JINSEI STORIES

退屈日記「いろいろと料理をしてみた。まだ、これではいけん、と試行錯誤中」 Posted on 2022/11/01 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、植野食堂で作ろうかなと思っていたものがだんだん見えてきた。まだ悩んでいるけれど、22人のゲストに料理を作る場合、一番の問題はタイミングなのかな、と。
なので、ある程度、前もって出来ているものと混在させるのがよろしい、ということになる。
今回は植野さんが2品、ぼくが4品になるので、現地では調整する程度でさっと出せるものを2品用意しておく必要があるな、と思った。
たとえば、デザートなどは前日の夜に仕込んで、冷蔵庫で固めて、ちょうど味が染みた頃に出せればいいので、これは助かる。
もっとも最後のひと品なので、それ以前が大事であろう。
担当するアミューズはお客さんが入って、オーブンに入れたりできて、アペリティフが終わる、お客さんが落ち着かれるタイミングで出せるのがベストなので、マドレーヌ型サーモン・パテの改良系がいいように思った。
見た目も可愛いし、これに特製のオレンジ塩を散らし、オレンジの香りが食欲を駆り立てるという寸法である。
もっとも、決定ではなく、何度か、試行錯誤を繰り返して、どの形状がいいのか、考える必要がある。
あ、マドレーヌ型ではなく、カヌレ型という手もある。

退屈日記「いろいろと料理をしてみた。まだ、これではいけん、と試行錯誤中」

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こうなると、次の前菜とメインで決まるのだけど、植野さんが何系で来るかでぼくの料理種目が分かれる。
植野さんが肉系ならばぼくは魚介系であろうし、その逆もありえる。ここでちょっとLineをしたが珍しく返事がない。
ま、植野さんは肉系であろうから、ぼくが前菜は肉系、メインは魚とし、植野さんにはその逆をやってもらうことにしてはどうか、と思った。
そうなると、悩ましい。
最近、タラの肝を使った料理とかもよくやるのだけど、あん肝よりも柔らかく、臭みも少ないので、面白い料理が出来るだろう。
魚介は新鮮さが命なので、材料を豊洲あたりに買いに行ってもらわないとならない。
なんとなく、いきなり今考えている献立をいきなり作るのも問題があるなぁ、と思ったので数少ない友人ご夫妻に連絡をし、この週末、ちょっと出張料理人をやってもいいか、と打診をしてみることにした。
同じみ、同世代のしまちゃんに電話をしたのだ。
「えええ? つじちゃんが料理しに来てくれるの? いやああ、そんなの、マジか?」
ということで、土曜日にお出かけして、そこの家族に料理をふるまってみる。
人数は少ないのだけれど、予行練習には十分だ。問題は同じ食材や調味料でも日仏のものには個体差があるので、その辺を見極めないとならない。
「ワインだけ用意しといて、あとはデザートまでフルコース作るよ」
「いいねいいね、楽しみにしているよーん」
よし、実験台は見つけた、えへへ。

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それから、20人以上の料理とサービスはとてもぼくと植野さんにはできないので、本番の時は、料理仲間に応援にかけつけてもらうことにした。
これでなんとか回せるはずである。たぶん、アドリブで1,2食、予定外のものを作る可能性がある。
乾燥の塩だらがあれば、リエットとか作れるなぁ、とか、新たなアイデアも出てきたので、これからスーパーにでかけ、ちょっといろいろと物色してみることにしたい。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
さて、ちょっと気分転換に、料理にでも逃げようかな、と思っています。お腹もすいてきたし、スーパーでアイデアを絞り出しに、いってきます・・・・。あはは。
さて、父ちゃんからのお知らせですが、明後日ですね。明後日、11月3日、NHKの「ボンジュール!辻仁成のパリごはん〜 2022 夏〜」の再放送されます。見ようかな、東京にいるし、オンタイムで。ま、もう見られた方ばかりだとは思いますが、まだ観てないみなさん、一緒に観ましょう。オンタイムで・・・。
11月3日、文化の日の夕方の放送になります。
●再放送「ボンジュール!辻仁成のパリごはん〜 2022 夏〜」
【BSP】 11月3日(木) 午後4時35分~〜5時34分

退屈日記「いろいろと料理をしてみた。まだ、これではいけん、と試行錯誤中」



自分流×帝京大学