欧州最新情報
パリ最新情報「フランスにおけるインフルエンザの状況:一部地域で流行期と発表」 Posted on 2022/11/13 Design Stories
コロナとの同時流行が懸念されるインフルエンザだが、フランスのブルターニュ地方では11月9日(水)、流行期に入ったと発表された。
一方でフランスにおけるコロナ第8波は、11月10日の段階で新規陽性者27,068人と落ち着きを見せている。
しかしながら抗原検査では陽性率が上昇傾向にあるといい、仏保険当局はこの落ち込みを「鈍化」と表現した。
約1ヶ月前のパリ最新情報では、フランスでこの冬、インフルエンザの流行が「懸念されている」と報告させていただいた。
あれから爆発的な流行はまだ起こっていないものの、「懸念」が「流行期に突入」へと変わり、フランス国内では12月初めから流行のピークを迎えると予想されている。
ただブルターニュを除く地域では今のところ、すべてのインフルエンザ指標が基本水準となっている。
ところがそのブルターニュ地方では、10月31日(月)から11月6日(日)にかけてインフルエンザ受診件数が前週に比べ50%も増加し、発症率は4.6%(他の地域は2.5%)となった。
また重症により集中治療室に入院した4人のうち2人が同地域の居住者で、残りの2人はノルマンディー地方、そして4人とも65歳以上であることが明らかになっている。
ブルターニュ地方で起きた早い時期の流行を受け、仏保険当局は「今後数週間のうちに他の地域でもインフルエンザ・ウイルスが流行することが予想される」と9日(水)に述べた。
心配されるのは、こうした流行が学校のバカンス時期(万聖節、11月1日を中心とした前後2週間の休み)と重なったことである。
そのため他の大都市圏でもインフルエンザ・ウィルスが散発的に検出されており、まだ数は少ないながらも「コロナとの同時流行」が現実味を帯びてきている状況だ。
何人かの疫学者は、フランスにおける2022年がすでに困難な年になることを懸念しているという。
彼らによれば、本年度のインフルエンザは多くの点でパンデミック疲れが背景にあるといい、予防策・意識(マスク着用など)の低下、そしてフランス人がインフルエンザの予防接種を受けなかったことを指摘している。
しかしながらインフルエンザは39度前後の高熱、悪寒、強い倦怠感および頭痛などが症状にあるため、高齢者や基礎疾患のある人、妊娠中の女性などは特に感染を避けたい。
フランス各紙は、今回の罹患率は過去5年に起こったインフルエンザ流行期より高いことに留意する必要がある、と報じている。
また一部の地方紙では「他の大都市圏に警戒態勢が敷かれていないとはいえ、安心するのはまだ時期尚早だ」と警鐘を鳴らしたところもあった。(大)