は、まるで視界いっぱいに広がる美しいシアター。
どの席に座るかで、眺めが変わるのもシアターのごとくと、このレストランは席(眺め)によって値段が違う。
トップテーブルは何と言ってもトロカデロ広場と緩やかに流れるセーヌ河と大空が望める席(セーヌ川の眺め席)。
比較的割安になる塔の中心側の席(エッフェル塔の眺め席)も、エッフェル塔の中にいるという特別感がいっぱいで悪くない、もちろんパリの景色も遠くまで望める。
予算や目的に合わせて席を選び、席により違うパリの表情も楽しみたい。
しかし天気によりその表情は変わるので、何度も来てしまいたくなりそうだ(お財布が許せば…)。
 

パリ最新情報「美味しい!だけではない、エッフェル塔の新レストラン。」

 
食後には、1889年以来、世界の人々に愛され続けているエッフェル塔散策も忘れずに。
ワインで少し火照った頬に、パリ上空の風は、いつまでも忘れられないくらい気持ち良くて。(ア)
 

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