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パリ最新情報「続くガソリン不足。給油の列に1時間。普通に給油できるのはいつ?」 Posted on 2022/10/20 Design Stories
9月末から続く製油所のストライキ。前回の記事配信以降(👉「泥沼化する製油所職員のスト、フランスは深刻なガソリン不足に」)も話し合いはこじれており、未だにフランス国内4か所の製油所でストが続いている。トータル・エナジー社は給料6%アップ、給料約1ヶ月分の特別ボーナスを提示したが、合意には至らなかった。
ロシアの戦争の影響でガソリンが高騰しているが、それとはまた全く別のところから現れた今回のガソリン不足。この、フランス人の一貫して権利を主張する姿勢は、すごい。
政府が職員を徴集したことや、数か所の製油所でストが打ち切られたため、状況は少しずつ改善されつつあるが、10月19日現在、まだまだ給油するのは難しい。パリのガソリンスタンドは5軒に3軒は閉まっていると言えるだろう。開いていたとしてもディーゼルのみということが多く、5軒に1軒、レギュラー、もしくはハイオクのどちらかの給油ができるイメージだ。
筆者の車もガソリン表示がレッドゾーンに近づいてきたため、給油に挑戦してみることにした。
事前にネットで「給油可能」と料金が表示されていたガソリンスタンド、3軒に目星をつけた。https://www.prix-carburants.gouv.fr/
まず、1軒目。ネットでは給油可能になっていたが、遠目に見るとがらんとしており、近づくと案の定、シャッターが閉まっていた。
そのまま、同じ通りにある、2軒のガソリンスタンドを目指すことにした。
2軒目。タクシーが給油しているのが見えたので、またもや近づいてみると、「ディーゼルのみ。もしくは、ガソリンタンクが空の人のみハイオク給油できます」という貼り紙がしてあった。
条件に当てはまらないので3軒目に進もうとしたところ、いつもガラガラの道が異様に渋滞してきた。これはおそらく、この道の先にあるガソリンスタンドに行列ができているからに違いない、と踏み、そのまま渋滞を進むことにした。
信号が青になってもほとんど動かない。500mほどの距離を1時間かけ、やっと自分の番が近づいてきた。途中、お世話好きのお兄さんが、「給油したいの?違うんだったら違う道を通ったほうがいいぜ!」と言いに回っていた。
少しずつ目的のガソリンスタンドが見えてくると、レギュラーとディーゼルがあることがわかった。値段も、普段より安いくらいの設定で、レギュラー、1リットル 1,58€(約230円)。最近のニュースでは、ガソリンが入れられない上に、ストックがあるスタンドはどこも値段を跳ね上げている(レギュラー1リットル 2,70€(約400円!)のところも)というのが問題になっていたが、たまたま、とても良心的なガソリンスタンドに遭遇することができたようだ。
並んでもガソリンが売り切れりことがある、と聞いていたので、自分の番が来た時には、やっとの思いと、後ろに並んでいる人たちから注がれる視線に緊張してしまい、手が震えた。支払い時には、お店の人に何度も「メルシー」、「メルシーボクー」と伝えていた。
今回のように、いつも当たり前にあるものが無くなると、その大切さや、それは当たり前ではなく、誰かの努力のおかげで存在しているという事に気づく。いつもありがとう。この大変な状況下でガソリンを提供してくれて本当にありがとうございます、なのだ。
パリでは車がなくても生活できるが、田舎に暮らす人々にとっては、買い物、子供や老人の送り迎えなど、あらゆる場面で車は必要不可欠だ。ガソリンは職種によって優先されるようになっているが、今週末からは子供たちの秋のバカンスも始まる。秋休みに車で出かけようと思っていた家族は予定を変更しなければならないだろう。
今週中に製油所のストが完全に終わったとしても、平常に戻るにはそれから1、2週間ほどかかるそうだ。
<このガソリンスタンドにはハイオクが無かった>